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『わたしはロランス』 恐るべき逸材が奏でる愛の物語

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鮮烈にして崇高。弱冠23歳の監督が、どんな巨匠も及ばないほどの、まさに驚きの巨砲を放った。90年代のモントリオール。国語教師の男はある日突然「女性になりたい」と告白。その瞬間、女恋人は激しく動揺するものの、しかし力の限り恋人と共に歩もうと決意する。これは周囲の刺々しい視線を浴びながらも惹かれあう二人の、信頼と情念に満ちた10年史である。168分という大河のうねりの中、監督は一瞬たりとも芸術性の妥協を許さず、主人公らを終始力強く歩ませる。その執念。観賞後、心にズシリと手応えを残す紛れもない秀作だ。

 

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