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text by Yu Onoda
photo edit by Ryoko Kuwahara
photo by Shuya Nakano

OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.15 Travis × オカモトショウ

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ショウ「僕らは一昨年、日本のバンドがいくつか出演するイベントでロンドンでライヴを行いました。あとは、オーストラリアや、アメリカ、ベトナム……」


フラン「ロンドンはどうだった?」


ショウ「ロンドンは…、日本の文化関連のイベントだったので、オーディエンスはみんなすごく日本的なものを観たがっていたんです。ただ、そこで僕らは“The Kids Are Alright”などを演奏して」


フラン「ロンドンでのライヴはそれが初めてだったの?」


ショウ「そうです。初めてでした」


フラン「じゃあ、そういう状況下で“The Kids Are Alright”なんかをやったのは、けっこう興味深いものがあるよね」


ショウ「はい、僕らはすごく誇らしい気持ちでしたし、現地の音楽関係者にも見てもらういい機会だったと思っているので、また呼んでもらえたらいいなって」


ダギー「昔、ロンドンのアストリアで一緒にやったバンドって何だっけ?」


アンディ「ザ・イエロー・モンキーズ!」


ニール「(97年8月に)アストリアで俺たちの前座をやってくれたんだ」


ダギー「俺は客席に行って、バルコニーから彼らのパフォーマンスを観たんだけど、“早く、トラヴィスを出せーっ!”て叫んでるファンが結構いて。俺は“そんなこと言うなよ。そんなこと言うやつは俺たちのファンじゃない!”って思ってたんだけど、かなり盛り上がってたし、実際、彼らのパフォーマンスはかなり素晴らしくて、驚いたよ」


フラン「今も活動してる?」


ショウ「去年、復活しました」


ダギー「へええ」


フラン「再結成ってこと?」


ショウ「はい」


ダギー「じゃあ、次に一緒にやる時は、俺たちが彼らの前座だな。そして、彼らのファンにブーイングされるんだ(笑)」


一同「笑」


ショウ「ワールドツアーは、僕らの夢なのですが、トラヴィスのみなさんはその目標を頑張って実現させたのか、それとも気づいたら、そういう状況になっていたのか教えてもらえますか?」


ダギー「世界をツアーするようになったことが? きみも知っての通り、バンドに入るなり、始めるなりしたら、まずは新しい曲を書き、ライヴをやる。そして、曲がまとまったらレコード契約を探して……と次々にやることが出てきて、気が付いたらツアー。まずは英国ツアーをやることになって……」


アンディ「最初は1週間」


ダギー「そう、1週間で大喜び。それが段々広がって、いつの間にか日本、ヨーロッパ、と、勝手に拡張されていった感じがする。そして日本に来るようになって、15年以上?」


アンディ「そうだな」


ダギー「不思議なのは、今となってはどこへ行っても、ある意味、馴染みの場所のようになっていること。俺はそれがすごく嬉しいんだけど、ツアーを続けるというのはそういうものなんだよね。こうやって世界の裏側まで来て、“あ、ここ知ってる、前にやった場所だ”って思うのはなかなかスゴイことだよ。街角の木に見覚えがあったりとか」


フラン「渋谷のあの木の下で寝ちゃったことがあったなと思ったら、その木がなくなってたりしてさ」


一同「笑」


――そうやって作品をリリースし、ライヴを行う日々にあって、最近のトラヴィスは、レコードが売れる売れないはもう気にしていないとインタビューで語っていますね?


フラン「トラヴィスに関しては、さっきダギーが話したように1つ1つ次のことをやっていくのが常で、そもそもコマーシャルなバンドじゃないんだ。そして、コマーシャルじゃないのに、たまたま成功したバンドなんだよ。ただ、コマーシャルじゃないからって野心が無いわけじゃなくて、曲を聴いてもらいたいとはずっと思っていたし、もっと言えば、書いた曲が誰か一人に届いてほしいというところから始まって、出来ることなら、50万人、100万人に届いて欲しいと願いつつも、そのために何かを変えたということは一度もない。というか、不特定多数に届く条件を俺たちが満たそうと試みたことはないんだよね。最新作だって UKのエアプレイチャートを見ると、俺たちの他はR&B やポップミュージックばかりでギターを弾いてるやつなんかいない。皆無だ。俺たちが浮いてる。俺たちはずっとそういう浮いた存在だったわけだ。最初のアルバムからそうだった。周囲の何とも似ていなかった、そして、それはNMEに言わせる、商業性における自殺行為だ、と」


一同「笑」


ニール「ハリカリ?」


――腹切り、ですか?


ニール「ああ、そうそう、腹切り。コマーシャルな腹切りだ」


一同「笑」


フラン「商業性における腹切りにかけて、俺たちはエキスパート集団だ」


一同「笑」


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