NeoL

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text by Makoto Kikuchi
photo by Hiromu Kameyama

Interview with Himi

Himi2_NeoL_photography : Hiromu Kameyama


インターナショナルスクールを出て、オーストラリアに留学した彼が、小学校ぶりに日本の学校に通うことになったのは2年前の話である。当時上履きの懐かしさ以外に彼が強く感じたことが、「周囲を気にする空気」だったという。




「日本人って、他の人がやらないと自分もやらない、みたいなところがあるなって。例えば電車ですごくマナーの悪い人がいても、誰も注意しないから自分も注意しないっていうノリみたいなものがありますよね。インスタとかSNSを見ていてもそう思う。多分本人たちには、もうそうやって周りに合わせるのが普通になっているんです」




空気を読む、という日本特有の文化が裏目に出るというのは確かにそういうことだ。そしてこの島国の内側では、大多数がその風潮を意識すらしていない。




「だから僕はそんな中でも、自然体でいられて良かったなって。同じだったらなんか嫌だな。これはたぶん育ってきた環境も影響しているんだと思います。お父さんを見ていても、常に自然体だったからこそ、今やりたいことができているんだろうなって感じることは多いです」




日本の映画界を背負って立つような名優である父の生き方は、息子の目にそんな重荷を感じさせないほど軽やかに映っているようだ。そしてそんな彼の生き方もまた、我々の目に驚く程軽やかに映る。




「今友達とバンドを組んでいて、僕はドラムをやっています。歌詞は基本的にヴォーカルが書くけど、曲は特に誰が作るというのは決まっていなくて。作りたい人がいたらそれを持ち寄って、みんなで集まったときに「これどうかな」って意見を出し合うんです。それぞれ曲を作れたり、いろんな楽器を演奏できたりするから、たまにパートを入れ替わることもあるし、すごく自由ですね。楽しんでやっている感じ。一度バンドで路上ライブをしてみたときがあって、お客さんの一人が僕たちに1000円を置いていってくれたんです。みんなでやったじゃんって、ライブ終わりにそのお金でケバブを買いに行きました」

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