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text by Meisa Fujishiro
photo by Meisa Fujishiro

藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#45 食事法アップデート

MEISAFUJISHIRO4


 私は、このバターコーヒーに強く惹かれたのだが、何を隠そう私はコーヒーが体に合わないので試せない。きっとカフェインが合わないのだろう。そう思いつつ読み進めると、著者も実はコーヒーがだめだったのだが、探っていくうちにそれはコーヒーの質が悪かっただけだったと突き止めた。原因はカビであった。彼が紹介しているある研究では、加工前の90%以上の豆がカビ毒に冒されており、また別の研究ではレギュラーコーヒーの50%はカビているとのこと。カフェインのないデカフェコーヒーさえも体に合わなかったのは、デカフェには低品質のカビたコーヒーが使われがちだったからだ。私はそのことを知れただけでも、良かったと個人的には思う。オーガニックで、カビが発生しづらい水洗式で加工された、カビていないコーヒーで、バターコーヒーを試してみようと思う。私自身は、ダイエットの必要性は感じていないが、気分がすっきりして、脳が活性化されたハイパフォーマンス状態で生活する誘惑には、乗ってみようと思っている。
 アスプリーさんは、ダイエットだけを目的としているわけでなく、食事を通して体と精神の健康を保つ術全般について詳しく調べ上げて、独自のメソッドを公開している。二週間の食プログラムは、調理法の選択まで考慮した上で出来上がっているもので、要は、体を整え、体を作り、毒を排出するための、最高の方法がメニューとして並べられている。
 ダイエット効果を期待するのならば、まずは前述のバターコーヒーを毎朝飲むことが前提になり、その後の一日の食事の中で、上質の脂質と野菜をたっぷり摂り、たんぱく質をほどほどに、果糖は少しだけ、小麦粉は摂らない、をベースにしつつ、あとは個人の体質に合わせてアジャストしていくということになっている。


 食事法というのは、今までに無数にあったし、これからも尽きないと思う。科学的論証というのも、アップデートされるので、完成形というのは、もしかしたら無いのかもしれない。個人に合わせても、加齢やコンディション、季節によって、軸も変わるだろう。必要な知識は蓄えながら、身体の声を聞ける感覚をも大切にして、その声を信じることも一つだと思う。何かを試す時はしっかり試し、それに拘らずに、柔軟に順応していく。結局はそんなことだろう、と思う。
 

※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#46」は2017年9月20日(水)アップ予定。

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