NeoL

開く
text by Ryoko Kuwahara

Fiction Issue: Interview with Clint Woodside x Dan Monick about “Vineland”

Vineland_Dan_02
(C)Dan Monick



——二人展ということで、どういう風に撮影し、セレクトして、ビジュアルトレーニングをしたんでしょうか。



Dan「俺はこの場所に何度も来たことがあるんだけど、Clintはほとんど来たことがない。でも二人とも似たような撮影をしているのが面白いよね。二人にはいろんな共通点があるけど、彼は俺と同じことを感じているんだなって、言語化できない不思議な感覚を覚えるよ。
俺たちはほとんど一緒に撮影をした。同じ被写体に目が向いたり、一人が見つけたものを二人で撮影したり、一人が最初に見落としたものをもう一人が撮る、最初に見落とした一人が戻って同じものを撮るーーなんだかお互いの審美眼が試されているような不思議な感覚を覚えたよ」


Clint「今回の撮影を通して、お互いへの理解や共有することの素晴らしさを学んだ。誰が撮ったからとか、誰が好きだからとか、そのようなことよりも良い作品を作っていこうということに集中した。この場所が持つ独特な雰囲気を表現することに重点を置いたんだ」


Dan「そう! 共通点がある俺たちだけれども、やはり挑戦でもあったと思うよ。俺は長い間あの場所に足を運んでいたけれども、まだどのように表現したら良いのか分からない。あの場所に数回しか足を運んだことがない人は、何が起こっているのかさえ全く理解出来ないと思うし」


Clint「俺は完全に観光客みたいな感じだし(笑)。街との関係は本当に全く違うけど、制作のスタート地点は確実に同じ場所からだったね。俺たちは、今回展示を深く理解してもらうためにこの写真集を作ったんだけど、それも『VINELAND(ヴァインランド)』というプロジェクトの一環で、展示をすることもそのプロジェクトのうちの1つなんだ」


Dan「展示はcommune のミユキとの話から始まった。俺たちが日本で展示をしたいと言ったら、『じゃぁ、何の展示をするの?』って聞かれたんだ。色々と考えていたんだけど、ある日、このプロジェクトの撮影をしていてこれだ!って閃いた」


Clint「写真集に関しては、最初に二人で同じ数の写真を出すことに決めて、そこから選んだ。最終的に60枚の作品が必要だから30枚ずつに分けた。各ページをめくるごとに、サンフェルナンド・バレーを行き交うような感じにしたかったんだ。(写真集をめくりながら)これがDanの写真でここに郵便ポストが写ってるよね。そして、これが俺の写真。(Clintが写した郵便ポストを指差す。- 真ん中の見開きの状態で、左側にDan、右側にClint。同じ郵便ポストが違う角度からそれぞれの写真に写されている。)そう、俺たちは同じ場所を撮ったんだ。そして、このDanの写真と俺の写真が境目になっていて、前半がDanの作品、後半が俺の作品になっている。
それで、そのアイデアを今回の展示にも用いることにした。サンフェルナンド・バレーを行き交うような感じだよね。でもそれぞれの作品が分かるようにしようということになって、Danの方が背が高いから上の方へ、で、俺は下の方になった(笑)」


Dan「背の高さは冗談だけどね(笑)。レイアウトに関しては、どうしたら興味深く且つストーリー性を見せられるかというところに重点を置いた。オレは大きく繋がるようなラインが好きで、色々と試行錯誤したよ。たまには、決断を下すのに理由はいらないのかも。考え過ぎなくて済むからね。
俺たちはそれぞれ30ロールのフィルムを使った。50枚ずつぐらい撮ったかな。で、展示には10〜12枚の作品が必要だったから、写真を現像してから床に並べてどの作品を展示に使うか決めたよ。座って眺めたり、大切な友達を集めて見てもらったり。誰が撮ったかは言わなかった。ただ、シンプルに床に並べた写真を動かしたり、眺めたりして、最終的に『これだ!』って瞬間が来るまで色々と試行錯誤したんだ。一サイエンスでもなんでもない、ただ心に忠実に選んだよ」


Vineland_Clint_02
(c)Clint Woodside

1 2 3 4 5

RELATED

LATEST

Load more

TOPICS