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text by Shoichi Miyake
photo edit by Ryoko Kuwahara
photo by Akihito Igarashi(TRON)

Dinosaur Jr. 『Give a Glimpse of What Yer Not』Interview

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昨年8月に約4年ぶりのニューアルバム『Give a Glimpse of What Yer Not』をリリースしたダイナソーJr.。本作は絶対的にダイナソーJr.にしか鳴らせない、不可侵なオルタナティブロックの美学をあらためて強く感じさせてくれる。オリジナルメンバーで再結成した2005年以降、なぜダイナソーJr.はこんなにもフレッシュであり続けられるのか? インタビュー時間は約20分。中心メンバーであるJはやはり寡黙だったが、ルーとマーフがJの言葉を補足するようにして語ってくれたのも、バンドの良好な関係性が窺えてとても印象的だった。



——日本の20代の若いアーティストと話していると、ダイナソーJr.をフェイバリットに挙げる人が多いんですよね。印象的なのは彼らがやっている音楽の振れ幅が広いことで。なかにはラッパーもいたりするんです。


ルー・バーロウ「ホントに!?」


——ホントに。彼らはダイナソーJr.の音楽から自由なインスピレーションを得ているんだと思います。


ルー「それはうれしいけど、不思議な感覚だね」


——思い当たる要因はない?


J・マスキス「ノー!」


一同「(笑)」
ルー「アメリカだと全然違って。アメリカの若いラッパーなんかはきっと『ダイナソーJr.? あんな年寄りのバンドなんて興味ねえ』って思ってるはずだよ(笑)」


——でも、ニューアルバム『Give a Glimpse of What Yer Not』もすごくフレッシュで、あらためてダイナソーJr.の壊れようのないオルタナティブな美学が貫ぬかれていると感じました。


J「ダイナソーJr.でもソロでも自分が作ったアルバムは全部大好きだけどね。ただ、今作はリスナーからのリアクションがすごくいいのは感じてる」
ルー「この3ピースバンドにしか出せないダイナミズムでありケミストリーがあるんだよね。それこそが、ダイナソーJr.にしか出せない独自のエネルギーを生んでいて。そのエネルギーを俺たち自身が信頼しているんだ。たとえば俺がガキのころ大好きだったラモーンズにはラモーンズ以外のサウンドを鳴らしてほしくなかった」


——最初から完璧なスタイルを構築してるから。
ルー「そう。だから、リスナーとしてはラモーンズには(『END OF THE CENTURY』で)フィル・スペクターをプロデューサーに迎えてなんてほしくなかったんだよ。純粋なラモーンズのサウンドだけしか聴きたくなかったから。それは今のダイナソーJr.にも共通している思いなんだ。ファンが信頼してくれているダイナソーJr.のサウンドを裏切りたくないと思ってる。ダイナソーJr.以外のプロジェクトではどんな曲を作ってもいいし、どんなプロデューサーとやってもいいんだけど、ダイナソーJr.には“これ”しかないんだよ。だからこそ、俺たちにとってはフォーミュラにこだわるのは悪いことではなく、バンドの力強さだと思ってる」

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