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text by Meisa Fujishiro
photo by Meisa Fujishiro

藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#54 砂糖抜き

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今月は、砂糖を抜いてみた。


 幼い頃から大のあんこ好きで、缶詰のゆであずきを一缶ぺろりといける口だったが、さすがに最近は加齢のせいか、摂取可能量もかなり目減りしてきた。5個はいけた豆大福も、今ではひとつで十分である。それでも手切れとならなかったのは、口から、舌から、胃から広がる多幸感故である。特に仕事で疲れた後の大福は、ささやかなれど、自分への最高の労いであり、もぐもぐしている瞬間の私は、紛れもなく、大いに幸せなのである。
 そんな私が、大福抜きとなる砂糖抜きを敢行しようとしたのだから、相応しいきっかけがあってもよさそうだが、これが無い。言わば、好奇心からだけである。巷に広がっている砂糖の害に関する諸説に対して、自分の経験を添えて実証してみたかった。
 こういう時の私は一切迷いが無い。大福の食べ納めもせずに、すぐに抜き始めた。
 結果から先に述べれば、砂糖抜きのこの一ヶ月は、体調が安定して良く、心もすっきりしていた。自分の心身が、自分のものとしてある実感があり、疲れが溜まりづらく、身軽で、若々しく過ごせたと思う。自分の身体がイメージ通りに動く、もしくは在るということは、どんなに快適かとういことを、よく知ることができた。
 さきほど、砂糖抜きを試みるにあたって、確たるきっかけがなかったと記したばかりだが、実は、砂糖を摂ったあとでの重たく眠い感じは、はっきりと悩ましく感じていた。身体には明らかに負荷が掛かっている自覚はあったが、心への癒しと天秤にかけて、まあいいだろうと判断していたのだ。
 心身を細かく区分せずに、全体的に判断する「まあいいだろう」は、ホリスティックなバランスを取ることを大切にする視点として間違っていないとは思うが、プラマイゼロを誤魔化しの方便に使うのも限度があるだろうと感じた頃が、言わば替え時なのかもしれない。若さや体力で有耶無耶にできる事にもタイムリミットがあるのは仕方がないことだ。それを受け入れるのは、まだ心の柔軟性があるだけ、ましなのだろうと思う。
 砂糖の功罪については、結構知れ渡っていると思うが、自分への復習にもなるので、以下にまとめてみた。


 メリット
  おいしい!と心の中でため息をもらし、時に叫び、時に身悶えし、時に笑顔になり、ちょっ
  とした悩みも「まあ、いっか」とうっちゃれる。
  つまり一時的な高揚感。


 デメリット
  これはネットでざっと検索をかけると、
  鬱、癌、肥満、消化不良、白内障、糖尿病、成長ホルモン減少、骨粗鬆症、虫歯、早老、視 
  力低下、免疫力低下、関節炎、眠気、頭痛、アルツハイマー、月経前症候群悪化、
  などの原因となるとして羅列されている。


これらが全て正しいかどうかは、専門家ではないので判断しかねる。なので、検証的なことは、ここでは一切省いて個人的な思いを中心にして話を進めたい。
 

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