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text by Shiki Sugawara

GIRL POWERED Issue:The History of Girls in Movies2

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(前記事はこちら)
”女性の在り方”ーー各時代の社会性に伴い続けてきたその著しい変化は、スクリーンの中の女性像に分かりやすく見てとれる。”そう在ってほしい”姿から、”そう在りたい”姿への道のりを辿ってみよう。


2.1960年代後半(カウンターカルチャー、アメリカン•ニューシネマ)- 1990年代(戦う女性の誕生)



前記事のとおり”理想化”のもと抑圧されたアメリカの家庭で生まれ育ったベビーブーマー達が、そんな理想はまがいものだと反抗しカウンターカルチャーを起こしたのは60年代後半。そんな新たな波とハリウッドで長きに渡り守られ続けていたヘイズ•コード(注1)撤廃の実現が創ったのが”アメリカン•ニューシネマ”という全く新たなジャンルだった。”アメリカンニューシネマ”はヘイズ•コードの脱却からの過激な描写と同時に、これまでのハリウッド的「めでたし、めでたし」なハッピーエンドを否定したリアリティ重視のストーリーテリングが最大の特徴。しかし自由と解放を求めたこのムーヴメントの中で女性はあくまでひとつの要素でしかなく、より「男の世界」が強調されることとなる。例えば、ボニー&クライドが逃避行を続ける『俺たちに明日はない』(1967年)は、強盗を続けていたクライドがヒロイン•ボニーと恋に落ち、二人の幸せな生活を望み現状から脱却しようとしたことから悲劇を生む展開となる。これは『卒業』(1967年)でもめでたくヒロインと結ばれた主人公の表情がうつろに見えることにも共通している。また、『イージーライダー』(1969年)や『真夜中のカーボーイ』(1969年)では女性はほとんど存在しないかのようにそこで描かれるのは「男たちだけの世界」である。これは、「アメリカン•ニューシネマの定義とは個人の解釈しだいである」ということにも表れるように、個人性、孤独性こそが自由だという当時の風潮からだろう。


この後、ベトナム戦争の終焉とともにカウンターカルチャーも下火をむかえ、それにともないアメリカン•ニューシネマも衰退していく。そんな中、フェミニズム運動は時代を台頭し、70年代後半には女性の主張が社会において大きな存在となっていき、新しい女性像が生まれていった。


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ウディ•アレン監督『アニー•ホール』(1977年)のダイアン•キートン扮するヒロイン•アニーの”30代女性のメンズファッション”、また「アニーが恋しい」と嘆く男性主人公に、「すべてに悲観的で死ぬことばかり考えているあなたとは、人生を楽しめない」ときっぱり言う姿も当時としては斬新なものとして人々の目に映った。
そしてリドリー•スコット監督『エイリアン』(1979年)では、主人公シガニー•ウィーバー扮する女性士官が、女王個体の卵を生むことを役割とするエイリアンを駆逐する。これは、伝統的な母親としての女性のイメージを新しい女性像が打ち砕く図式として見てとれるものだ。最近でもシガニー•ウィーバーは、インタビューで「『エイリアン』は、女性の能力、機智と勇気という監督からのメッセージが込められていた」と語っている。


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ジョン•カザヴェテス監督『グロリア』(1980年)も、戦う女性をコンセプトとしこれまでの「守られる女性」としてのヒロイン像を越える現代的な存在として、主演ジーナ•ローランズの名演で実現した。彼女が『エイリアン』の孤独でタフな女性士官とは異なるのは、子供を守りながら自由奔放でハードボイルドな女性でいる点だ。ここでは一面化されていた女性の母性に、多様性を持たせた。


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映画にとって女性の役割が単に花を添えるだけではなく、自分の自由意志で生き方を選択する存在として描かれる風潮はこれ以降90年代に『ニキータ』(1990年)などに受け継がれていく。特に1991年の『テルマ&ルイーズ』は90年代女性映画のエポックメイキング的な作品といえる。前述の『俺たちに明日はない』のボニー&クライドが男女の逃避行だったに対し、彼女たちは男性の力を借りることなく自分たちの力だけで困難に立ち向かう。そして彼女たちが逃れるのは、夫によって抑圧された家庭である。これまでは男性しか行わなかった強盗を、女性ならではのやり方で行う姿は、アメリカン•ニューシネマの時点では考えられもしなかったことであろう。二人の、「最高のバカンスね」「本当の自分になれたのよ」というやり取りに多くの女性が勇気を得た。



(注1)ヘイズ•コード:犯罪•暴力•性描写の映画における倫理規定。1934年から68年まで、全てのアメリカ映画はこのルールのもとに製作されていた。ヘイズ•コードでは以下のことが例外なく禁じられた。冒涜的な言葉(“hell,” “damn,” “Gawd,”など)をいかなるつづりであっても題名・もしくはセリフに使うこと、出産シーン(シルエットのみの場合も含む)、模倣願望を誘発する殺人シーン、トイレを写すこと、男女が同じベッドに入ること、過激もしくは好色なキスシーン(3秒以上)、不倫を肯定的に描くことなど。このため若者達はヨーロッパ映画を観るようになり、アメリカ映画はビジネス面としても困窮することとなる。

次回The History of Girls in Movies3へ続く


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text by Shiki Sugawara

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