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高畑充希『煙霞-Gold Rush-』インタビュー

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借金を抱え、勤務先の私立女子校の正教員にもなれず、不安定な日々を送る美術講師。あるとき彼は、同じ境遇の同僚から相談を持ちかけられる。経営を私物化している理事長に証拠を突き付け、自分たちの身分保証を求めようというのだ。しかし思いきって理事長の愛人宅に乗り込んだまではよかったが、肝心の交渉相手が突然失踪。彼らは訳もわからぬうち、理事長が隠した金塊の奪取計画に巻き込まれてしまう──。WOWOWの連続ドラマW『煙霞-Gold Rush-』は、個性豊かな登場人物たちが巨額の金塊を奪い合う、痛快アクションサスペンスだ。主人公のしがない高校講師(森山未來)の“相棒”となるヒロインは、連続テレビ小説「ごちそうさん」などで人気が高まる高畑充希。数多く舞台・ドラマをこなしてきた彼女にとって、地元・大阪を舞台にした本作は新たなステージとなったようだ。若き演技派に、その思いを聞いた。

──WOWOWの連続ドラマW『煙霞 -Gold Rush-』。予告編を観ましたが、たった60秒の映像からも大阪のディープな空気感がひしひし伝わってきました。

高畑「はい、自分でもけっこうコテコテだなぁと(笑)」

──高畑さんの演じる正木菜穂子は、私立女子校に勤める音楽教師。原作を読むとけっこう破天荒でハスッぱな性格で、これまで演じてきたキャラクターとは真逆の印象もあったんですが……演じてみていかがですか?

高畑「今回は珍しく周りを振り回す役だったので(笑)。周囲が勝手に振り回されてくれるのは、けっこう楽しかったです。普段はそんなにパワー全開で自分を押し通すタイプでもないので。いつもとは逆の感じでした」

──たしかにこの話、菜穂子を軸にどんどん回っていく部分がありますよね。しかも役の上ではちょっと、悪女っぽいところもあったり。

高畑「でも、すごくチャーミングだなって思いましたよ。何をやっても悪気が感じられないし。ちゃんと自分の立ち位置を把握した上で、ポーンと衝動的に動ける子なので。どっちかというと森山さんの演じる熊さん(熊谷)の方が、『これはこうあるべきだ』みたいに考えちゃうタイプでしょう」

──主人公の熊谷。多額の借金を抱えつつ、同じ私立女子校でしがない美術講師をやっている。

高畑「そう。この物語の菜穂子って、実は熊さんの思い込みをガシガシ壊していく役どころでもあるんですね。それも『何を小っちゃいことにこだわってるん? そんなん、こっちの方が正解に決まってるやん』みたいな感じで(笑)。別に熊さんをイジメてるんじゃなくて、普通に喋るとそうなっちゃう。そういう部分が憎めないなと思いつつ、演じてました」

──じゃあ逆に、苦労した部分を挙げるとすると?

高畑「うーん……ストーリーが込み入ってる上に、順撮りじゃなかったことかな。しかも今回、共演者の方もスタッフさんも頭の回転が速い人ばかりだったので。頭の中がゴチャゴチャにならないよう、付いていくのが大変でした。ただ、その分開き直ってラクしちゃった部分もあったかもしれない」

──というと?

高畑「演技のお仕事をするとき、私はわりと頭でっかちになりがちなタイプだと思うんです。現場に入る前に、ついいろいろ計算していっちゃう。でも今回は、もし間違っても周りがフォローしてくれるという安心感があったので。前後の繋がりとかあまり意識せず、自分の中で菜穂子というキャラクターを保つことだけ気を付けていた。それ以外の細かい部分は、けっこう周りに頼っちゃってました(笑)」

──森山未來さんとは今回が初共演ですよね。

高畑「はい。森山さんがダンスの文化交流使としてイスラエルに行かれる前に、NHKの『夫婦善哉』というドラマに出られてて。私、その役がすごく好きだったんですね。いつかお仕事できたらいいなと思っていたので、今回のお話をいただいたときは嬉しかったです。」

──実際に共演してみた印象は?

高畑「今はもう空気みたいですね(笑)。らくちん」

──はははは。

高畑「私がこんな風に言うのはおこがましいんですけど。でも、どんなボールを投げても自然に返してくださるし。そもそも何も喋らなくても気まずくないし。すごく柔軟な方なので。本当にらくちんなんですよ。ただ、私が奥さんだったら怒ってしまうなと思うんですけど…」

──なんでですか?

高畑「自由すぎる(笑)。いえ、ホントにリスペクトしてるんです。自分のやりたいことが明確で、いろんなことをアクティブにどんどん生みだしていく方ですし。そこにリスクがあっても厭わない。私には絶対マネできないし、心底凄いなって思います。しかも、2〜3か月一緒の現場にいて、ずっと2人でお芝居していて、そういう威圧感を一切与えないところが、さらに凄いと思いました」

──ちょっとびっくりした?

高畑「ビックリしました。一緒にいてラクすぎて」

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