NeoL

開く
text by Ryoko Kuwahara

Ryotaro Muramatsu 「TOKYO ART CITY by NAKED 」Interview

naked_tokyoartcity_shinjuku_perse_0419


——ちなみにNAKEDは組織図がカラーホイールになっているそうですが、これも独特ですよね。


村松「各自がなんとなくの得意分野はあるけれど、ゾーンが曖昧でセクションをわけてないのが特徴だと思います。実際はこれがワークしていくのは難しいんですよね。この曖昧な中で自分の位置がどこで、自分がなにをすべきかを常に考え、周りも見ながらやらいないと機能しない。自立性と客観性、役割の意識が必要になる。仮にうちはクリエイティヴカンパニーなので、そういう部分を常に鍛えて、自分からボールを取りにいかないと置いていかれてしまうわけです」


——それも同じく、核はあるけれど、変容していくという考えなのかなと。「FLOWERS」でのインタラクティヴアートは本当に素晴らしいと思っていて。自分のアートにこだわっていたら到底できない。でもそれを飲み込んで昇華されていた。村松さんの姿勢があらわれていますよね。


村松「あれは実験だったと思います。個人の感覚としては、アートとはピカソやレンブラントなど、そういう次元のものを指すんです。インスタグラマーがファストファッションを着て『アート好き』と自分のプロフィールに書いているのは、僕にとっては矛盾がある。でもそれが現実なのだから受け入れたほうがいいなと。彼らは僕の作品を撮影し、加工してSNSにアップするわけですが、それは彼らにとっての“アート”であり、その定義は“自己表現”に限りなく近い。アートを自己表現とするならば、インスタグラマーの写真もアートかもしれないし、僕の作品もそうかもしれない、ピカソだってもちろんそう。そして実際に彼らの写真は上手いし、それならばと自分にとってのアートの定義を入れ替え、彼らがとった写真と呼応するインタラクティヴアートをやってみた。アートの民主主義化が進んだので呼応してみたのですが、そもそも(アンディ・)ウォーホルがコピーをアートと言い始めた時点でファインアートの定義はぶっ壊れているんですよね」


——「FLOWERS」では大量に生花を飾り、しかもスペースごとに香りも作られていました。デジタルだけでなく、ああして無駄に手がかかることをやらないと辿り着けない感情の領域があると思うんです。

村松「生花なんて非合理的だし、ビジネス的に考えても儲からないですよね(笑)。香りもアロマのデザイナーと一個一個全て一緒に作ってるんです。ここの空間はこうだからということを話して、『もう少しチクチクできる?』とかよくわからないことを言いながら作るのも楽しいですし、香りは目に見えないけれど体感できるものだから、確実に“体験”を高みに導いていくれると思います。そうやってその時々に自分が考えていることを顕して、お客さんの反応というフィードバックをもらって循環していく。その中で作品が結果として残っていくというシンプルなサイクルです」


——種まきですね。


村松「本当にそうなんです。1回目の『FLOWERS』でこだわったのは、お客さんに土を触ってもらうということ。土に種を植えるとデジタルアートの花が出るというのがやりたかった。それが次の会期では咲いていて、その花にまたアートをかける。この行為をちゃんと入れないと、デジタルのイベントで終わってしまって、花のイベントにならない。確かな感触と循環を体感してほしかったんです。でも土というのがいろんな都合でできなくて、ひよこ豆になったんです。ひよこ豆を入れるとアートが出るという(笑)」

