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Parcels『Hide Out』Interview

PARCELS02©PhilippeJarrigeon


―では、今度出るニューEP『Hideout』について、手ごたえはどんな感じですか。


ルイ「ベルリンのスタジオで作った曲で、バンドの今の最新の状態があのEPの中に集約されている。これで世界に打って出ていくんだって思うと、テンションが上がるね(笑)」


アナトール「プロダクション面で色々学んだし、単純にずっと一緒に演奏してきたことで、ミュージシャンとして成長したってこともある。だから、あらゆる面で成長してるっていう感じかな。以前のEPと比べると実験的な要素も少ないし」


―実験的な要素が少ない?


アナトール「そう、今回のEPには自分達の学びや経験が活かされている。ただ闇雲に色々試してみるんじゃなくて、ちゃんとしたアイディアがあって、それに向かって作品を作ってるからね」


ルイ「それと、エレクトロニックな要素とライヴの要素をうまくミックスできるようになったよね。1年間、ずっとフェスやライヴで演奏してきた経験が活きてるというか。スタジオで作った曲をライヴでやって、そのライヴのノリをまたスタジオの作品に持ち込むっていう新たな要素が加わってるからね。だから、最初のEP(『’Clockscared』、2014年)とはかなり趣向が違う」


―ベルリンのダンス/エレクトロニック・ミュージック・シーンからの影響もあったりしますか。


アナトール「今回、ドラムとベースがかなり効いてるんだけど、それとかもしかしたらテクノからの影響かもしれないよ」


ルイ「まあ、けっしてテクノみたいな音にはなってないけど(笑)。ただ、サウンド面に限らず、曲を作る上で確実にベルリンっていう土地から影響は受けてるよね」


―プロダクションの面で一番こだわったポイントはどこですか。


アナトール「あんまりパソコンで作りすぎた感じの音になるのは避けたかったんで、できるだけ自然でライヴっぽい質感を大切にしたってことかな」


ルイ「前は自分達がポップ・ミュージックをやってるという意識はなかったんだけど、今回はメロディに力を入れてるんだよね。より幅広いオーディエンスに視野を向けてるというか、それは前回までにはなかった意識だよね。最初のEPのときは、メロディもヴォーカルも演奏も全部同時進行で混在してる感じだったけど、今回はもっとこう……」
アナトール「まず、メロディを主役として立てている。あと、ポップ・ミュージックとして聴かせるってことに対して、より意識的になってるよね」


―たしかに、去年の音楽シーンを見ても、音楽的にも今一番面白いのはポップ・ミュージックだと思うんですよね。


2人「うんうん」


―ビヨンセやフランク・オーシャンのアルバムを聴けばわかるように、今一番ポップな音楽が最も実験的で、今一番実験的な音楽が最もポップである、みたいな。


ルイ「アーティストが売れたあとに前とは違う方向性の作品を出したときに、昔だったら『あいつは売れて変わった』みたいな拒絶反応が起きていたのが、今は『今回は新しくていいね』っていう反応に変わっているよね。あと、最近のポップ・ミュージックの傾向として、一昔前のフィーリングを取り上げているんだけど、それを最新のプロダクションと組み合わせて、まったく新しいものとして表現していたり。そういう意味でも、ポップ・ミュージックって今ものすごく面白い時期に来てるんじゃないかな」


―ちなみに、今回のEPもセルフ・プロデュースなんですか。


アナトール「そうなんだよ。最初、プロデューサーを呼んでやってみたんだけど、やっぱりうまくいかなくて。そもそも5人もメンバーがいて、すでに意見が多すぎてまとまらないのに、その上プロデューサーの意見まで追加したらどうにもならないっていう(笑)。それで自分達だけで作ってみた結果、レーベル側も作品を気に入ってくれたんで、最終的にはよかったし、自信にもなったよね」


―今回の制作中によく聴いてたレコードは何かありましたか。


アナトール「えーっと……テーム・インパラの最新作(『カレンツ』)は確実に入るだろうね。プロダクションに影響を受けてるし。あとはベニー・シングスとか」


ルイ「えーっと、あれ、何だったっけ? 思い出せないんだけど……あ、サイキック・ミラーズ!」


アナトール「そうそう、サイキック・ミラーズだよ」


―最近って、いわゆる「バンド」よりも、フットワークが軽くて様々なアーティストともコラボレーションができる「ソロ・アーティスト」の方が、サウンドの面でも音楽シーンを牽引しているところがありますよね。さっき「そもそも5人もメンバーがいて、すでに意見が多すぎてまとまらない」と話していましたけど、これだけ個性のあるメンバーが一緒に活動していくとなると、色々と大変な部分もあったりするのではないですか。


ルイ「ベルリンに来てよかったなと思うのは、5人が一体になってこのプロジェクトに賭けてやるっていう気持ちになれたことだよ。余計な邪魔が入らないというか、わざわざベルリンに来たからにはやることをやろうぜって、バンドに集中することができるしね。だから、5人でやることのデメリットみたいなものはそんなに感じないかな。そりゃまあ、100%自分の好きなようにやるってわけにはいかないけど。ただ、逆にお互いに刺激して高め合えるっていう良い面もあるからね」


アナトール「そうやってお互いに挑戦し合う関係が心地いいんだよ」


ルイ「そうそう、自分1人で全部やるとなると、よっぽど自制心が強くないとさ。自分もたまにサボりたくなるときもあるけど、残りの4人が『お前、サボってんじゃねえよ』ってケツを叩いてくれるから有り難い(笑)」


アナトール「それと、これだけ長いこと一緒にやってるから、馴れてるというのもあるだろうね。お互いの性格も知り尽くしてるし、どうやったら一番うまくいくのかってことがわかってるから」


―今回のリリースはEPでしたが、アルバムの構想もすでにあるのでしょうか。


アナトール「とりあえず、考えてはいるね(笑)」


ルイ「うん、考えてはいる(笑)。ただ、まだ具体的なイメージとかは一切なくて。とりあえず2017年はライヴでスケジュールが一杯なんで。できるだけ早くスタジオに戻って、新曲を作りたいっていう気持ちはあるけどね」


―頭の中にイメージはある?


アナトール「いや、それすらない(笑)。まだ漠然と考えてるだけ(笑)。ただ、中途半端なものは出せないからね。自分達が心から納得いく作品ができるまで、とことんやるつもりだから」


parcels-ep-hideout-cover1


Parcels『Hide Out』
発売中
(Kitsune)
https://parcels.lnk.to/hideout


Parcels
http://www.parcelsmusic.com
http://www.maisonkitsune.fr

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