NeoL

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text by Shoichi Miyake
photo by Akiko Isobe

Interview with Rei about “REI”

NeoL_Rei1| Photography : Akiko Isobe

長岡亮介(ペトロールズ)をプロデューサーに迎えた『BLU』を皮切りにシンガーソングライターとしての本格的なキャリを始動してから3年。彼女、Rei特有のダイナミックさとチャーミングさが共存した歌とギタープレイは国内外で確実に支持を集めてきた。そして、ここに完成した1stアルバム『REI』のリリースタイミングでユニバーサルミュージックに移籍。より大きなフィールドにその並びない音楽力を解放しようとしている。

──Reiさん自身、どういう1stアルバムができたという実感がありますか?


Rei「今回、表記を“1stアルバム”にしていてあえて“1stフルアルバム”にしてないんです。海外ではフルアルバムという形式はないし、フル=完成されているという意味もあるので、これまでリリースしてきた作品と優劣をつけたくなくて。それであえてフルを外したんですけど。結果的に最初の作品『BLU』のときから変わらない自分のスタンスを落とし込めたし、それと同時に曲数が多いことでいままで以上にカラフルなアルバムが作れたと思います」


──長岡亮介氏をプロデューサーに迎えた最初のミニアルバム『BLU』から3年経ったわけですが、Reiさんの体感的にどうですか? あっという間だったのか、長かったのか。


Rei「長かったです。体感としては10年くらい経った感じですね(笑)。この職業にはルーチンワークがあまりないので刺激的な日々を過ごせてるからだと思うんですけど」


──音楽に没頭できた3年だったと思います。


「そうですね。自分の中から湧き出てくるアイデアをひたすら具現化してきたという感じです。アイデアが湧くスピードとそれを具現化するスピードってやっぱりちょっと違うので。それが追いつかないもどかしさがあったり、逆にそれを美しく具現化できた喜びを覚えたり。そういうことを繰り返してきた3年間ですね」


──この1stアルバムを聴いて、まさにこの3年間で培ったことが如実に表現されていると思いました。“解放”という言葉がすごくフィットするアルバムだなと。このダイナミックな音楽表現の解放に至るまで、いろんな変化もあったと思います。


Rei「いろんなことに対して寛容になりましたね。自分が信じているもの、好きなものはブレていないんですけど、人の価値観を肯定できるようになったというか。『それぞれのあり方があっていいよね』ということを、無理せず思えるようになった感覚があります」


──なぜそうなれたんですかね?


Rei「いろんな方とセッションするようになって、音楽の中で会話をしていると『なるほど、あなたはそういう考え方なのね』って感じることが多くて。これまで触れてきたことのない価値観を素敵な違和感だと思えるようになったというか」

NeoL_Rei2| Photography : Akiko Isobe

──ニューヨークで行った「TED」のパフォーマンスも話題になりましたが、近年はライブで海外にもよく行ってましたよね。


Rei「たくさん行かせていただきました。バンコク、ジャカルタ、テキサス、フランス……フランスではイギー・ポップとかが出演していた『Les Eurockeennes de Belfort』というフェスに出させていただいて。向こうの方が誰も私のことを知らないような状態で、さらに新人なのに1万8000人くらい収容できるステージだったんですよ。なので、とにかく“Do My Thing!”というか。そういうモードでライブをしたらすごく受けいれてもらえたんですよね」


──自信にもなりますよね。


Rei「こんな快感があるんだなと思いました」


──それにしても全然、浮かれてないですよね。


Rei「浮かれてないですね。むしろ慎重になりすぎる傾向があるので気をつけてるくらいです。縮こまらないようにしなきゃって」



──Reiさんにとってギターという楽器は音楽表現をするうえで重要な存在であり続けていると思いますが、このアルバムを聴くと、そのうえでさらにソングライターとして、シンガーとしてポップミュージックの領域に足を踏み入れているなと感じたんですね。今のReiさんにとってギターはどういう存在ですか?


Rei「ギターは変わらず、私にとって最高のバイプレーヤーという感じです。主役は曲だったりメッセージだったり歌であって。でも、“彼”がいないと私の音楽は成り立たないとも思ってます」


──歌に対しての意識はどうですか?


Rei「歌は……う〜ん、変わらず自分のことを歌手だと思っているところがあるので。第一印象は歌であってほしいなという想いはあります」


──ただ、どちらかと言えばこれまではブルースを出自に持つギタリストとしての面がフィーチャーされてきましたよね。


Rei「そうですね。それはそれで光栄なことではあるんですけど、私が意図してその方向に舵を切っていたわけではなくて」


──もちろん、ギタリストとしてフィーチャーされることもネガティブな事象ではないし。


Rei「プラスではあると思います。たとえばプリンスやMIYAVIさんもそうだと思うんですけど、ギターと歌の両方に魅力があって多くの人から支持を集めているというのは一つの理想像ですよね」



──セルフタイトルアルバムだし、今のReiさんを象徴する作品という自負があると思うんですけど、音楽的なアプローチはだいぶ幅広いですよね。ニューウェイヴ、サーフポップ、ファンクロック、カントリー、80’sポップまでいろんなサウンドプロダクションにタッチしていて。そこは意識的ですか?


