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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#58 疲れをとる

NewMoon| Photography :  Meisa Fujishiro


 今回は疲労について。予防と、その処理の仕方を考えてみたい。
 

 疲労には、精神的な疲労と肉体的な疲労とがある。また、その両方が並存することもある。
 おそらく大方の人にとっては、心身共に疲れているケースが多いのではないか。どちらが先か明確なら、一方の芽を摘んでしまえばいいのだが、それは、はっきりしないことが多い。卵が先か鶏が先かである。
 心が病めば体も病むというのは、実感として多くの人が得ていると思うが、だからといって心のケアだけをしていればいいわけではない。逆に、病気や怪我などの身体の痛みから心の健康を失うこともある。
 その発端が、心と身体のどちらにあるにしても、それぞれが正常な状態からバランスを失うことが、全ての疲れの原因となっている。バランスを失っている状態を歪みと呼んでもいいだろう。心身の歪みが発端となって、失調をもたらし、疲れをもたらし、病気へと続いてしまうのである。なので、歪みをどう除き、歪みをいかに予防するかが必然的に大切になってくる。


 まず、疲労に関係する心身のシステムについての基本を整理したい。
 通常私たちが意識すること無くてもその働きが生きていく上で重要なものの中に、自律神経がある。呼吸や体温調節などを担当するあれだ。自律神経には、昼間活発になり人を興奮させる交感神経と、夜に活発になり人をリラックスさせる副交感神経とがある。この二つが朝と夜に交代することで、体調が安定しているのだが、これらは案外繊細で過度のストレスによって機能を失いやすく、そうなると夜に眠れなくなったり、呼吸が乱れたり、心が不安定になったりする。
 また自律神経とは別に司令塔のような働きをする中枢神経というのがあり、脳からの指令を体各部位にある末梢神経に伝える連携により、実際身体を動かすことができる仕組みになっている。ここの連携がうまくいかないと、身体が思うように動かず、つまり、だるい、重い、という実感となり、疲れとして認識される。
 このように、精神的な疲れとは、自律神経と中枢神経の状態が悪くなって起こる。


 また、身体の中の目に見える筋肉や骨格などのバランスが崩れること、つまり身体の歪みが、肉体的な疲労の原因となる。
 呼吸や体温などのコンディショニングを行う自律神経や、脳からの指示を出す中枢神経とが連携して、体調を万全にしようという努力を怠らないとしても、身体が歪み続けていては、つまり正しくない姿勢をデフォルトにしてしまっていると、自律神経や中枢神経なども混乱し乱れてしまう。歪んだ姿勢は、もちろん身体的にも変調をきたす。血液や体液の流れが悪くなり、凝りや痛みを生みだし、代謝が悪くなり、容姿にも悪影響をもたらす。見るからに不健康そうになり、艶のないオーラをまとうことになる。
 

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