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text by Baihe Sun

Self Isolation Issue :「生産性を気にすることをやめれば、すべてをクリエイティブな活動に変えることができる」 Interview with Baihe Sun

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フィジカルには距離を置かねばならない現状に際し、アイデアや情報のシェアでポジティヴに自宅での時間に向き合うための「Self Isolation」特集。アーティスト/クリエイターによるいまの状況への向き合い方やオンラインで楽しめる情報などを随時アップデートしていく。
日本で生まれ、中国で育ち、ニューヨークで美術を専攻しているBaihe Sun。いくつかの国をまたいで家族を持つ彼女は、COVID-19の発生からオンラインでの授業へのシフトに伴う時間の感覚の変化に悩まされたという。先のことを考えることをやめ、ルールを廃止し、ルーティンを持つーーこの混乱を生き抜くために身につけた術をシェアしてもらった。

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ーー新型コロナウィルス感染症(COVID-19)で生活、クリエイティヴ、ビジネス、それぞれの面でどのような影響が出ていますか。


Baihe : 私は今年大学卒業の予定で、ニューヨークでクリエイティヴな生活を送っていました。COVID-19発生直前の3月9日に東京に戻り、飛行機に乗る前にただ一人にしかちゃんと別れを告げる機会がありませんでした。アメリカでも日本でも何が起こっているのか全くわからなかった。COVID-19はありとあらゆる方法で私の生活を変えました、全世界が変わらざるを得なかったのと同様に。すべての授業がオンラインに移行し、ほぼ毎日午前1時から午前6時までオンラインの授業に出なくてはなりません。ニューヨークと東京、真逆の時間を生きているのです。それが私のクリエイティブな活動にも大きな影響を与えています。時間の概念が曖昧になりつつあるため、すべてが夢のように見え、感じられます。そんなつもりは無かったのですが、自然と夢を写し取るような作品になってしまいます。また、家族と一緒に暮らすのも大変ですね。私は18歳の時に家を出て、パリとニューヨークで一人暮らしをしていました。もう子供ではないのに、まだ子供のように振る舞えるというのはとても奇妙な感じがするものです。そのことも私の作品に変化をもたらしていると思います。



ーーこの側面で新たに気づいたこと、心がけたいことがあれば教えてください。


Baihe : パンデミックの前には気づかなかったけど、たくさんのことが明らかになりました。「母なる地球を守る」「愛する人と時を過ごす」「差別主義者にならない」「本当にやりたいことをする」。ただ言うだけではなく行動にしなければいけない。私は自分が持っているもの、宝物のように大切なものにもっと意識を向けるようにしています。COVID-19が収束した後も、私は愛する人たちにいつでもとても気にかけていると伝えるようにするつもりです。行動に移すことができることはもっともっとたくさんあります。

ーー緊急事態宣言への精神的、物理的対応があれば聞かせてください。


Baihe : 私は奇妙な立ち位置にいて。東京で生まれ、北京で育ったので、両方の国に家族がいます。中国で最初にCOVID-19が発生したときは何が起こっているのかよくわかっていて、精神的にも準備ができていました。しかし約2ヶ月前にニューヨークと東京のどちらもが悪化し始めたとき、私はそれが起こりえることを知っていたけど十分な知識や心構えでは無かったのだと痛感しました。このウイルスは自分が知っている誰かが亡くならない限り、自分には遠い存在だと思っていたけどその考えは甘かった。それで私はすっかり神経が参ってしまったんです。最初の数週間は一日中パジャマを着ていましたが、それが自分にとって良くないと気づきました。この状況下では特に、見た目をちゃんとして、清潔感も保つ必要があります。ルーティンもできて、今は前よりポジティブになれました。ルーティンを持つことは非常に重要。悲しい気分になったときはドレスアップして家族のために料理をし、残りの時間はたくさんの読み書きをします。夜には川沿いを散歩するために出かけるのがお気に入りの日課です。







ーーご自身の活動を鑑みて、室内でどのような創作が可能だと思いますか。


Baihe : 個人的には、この困難な時期に「良い仕事」をするように自分を仕掛けるのは無理だと思っています。生産性を気にすることをやめれば、すべてをクリエイティブな活動に変えることができると思いました。今のところ、昼間は料理、お菓子作り、絵を描くことに夢中で、真夜中に書き物をしています。フォトジャーナルもつけています。





ーーオンラインの活用方法や1人でもできる施策など、良いアイデアがあればシェアをお願いできますでしょうか。


Baihe : 「JoMO」(Joy of Missing Out/見逃すことの喜び)というアイデアが大好きです。長いメールやビデオ通話で友達と連絡をとっているので、ソーシャルメディアに費やす時間が減っています。私はショートメッセージが好きではありません。「元気?」というメッセージすべてに返信するのはちょっとストレス。物理的には遠く離れていても、親しい友人たちとともに過ごせる新しい方法を考えるべき時だと思います。
私はオンラインプラットフォームで、文化的/教育的リソースを探しています。困難な時期に支援をしてくれる施設や出版物の努力、寛大さには本当に感謝しています。







ーー新たにチャレンジしてみたいことはありますか。


Baihe : 現在、ルールではなくルーティンを持つという挑戦を行なっています。思いもかけない、生を実感するような時間を持ったことで自由な気持ちを味わえているのです。今の日課は、毎日1時間ヨガをすること。また、フランス語での読書にも時間を費やしています。


ーー事態が好転し、COVID-19が収束したらしたら何をしたいですか。


Baihe : トリッキーな質問ですね。このパンデミックが始まった時に先のことを考えるのをやめたので、何も計画はしていませんが、もっと旅行したいです。愛する人たちとももっと時間を過ごしたい。








ーー政府の施策は満足できるものだと思いますか。もしNOであればどのようなことを提案したいですか。


Baihe : これもトリッキーな質問。私は3つの異なる国に住んでいて、世界中に大事に思っている友達がいます。政府が人々の命のことを真剣に考えていないために、いくつかの国が悪化しているのを見るのは衝撃的だし腹がたちます。個人的な意見ですが、中国はさらに悪化する前に武漢を封鎖したことでうまくいったのではないでしょうか。中国に住んでいる私の家族や友人はみんな政府が作ったルールと自主隔離の政策を徹底して守っていますが、それが合理的であり、おそらくこの状況から抜け出す唯一の方法だと思います。


Baihe Sun

Artist

IG : niuniu_sun

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