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フィリップ・ガレル『ジェラシー』インタビュー

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—あなたは即興演技について話し、また、ある瞬間おのずと作品が姿を現すのだと語ります。つまり、なにが生み出されるのかわからないまま撮影をおこなう、ということなのでしょうか?

フィリップ・ガレル「いや、ちがう。そうじゃない。すべてのシーンはかなりつくりこまれている。まずリハーサル。 そして実際の撮影現場でのリハ、次にカメラポジションを決めてからのリハ、次に照明をセッティングしてブームを入れてのリハ……。その段階ではまだ撮影は始まらない。私が『アクション』と口にする のは、全員が各々の方向性を見定めたときだ。また原則としてテイクは一度きり。大きなトラブルが発生したときだけ、回目のテイクをおこなう」

— アナ・ムグラリスに関して、あなたはとくにその顔を中心に撮影していました。あんな彼女はこれまで見たことがありません。 

フィリップ・ガレル「とくに工夫があったわけではないさ。彼女の外見については特別なにも指示しなかったし、それが可能になった道筋もハッキリしない。我々の人生と撮影するものとの関係は、ふと我々の前に姿を現す。本の作品はつねに向こうから突然姿を現す ものだ。そこで起きたのはそういうことだろう。事前に想定された事柄を実現するなどもってのほかだ。 それゆえに映画は集団芸術なのだ。そこに参加する人々全員がもたらすものを、映画は受け入れてしまう。もちろん彼らにそのための自由を確保しておくことがそもそも必要だが」

— 他の多くのシネアストと比べたとき、あなたはそうした生との関係をより直接的で的確なやりで探求しています。『ジェラシー』はカップルの関係、両親と子供との関係についての作品であり、あなたの妻であるキャロリーヌ・ドリュアスが共同脚本を担い、そしてあなたの息子と娘が出演しています……。

フィリップ・ガレル「そう、それはちょっとした化学作用のようなものだ。その作用がよりよく目にみえるようにし、より素早く作用するような要素を複数組み合わせる。これは誰しもに関わる事柄だ。私が生じさせたいのは、あらゆる人生を色付けるひとつの色素のようなものだ。『ジェラシー』というタイトルはそんな現象を指し示している。だから誰もがそこでなにが問題になっているかをすぐさま把握するはずだ。誰もがその人生においてジェラシーというものの存在を知っているのだ。幼年自体からすでに、さまざまなかたちでね」

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