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text by Ryoko Kuwahara
photo by Takuya Nagata

NO MORE MUSIC Issue : 90’S TOKYO BOYS feat. Hiroshi Fujiwara

90s_3_NeoLphotography : Takuya Nagata | edit : Ryoko Kuwahara


——“BROTHER”はもう懐かしいくらいですよね。よくアルバムにハマったなというくらい4人の進化が激しい。


ハマ「全体のきっかけになった楽曲が“BROTHER”で、“NEKO”が今回の色を決定づけた」


HF「自分たちの中では2年前くらいからガラッと変わった感じがある?」


ハマ「いまのアルバムの方向性に変わったのは『BL-EP』がきっかけで、ロックバンドとしての方向性は“BROTHER”をリリースしたときですね。いわゆる歌えるリフみたいなもののループがあって、一気に曲調が変わるという手法を掴んだ感じがありました」


HF「ロックバンドとしての方向性ということだけど、自分たちをロックバンドと思っているの?」


ハマ「ロックバンドじゃないですか、未だに。ヒロシさんが僕らのことを全然知らなかったら、なにバンドだと思います?」


HF「なんだろう……コメディバンド(笑)。ビジーフォーの若い頃みたいな」


ハマ「正しい(笑)」


HF「でもそうだね、ロックの人たちが自分たちの好き好きな面白い音楽をやっているって感じなのかもしれない」


ハマ「そうなんです。そうじゃないとどれも格好つかない仕上がりではあると思っています」


HF「現代のローリング・ストーンズじゃないですか」


一同「おおっ!(笑)」


ハマ「ローリング・ストーンズに興味のないヒロシさんが言う(笑)」


HF「まあ、全く知らないですね」


一同爆笑


HF「詳しくないけど、ナイル・ロジャースとのディスコだったり、各年代に応じて色々やってますよね。でも所詮“Miss You”的なところがあるじゃん」


ショウ「そうですね(笑)」


HF「あの感じが完全にそう。ディスコをやってるけど、所詮OKAMOTO’Sじゃんって。でも『これくらいしかできないじゃん』って本物の人たちに思われるくらいが一番いい。上手になっちゃったらおもしろくない」


レイジ「コウキの狙い通りだね」


コウキ「僕、細野晴臣さんがものすごく好きなんです。初期のトロピカル3部作は、もちろんとても上手いんですけど、外人が見た日本の感じというか、いい意味でどこか経由してる偽物っぽい感じがあるなと思っていて。それをやりたかったというか」


HF「細野さんは楽器がすごく上手いけど、歌に上手い下手を超越した細野節がある。あれが全ての空気感を丸く包むんだと思います。OKAMOTO’Sの場合は、昔からあるロックのゴチャゴチャな魂のようなものがリードして、いろんな方向に行ってもちゃんとまとまる。独自の色が出る」


レイジ「それはあるかもしれない」


HF「トム・トム・クラブのドラムはめちゃくちゃロックで全くスウィングがないんです。縦のドラムなのに、ベースにノリがあったり、ギターもカッティングがきれいだったりというのがすごく面白かったから、もしかしたらそれぞれの方向にどんどん行ってもらって、ベースはロックだけどテクノをやるとかそういうポテンシャルがある」


ハマ「そう言っていただけると、伝わってるなと思います。前作で好評価のコメントをいただいたのは実は意外で。転び方によっては、無理してそんなことやらなくていいじゃんで終わっていてもおかしくなかった。それが響いたのが嬉しかったです」


HF「最初に観たときは騒がしい、サーカスの前座的バンドだったけど、去年のEPでドラスティックに変わったから」


レイジ「変わったのは、世の中の流れが大きかったです」


ショウ「1、2年くらい前から、言われなくても自分たちで踊れますという顔のお客さんが増えた気がします。同時に、フェスのような場所で求められていることも変わってきている気がして。以前はあまり長く遅いテンポのものをやると飽きられる感じがしていたのですが、今ならBPMを遅くしてもノリが出る。肌感覚的に時代が変わった気がしたので、こういう音楽を作れた」


——個人的に、Suchmosなどの音楽がロック・フィールドでも認められるようになったのは、OKAMOTO’Sが多様な音楽をカバーしたり、ライヴでもやることでオーディエンスに教育に近いことをやってきたのも多少なりとも影響しているんじゃないかと思っています。


ハマ「きっかけかはわかりませんが、そういうことをしているのは僕らしかいなかったのは確かにそうだと思います。サーカスの前座的というのは的確ですけど、フェスの30分のステージで、アラカルトのようなことをやるのは僕らしかいない時代があった」


コウキ「ヒロシさんはたくさん流行廃りというのを見ているわけじゃないですか。OKAMOTO’Sというバンドがその都度スタイルを変えて、流行のものを取り入れてやっていったほうがいいのか。元々好きだったものを変わらずにやって行った方がいいのか、どっちだと思いますか」


HF「OKAMOTOS’は流行りを取り入れているという感じはしないけどね。好きなものが変わっていって、変わっていく自分を『変わっていはいけないんじゃないか』と立ち止まりそうになることもあるだろうけど、立ち止まる必要はないんじゃないかな。好きだと思ったらそこに動いていいと、僕は思う。お客さんが求めているOKAMOTO’Sに対して変わるのが怖かったかもしれないけど、恐れずにドンドン変わっていけるほうがいい」


——そう言うヒロシさんがまず好きなことしかしないから、めちゃくちゃ説得力がありますよね。後輩のOKAMOTO’Sも、不器用ながら「好き」はずっとやっているように見えます。


HF「実は器用なんじゃないかな。だって、これだけまとまるわけだから。世の判断基準がないからわからないけど、不器用な人は延々ロックをやるんじゃないですか。仮に他に好きなものができたとしても、『自分、不器用なんで、一生これだけやっていきます』って」


——「自分、不器用なんで」(笑)。


レイジ「インスタストーリーを更新したい(笑)」


ハマ「波紋が広がる(笑)」

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