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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#4 ベジタリアン

fujishiro1

 沖縄に住み始めてから、会う人ごとに「痩せましたねえ」と言われることが多くなった。
 加齢によって、たるむ人、そげる人に分れると思うが、自分は後者で、祖父を思い浮かべると、間違いなく、そげた爺さんになるのだろうと思う。
 自分の痩せ方は、おそらく現在四十六歳のそれを映しているのだろう。
 だが、二ヶ月ほどで十キロほど痩せたのは、加齢だけでは説明がいかない。理由は、食べ物、食べ方のせいだと確信している。
 そして見る角度を変えれば、これは、かなり確実なダイエット法と言えるのではないだろうか?何よりもお金がかからないし、特別な器具やサプリ、DVDを必要としない。経済的に節約できて、しかも効果はありありだ。
 ベジタリアンになる。
 これだけのことで痩せる。間違いない。
 友人、知人に、ベジタリアンの人がいたら思い浮かべてほしい。きっと彼、彼女たちは、決して太ってはいないはずだ。それが科学的にどういう説明になるのかは、知らないが、圧倒的な確率で、ベジタリアンは押し並べて痩身、もしくは普通体であり、たるんでいる人は、少なくとも自分は知らない。
 自分のベジタリアン歴は十年以上前に遡り、確か三十ちょいぐらいの時に、ただの好奇心で一年間ぐらい試してみたのが始まりだった。これは癖のようなものだが、自分自身の体や心というものは、まずは自分自身の所有物だと思っているので、(神様からの借り物という意見も尊重してます)言い方は悪いが、どう使おうが遊ぼうが自分次第だと思う。自分をちょっと客観的に眺めて、この男をベジタリアンにしたら、どうなるのだろう、旅に行かせたらどうなるのだろう、という実験心がいつも何処かにあって、自分ごとながら、他人ごとのように楽しんでいる。と、いう流れで、ベジタリアンを試させたのだ。自分に。
 その時は、鶏肉、魚は許していたので、セミベジタリアンだったのだが、それでも効果を感じられた。体は軽く、心は少年の頃の純真さの香りをほのかに感じた。お試しの感想を一言で済ますなら、すっきりした、になる。体重は気にしていなかったが、そんなに変化はなかったように思う。
 そのセミベジタリアン時代はわずか一年間ぐらいで終わり、元の何でも食べる生活に戻り、それが沖縄に住むまでの間、長く続いていた。

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