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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#49 眼の力

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そう言う私も、生活地である沖縄と、主な就労地である東京とのやり取りは、メールを使うことがほとんどだ。その次に電話なのだが、こちらは全体の1割というのが実感だ。つまり視線を合わせてのコミュニケーションが薄くなっている。互いに癒し合えば、理解も深まり、いろいろ滞りなく流れるのだが、実際は会わずに済むなら効率的で、これからもこの感じは、戻らないだろう。そのせいか、仕事での撮影時は、視線欲が濃度たっぷりで出ているのかもしれない。いや、ほんとうに。
 なんとなく加齢臭的なひつこさが連想されるので、さっぱりと行きたいものだ。


 再び、本筋に戻すが、視線を合わせることで、癒し合うことは可能だ。
 その時点での最も曇りなき眼と心で、相手を見つめ、理解しようと望めば、それは簡単に叶う。仕事上の一期一会であれ、プライベートでの一期一会であれ、それらを疎かにせずに、相手を大切に扱うことで、自分も大切に扱ってもらえる。作り笑顔などなくていいし、社交辞令を重ねることも無しでいいので、上に立とうとせず、イニシアチブを取ろうとせずに、ただ誠意を持って、相手を見つめて話す。これだけのことで、相手との間の雰囲気がかなり柔らかくなる。
 とはいえ、苦手な人には、どうも伏目がちになるのも当然だが、思い切って誠意を持って見つめてみると、案外その苦手の人の眼の中に、純粋さや素朴さや、かわいい何かさえ見つけられるかもしれない。
 癒しというのは、癒されたいと願う前に、何かを癒したいという気持ちになれた時に始まることもある。癒しは、良質のエネルギーの交換でもある。どこかに出発点、起点が必ずあって、それが自分の眼からだということもあるのだ。


 さあ、眼から優しいビームを出そう。



※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#50」は2018年1月17日(水)アップ予定。

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