——それでも充分に楽しいですし、種と一緒に感情や愛情が育っていくようです。6月の「TOKYO ART CITY」はどういうものになるのか、教えていただけますか。


村松「東京をそのままアートにします。ヒカリエで去年末にやったものが倍の広さで展開されるのですが、巨大な模型で作られた東京の中を歩けて、模型にプロジェクションマッピングがされているんです。その中で東京駅のマッピングも復活させているんですよ。デジタルで自由に絵が描けたり、スクランブル交差点での人類計測が反映されてアートになったりと、リアルな東京とリンクしているのが特徴です。都市にアートを入れるのではなく、都市とはそもそもアートであるというのがテーマ。
東京っぽさというのは、過去や現在も含めた人々の生活、ライフの集積ですよね。コンクリートの建物も近代の価値観が顕れとして出ているだけで、すべてはマクロとミクロの関係であり、東京っぽいファッションもひとりひとりの趣味志向が出ているだけ。それを可視化したらおもしろいかなと。
心にも身体に訴えるようなエモーショナルな体験を作るというNAKEDがやってきたことの権化みたいなものになると思います」


——権化があり、その先にNAKEDが向かう先はどこなんでしょうか。


村松「どこなんですかね(笑)。常にアンビバレントな世界の中で揺らいでいるわけですが、両端が離れているほどフィールドが広くて含まれるものが豊かになる。削ぐ格好よさもありますが、自分はまだ削いでもなにも残らないので含んでいく必要があると思っていて。だからその瞬間瞬間を感じて生めるものを生んでいくというシンプルな在り方で、まだまだジャンルレスに様々なことをやっていくと思います」


naked_tokyoartcity_tac_bg_C_0428_yoko_s


TOKYO ART CITY by NAKED
2017年6月16日(金)—9月3日(日)
東京ドームシティ Gallery AaMo(東京都文京区行楽1-3-61 東京ドームシティ クリスタルアベニュー沿い)
11:00-18:00(6月16日—7月21日)
10:00-20:00(7月22日—9月3日)
* 最終入場は閉館30分前
チケットなど詳細は下記URLまで。
http://tokyoartcity.tokyo
tel 03-5800-9999(東京ドームシティ わくわくダイヤル)


東京駅、展望台、水族館などで新しい体験を生み出し、通算150万人以上を動員してきたNAKEDの最新企画展のテーマは「TOKYO」。
東京のシンボルマーク、都内の地下をはり巡る地下鉄、スクランブル交差点、SNSでのコミュニケーション……、東京で生きる私たちのすべてが、ここでアート空間になる。実際に登れる高さ4.3メートルの東京タワーや、幅約6メートルの東京駅丸の内駅舎模型、頭上に浮かぶジャンボジェット機や渋谷のスクランブル交差点などの巨大模型をはじめとする約250もの模型で、東京都象徴する9スポットをコラージュ。渋谷エリアのビル群の壁には、指で自由に絵が描けるデジタルグラフィティ体験ができるほか、秋葉原エリアには会場でしか体験できないガチャガチャも登場。
見慣れた東京に新しい見方をもたらし、NAKEDの描く「今の東京」を最新テクノロジーで体感する空間が、あなたのクリエイティヴな好奇心を刺激する。東京駅、東京タワー、東京国立博物館……東京の名所をアートにしてきたクリエイティヴカンパニー、NAKEDが描く「TOKYO」がこの夏、東京ドームシティに登場する。


ryotaro_muramatsu_portrait
村松亮太郎
NAKED代表。アーティスト。
TV/広告/MVなどジャンルを問わず活動。長編映画4作品を劇場公開、短編作品と合わせて国際映画祭で48ノミネート&受賞。主な作品に、東京駅の3Dプロジェクションマッピング『TOKYO HIKARI VISION』、東京国立博物館 特別展「京都-洛中洛外図と障壁画の美」プロジェクションマッピング『KARAKURI』。山下達郎30周年企画『クリスマス・イブ』MV&ショートフィルム&マッピングショー、星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳『Gift -floating flow-』総合演出、『TOKYOガンダムプロジェクト2014ガンダムプロジェクションマッピング “Industrial Revolution”-to the future-』映像演出、auスマートパス presents 進撃の巨人プロジェクションマッピング「ATTACK ON THE REAL」演出、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」タイトルバックなど。映像のみならず空間全体の演出を手がける。

1 2 3 4

RELATED

LATEST

Load more

TOPICS