NeoL

開く

藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#35 朝食抜き

meisa35_4
自己治癒力に関しては、期間中、体調は良かった。ちょうど季節の変わり目だったが風邪も引かなかった。これは朝食抜きだけがもたらしたものかは分からないが、事実としてある。
 空腹感に関しては、三週間目ぐらいから空腹感がなくなってくる、という記述もあったように、それには至らなかった。午前中の空腹感は達成好きの人には楽しいかもしれないが、そうでなければ、ストレスになるかもしれないと思った。ただ空腹感というのは無くなりはしなくても、気にならなくはなった。慣れたといえばいいのだろうか。野生動物は空腹感を覚えてから狩りや採集にでかけ、実際食べ物にありつくまでには、それなりに時間がかかるだろう。そう考えれば、肥満になることなく、癌にかかることもない野生動物を手本とした結果の空腹ならば、生物として真っ当なエリアにいるような楽しさはあった。
 人それぞれに感じ方は異なると思うが、倦怠感や不調を慢性的に感じている人には簡単に試せる健康法としておすすめはできる。
 便が臭くなくなるというのは、個人的には結構な驚きで、質量もしっかりとしたものだった。思い込みでは語れない事実として、覚えておきたいと思う。
 また朝食に費やしていた時間を他に使うことができる。散歩をしたり、音楽を聞いたり、ヨガをしたり、寝坊をしたり。ばたばたとした朝時間が、ゆったりとしたものとなる効果というのも朝食抜きの恩恵として大きい。「親が死んでも食休み」の言葉があるように、食後は胃腸の活動のために余計なことをしないという共通の考えがあった。食べてすぐの運動は、胃腸を痛める。これから消化しようというのに、通勤などの運動によって筋肉などへ血液が分割されてしまう。食欲もないのにトーストを齧って走って駅まで行くというのは、およそ理にかなっていないことなのだ。何事にも優先順位が体にもあるということ。
 ということで今しばらく朝食抜きを継続するつもりである。その後の報告はいずれまた。

※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#36」は2016年11月29日(火)アップ予定。

1 2 3 4

RELATED

LATEST

Load more

TOPICS