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「こどものきもち」vol.5 ヤン・スヴェラーク/オンジェイ・スヴェラーク

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悩みがなかった子どもの頃に戻りたい」なんて台詞をよく聞くけれど、子ども時代にも悩みはもちろんあったのを大人になって忘れているだけだと思う。小さいながらにプライドも心配かけたくないという想いもあって、誰にも相談できないこともあるかもしれない。子どもに笑顔で過ごしてもらうにはどうしたらいいのか。全6回にわたり、子どもを持つ親であるクリエイターに登場してもらい、日頃どんな風に子どもと接しているか、親子関係で大切にしていることなどを語ってもらう本連載。
第5回目は、8月22日(土)公開となる映画『クーキー』のヤン・スヴェラーク監督と、息子であり主演をつとめたオンジェイ・スヴェラーク君が登場。親子で映画を作った思い出、そして映画撮影から数年が過ぎた今の2人について聞いた。

——監督がこの『クーキー』を撮ろうと思ったきっかけはどういったものだったんですか?

ヤン・スヴェラーク監督(以降、ヤン監督)「私自身は子供の頃からアニメも好きでしたし、人形劇も好きだったんです。ただ、自然の流れで実写のほうのキャリアを積むことになったのですが、徐々に子供向けの、童話みたいな作品を撮りたいと思うようになりました。実写の経験も生かしたうえで、アニメのようなもの……と考えた結果、自分ですべてコントロールできるようにスケールを小さくした人形劇がいいんじゃないかという考えに至りました。
 それと同時に、当時息子のオンジェイが6歳くらいで、よく人形と一緒に遊んでいた頃でした。彼自身たくさんの人形を持っていて、私も一緒に遊んだりしましたが、その時、人形にははっきりとした表情や感情の起伏はないのに、私が何か動きを示すだけで気持ちまで察しているように感じることがありました。きっと、子供たちの想像力の中で人形は生きていて、感情表現をしているのだ、ということがわかってきたのです。そういうアイデアも取り入れながら作品を作れるんじゃないかと思ったのがきっかけでした。」

——息子さんの存在がこの作品に大きく影響したんですね。

ヤン監督「そうですね。私の心境の変化と息子と接する中で感じたことのコンビネーションの結果だとは思うのですが。でも、息子と遊んでいる時に私自身が経験したことは大きかったと思います。」

——今作には息子さんが演じるクーキーと一緒に冒険の旅をする森の村長・ヘルゴットの声を監督のお父様が担当されています。監督がお父様からインスパイアされた部分はありますか?

ヤン監督「父はもともと脚本家なので、実はこの作品も最初は私がストーリーを書き、細かい台詞は父親に直してもらおうと思っていました。でも、書き上がった脚本を読んでもらったら、何も直すところはないと言われました。オンジェイのことは自分よりも父親である私のほうがよく知っているだろうから、今のままでいいんじゃないか、と。そういう意味で、私に自信を与えてくれたのは父親の言葉があったからこそでした。その後、結果的にオンジェイと私の父が共演することになったという感じだったんですが、オンジェイにとっては家族のメンバーである私の父が現場にいたことで安心できたでしょうし、作品にとっても親密さを醸し出すのに役立ったように思います。」

——オンジェイくんは一番最初にお父様から出演のオファーを受けた時、断ったそうですね。それから1年後に再びオファーされて、今後は出演してみようと思ったはどうしてでしょうか?

オンジェイ・スヴェラーク(以降、オンジェイ)「最初に出てって言われた時、僕はまだ7歳ぐらい。たぶん若くて、今よりもナイーブだったから、出演したくないって言って泣いてしまったんだ。でも、それからいろいろ考えて、お父さんと一緒に何かできるなら楽しいかなって思って。2回目にオファーされた時は、すぐにいいよ!って言ったよ。」

ヤン監督「最初にオンジェイに断られた時は一生懸命説得しました。映画に出るとかそういうことじゃなくて、『一緒に時間を過ごせるじゃないか』って言ってみたりもして。それでもOKではもらえませんでした。それから1年後にまた説得しようと思った時には、『一緒に時間を過ごせるからいいよ』って、僕が言った言葉を返してくれて。快くOKしてもらえたのですごく嬉しかったですね。」


クーキー_サブ1
映画『クーキー』より

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