NeoL

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text by Ryoko Kuwahara
photo by Sofia Tesmenitskaya

Interview with Nadia Bedzhanova

Nadia2_NeoL photography : Sofia Tesmenitskaya


——ドキュメンタリーのような作品も多いですが、全てに脚本があるんでしょうか。


Nadia「主題のためにもなるべく自然な環境を作ろうとしてます。役者でもストリートキャストでもカメラと良い関係を作るためには自然な環境が必要ですから。ぶっつけ本番でやらせたり、撮影で好きなことをしてもらうのはとても楽しいんですよ。私が少しだけ先取している、ダブルバインドゲームのようなものだと思っています。
実は、”Things I Like About You“は編集中にできたものなんです。パリ(モノローグの部分は除いて)とモスクワで思いつきで撮影して、後に短編映画にしようと決めました。モスクワでの”relationship”と真逆である”beginning of relationship“の部分はニューヨークで撮影しました。そして最後はロサンゼルスで、アリエルの誠実で感情のこもったモノローグ(Juniorとの対話)を撮ったんです。私のパーソナルな旅によって計画は変化していきました」


——脚本がある場合、どのようにその脚本に登場人物を沿わせていく工夫をしていますか。


Nadia「登場人物ひとりひとりを自分に置きかえてみて、彼らがどうやって生き、考えるかをトレースします。そして、彼らの性格を想像した上で、頭の中で彼らと会話をしたりします。“Headlong”ではそれが自然と頭に浮かんできました。もちろん後で調整や編集を行ったり、いくつかの冗談も盛り込まないといけないんですけどね」


——全ての作品に独特の間があり、それがドラマティックさを助長していると思います。間の重要性について、あなたの見解を教えてください。


Nadia「まず、言葉よりも、見せることの方が大切だと思います。映画を観るときは、絶え間ない会話を聞くのではなく、映し出されているものを観ますよね。そこでは雰囲気というものが重要です。例え、電話の雑音だとしてもね。言葉がなくても伝わることってあると思うんです」


——作品に“儚さ”がつきまとうのはなぜなんでしょうか。


Nadia「私は不安や恥じらいが好きなんです、“Headlong”の女の子たちのような。時として、その不安や恥じらいで登場人物がとても壊れやすいような繊細さを帯びるように思います。しかし新しい作品では、現代的な強い女性像を描いていています」


——若者を取り上げた作品が多いですが、それは意図的ですか。


Nadia「ユースにはとても興味があります。特にロシアやソ連崩壊後の国の若者。彼らは、西洋と付き合いもなく、関心ももはや全くありません。彼らは独自のアイデンティティを持っています。豊かな才能を持ち、自分自身の人生にこそインスパイアされている完全に異なるジェネレーションです」


Headlong / Глубже Short Film from Nadia Bedzhanova on Vimeo.

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