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冷戦下のベルリン、代理戦争の舞台・動物園のウソみたいなホントの話

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『東西ベルリン動物園大戦争』という本書のタイトル、巻頭に用意された「主な登場人物の相関図」から、フィクションだと思ってしまいそうだが、ドイツ各地を1年かけて取材し、膨大な関係者の証言を取り、公文書館を調べて回り執筆された実話。そもそも著者のヤン・モーンハウプトは、様々なメディアに寄稿している、ジャーナリストである。

…のだが、そうと知って読んでも、そのこと自体を疑いたくなるくらい、ヘンテコな逸話が続く。

それでも本書に添えられた、京都大学総長で霊長類学者の山極寿一さんによる「動物園人にしかわからない不思議な世界がある」という帯文や、元上野動物園職員の黒鳥英俊さんの監修を読む限り、どうやら“動物園人”というのは、元来そういうものらしい。

壁で分断されていた時代のベルリンにあった2つの動物園で、東西の威信をかけてゾウや珍しい動物の数を競い合い、東がお金を集めてメガネグマを買ったかと思えば、西はパンダを入れるために画策する……その悲喜こもごもは、単純に読み物としてもおすすめ。

『東西ベルリン動物園大戦争』
ヤン・モーンハウプト
CCCメディアハウス
2808円
Amazon

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