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これらの「山」は果たして本当の山なのかという疑問から生まれた、濱田祐史『Primal Mountain』刊行


濱田の代表作のひとつである「Primal Mountain」は、一見すると山の風景写真のように見えるが、実は私たちの身近にある素材で作られた「山」であることに気付く。


「真実と虚」「見えるものと見えないもの」という自身のテーマと、震災の体験が繋がっていく中、ある日友人から山の写真のポストカードが届いた。


濱田は、そこに写る美しさとともにある嘘っぽさに、これらの「山」は果たして本当の山なのか、という疑問を抱き、「Primal Mountain」の撮影を始めた。


目の前に見えている山を、私たちは一体何をもって山だと認識するのだろう。ここでは”作られた”ランドスケープを、私たちの脳がつい風景だととらえてしまうことさえ、心地いい経験となっていくのだ。



本作は袋とじのような綴じ方を採用し、ページの裏側に、写真の拡大図を印刷しており、横から裏側のイメージを覗くことができる。


綴じを“山”と”谷”に見立て、「見えるものと見えないもの」を一冊の中で体現した仕掛けで、ページをめくる行為を通して、リアルとファンタジーの間を軽やかにたゆたい、「見ること」とは何かを問いかける。


巻末には濱田自身がその思想に影響を受けたという、松岡正剛による寄稿を収録。また本書の刊行に合わせて、プリント付きの特装本も限定販売。


これらは「もどき」と「らしさ」のヴィスタの提示なのである。ー松岡正剛



濱田祐史/Yuji Hamada
1979 年大阪府生まれ。2003年日本大学芸術学部写真学科卒業。写真の原理に基づき概念を構築し、ユニークな技法で常に新しい試みを行う。 写真集『photograph』が Paris Photo/Aperture First Photobook Award 2014にノミネートされるなど、東京を拠点に活動し国内外で作品発表をしている。主な個展に「写真における色のシリーズ」の三作「K」「RGB」「C/M/Y」(PGI、東京)、「photograph」「Primal Mountain」(GALLERIE f5.6、ミュンヘン)がある。主な展示にスイスのFestival Images(2014年)、フランスのAix en Province Photo Festival(2015年)など。写真集に『C/M/Y』(Fw:books)、『BRANCH』(lemon books)がある。



【book】
濱田祐史『Primal Mountain』
デザイン:田中義久
寄稿:松岡正剛
仕様:B6変型/ソフトカバー/96P
言語:日本語/英語
発行:torch press
発売:12月上旬発売予定
定価:4,000円+税
http://www.torchpress.net/2019/11/14/book-primal-mountain/


【exhibition】
関連展示「至近距離の宇宙 日本の新進作家 vol.16」
東京都写真美術館 2019年11月30日~2020年1月26日
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3447.html

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