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『大人は判ってくれない』のような、少年少女の青春と成長の物語

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「アヌシー国際アニメーション映画祭2016」の長編部門で、グランプリにあたるクリスタル賞と観客賞を受賞し、峯田和伸、麻生久美子、リリー・フランキーらが日本語吹替を担当したことでも話題をさらったストップモーションアニメ『ぼくの名前はズッキーニ』。

9歳の少年”ズッキーニ”が思わぬ事故で母親を亡くしてしまうエピソードから始まる物語は、繊細で大胆で、ストップモーションアニメだからこそ描けた世界――と、つい思ってしまうが、この映画には原作があり、その小説が『Ma vie de Courgette』。

日本で初めて翻訳版が出版された時のタイトルは『奇跡の子』。それが、映画公開に合わせて『ぼくの名前はズッキーニ』というタイトルで新装版が出版されている。

著者のジル・パリスは、ジャーナリストでもあり、養護施設や教育機関、児童指導員やこどもたちへの取材を行った上で執筆。映画では軽く触れるに止めざるを得なかった(それが映画化としては成功だったわけだけれど)5人のクラスメイトたち、”シモン”、”アメッド”、”ジュジュブ”、”アリス”、”ベアトリス”のエピソードや境遇も丁寧に描かれている。

フランソワ・トリュフォーの映画『大人は判ってくれない』も思い起こさせる、暖かいだけではない、大人向けの原作は、特に映画版でシモンの男気に涙した人にはぜひ読んでほしい。

『ぼくの名前はズッキーニ』
ジル・パリス
DU BOOKS
1,800円
Amazon

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