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text by Ryoko Kuwahara

Fiction Issue: Interview with Clint Woodside x Dan Monick about “Vineland”

Vineland_Dan_06
(C)Dan Monick


——ふたりは元々『Vineland』のような写真を撮っていますよね。なぜそれほど街に惹かれるんでしょうか。人にも街にも個性があるけれど、なぜ人ではなく街なんでしょうね。


Clint「この質問は真意をついているね。多分、それぞれに違う答えがあると思う。
俺は、この世の中で俺たち人間が作り上げてきたものを見せていきたいからなんだ。人間が施してきたもの。人間の中で渦巻く感情と社会の動きを『モノ』を通して見せたいと考えている。
『モノ』を見た時、何かを感じるだろ? 例えば、この写真に写っている郵便ポストを見る時に感じることと、壊れてる郵便ポスト、または綺麗でパーフェクトな郵便ポスト、またはお店に置いてある郵便ポスト、全てにおいて違う感覚を得ると思うんだ。俺は常にその郵便ポストと繋がりのある人間だったり、その周りに存在するものだったり、そんな『モノ』の背景に存在する感情や動き、ストーリーなどを捉えようとしている。Danは違う答えがあると思うよ。なぁ、Dan?」


Dan「そんなことないよ。俺にとって『モノ』は人々のポートレイトを撮っているのと同じなんだ。人間が日々残し続ける跡とか、例えば、この看板を見て、誰がこの看板の下を通ったか、誰がこの看板を見たのか、誰がこの看板が立ててある場所に眠っていたのか、この場所で何が起こったのかとかね。この看板は誰かが誇りを持って作った。でも、時間と共に消えていく。そう、人々は必ず『モノ』に関係している。
俺の本職はポートレイトを撮ることなんだけど、たまに人間の存在しないポートレイトを撮ると、とてもリラックスできて好きなんだ。もちろん、人間のポートレイトを撮ることもとても好きだけれど、例えば看板は瞬きしないし、難しくもない、そんな『モノ』を撮るときはなんだか気をうまく抜けるんだ。分かるだろ? 人間を撮るときは色々な感情がエネルギーとして出されてるからさ。とにかく、Clintが話してくれたことはまさしく!って感じだったよ」


Clint「一番大切なこと、それは人間が全ての作品と繋がりがあるということ。この写真に写っている看板のことではないことだよ。作品に写されている場所やモノの背景には、素敵な時間や何か大変なことが起こった時間、若者がドーナッツを食べた時間のことーー実際に人間は写されていないけれども、全ては人間との繋がりを表現しているんだ」


Vineland_Clint_06
(c)Clint Woodside

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