Rei「そうですね。こなれた内容にしたくないと思ってたんです。よくも悪くも私自身がいびつで凹凸のある人間なので。そういう部分を隠さずに音楽に反映できたらいいなと思って作りました。欠けてる部分があるということを後ろめたく感じてしまうときって誰しもがあると思うんですけど、それも一つの魅力として映るような構成にしたいなと思いました」


──リリックでもそういう思いが言葉に形象化されていますよね。“PLANETS”の歌詞なんか特に。自分自身をエイリアンに見立てているような内容だと思うんですけど。
「この曲は孤独について書きたいなと思って。自分が好きなものや自分の考え方が、世の中や周囲にフィットしていないなって感じることがあるんだけど、それが気持ちいいなと思う瞬間もあったりして」


──表現者としてはその違和感をストロングポイントに変換することができる。


Rei「そうですね。孤独という言葉について考えたときに、自分ととことん対峙できる人って、他者ともとことん対峙できる人だと思うんです。そういうことを表現したいなと思いました」


──人生としても、音楽的にも、Reiさんの原風景はアメリカにあると思うから、そういうバックグラウンドも含めて、日本にいるときに所在のなさってずっと感じてきたんじゃないかと思うんですね。


Rei「今ではそれをすごく大切にしてます。無所属感というか、どこにも属してない感じがカッコいいと思うから。すごく大変なこともあると思いますけどね。やっぱり何にも似ていないということは、不安感を与える要因にもなると思うので。でも、どんどん誰にも似てない自分でありたいと思えるようになって。さっきのギターの話に戻りますけど、CDデビューしたころはギターの存在が愛おしくも憎いと思うところがあって」


──愛憎入り交じっていた。


Rei「そうですね。べつにギターが私のアイデンティティではないはずなのに、それがどんどんひとり歩きしていく感覚があって。そこへの葛藤はたぶんあったと思います」


──でも、それを乗り越えたことを、自分のルーツとあらためて向き合うようにアルペジオを紡いでいるラストのインストナンバー”before sunrise”で証明していると思います。


Rei「必然的にこの曲がラストナンバーになりました。私とギターから始まった音楽なので、最後に2人きりに戻るというか。その部屋からまた飛び出すという意識もありました。やっぱりギターが私の一番の理解者だと思うんです」


──このアルバムを作ってまた新たに突き詰めたいことも見つかったんじゃないですか?


Rei「このアルバムを作っていてギターと打ち込みの音の絡み合いがすごく気持ちよくて。たとえばDJと2人でライブのステージに立つのもありなのかなと思ってるんです」


──一方でビッグバンドを従えたライブをやってもいいだろうし。


Rei「いいですね! このアルバムもけっこう管楽器が入ってるし。あと、海外とか国内とか、そういう場所の区別はせずにオーディエンスがいるところに身軽に行って演奏できるようなミュージシャンになれたらいいなと思ってます。みんながどこにいても口ずさめるような曲を作って──せっかく全世界の音楽と一瞬で繋がれるサブスクリプションもあるので自分の音楽を広めたいというのも一つの野望です」

NeoL_Rei3| Photography : Akiko Isobe


photography Akiko Isobe
text Shoichi Miyake



UCCJ9217_ReiREI-limitededition-05のコピー
Rei
『REI』
2018.11.7 out
(Universal)
Amazon
iTunes


Rei Release Tour“Rei of Light”


2019年2月1日(金) 浜松FORCE
open 19:00 start 19:30
info: BOOM BOOM-BASH 054-264-6713


2019年2月2日(土) 神戸VARIT.
open 17:30 start 18:00
info: SOUND CREATOR 06-6357-4400


2019年2月9日(土) 横浜Baysis
open 17:30 start 18:00
info: HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999


2019年2月15日(金) 名古屋CLUB QUATTRO
open 18:45 start 19:30 info: JAILHOUSE 052-936-6041


2019年2月17日(日) 福岡BEAT STATION
open 17:30 start 18:00 info: KYODO WEST 0570-09-2424


2019年3月1日(金) 大阪 梅田CLUB QUATTRO
open 18:30 start 19:30 info: SOUND CREATOR 06-6357-4400


2019年3月2日(土) 岡山 CRAZY MAMA 2nd Room
open 17:30 start 18:00 info: YUMEBANCHI 086-231-3531


2019年3月8日(金) 仙台MACANA
open19:00 start 19:30 info: GIP 022-222-9999
2019年3月10日(日) 札幌 BESSIE HALL
open 17:30 start 18:00 info: WESS 011-614-9999


2019年3月15日(金) 東京LIQUIDROOM
open 18:30 start 19:30 info: HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

Tickets: ¥3,800-(+1 Drink)


Reiny Recordsチケット先行受付スタート!
Reiny Records先行 http://eplus.jp/reinyrecords-19/
2018年11月7日(水) 8:00~11月20日(火)23:59



Rei 
兵庫県伊丹市生。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターをはじめ、5 歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。2015年2月、長岡亮介(PETROLZ)を共同プロデュースに迎え、 1st Mini Album『BLU』をリリース。FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVAL、SXSW Music Festival、JAVA JAZZ Festivalなどの国内外のフェスに多数出演。2017年7月、CD+MUSIC BOOK『CRY』をリリース。同月、フランス・ベルフォールで行われた「Les Eurockeennes」に出演、12月より初のソロ・アコースティックツアー「Rei Acoustic Tour “Mahogany Girl”」を全国10公演開催。2018年2月、CD+DVD『FLY』のリリース、3月より全国7箇所のリリース・ツアー「FLYING R TOUR 2018」も開催。2018年7月、自身のレーベル “Reiny Records” と共にユニバーサルミュージックに移籍。11月7日1st Album『REI』をリリース。

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