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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#10夜明け

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朝に会いに行く。
これは、ただの修辞ではなく、実際の行動として自分が毎日やっていること。
朝が来る。多くの人は、東の空から勝手に朝がやって来るような感じでいると思う。つまり、たいがい人は朝を「待っている」
ではなくて、こちらから朝に会いに行くという気持ちを持つだけで、その日が、がらりと変わるので是非試してほしい。
過去の新月譚でも自分の朝の過ごし方について少し触れたのだが、自分は朝に会いに行き、その時間の中で、簡単なヨガと二十分ほどの瞑想を日課にしている。
だが、ここでは瞑想やヨガは省いておこうと思う。何よりも大切なのは、朝に会いに行くこと。
効果としては、心が広く優しくなれ、能動的、生産的、肯定的になれるということが挙げられる。
まず自覚できるのは、このような精神的な作用だと思う。精神と身体は相互に影響を及ぼし合うので、精神的な作用は、身体的に何かの作用を与える。どちらかが良くなれば、片方も良くなるし、その逆のケースが病気を誘発する。
朝に会いに行く。このことで、精神的に上向けば、身体も上向きになる。単純なことだが、本来、人間に限らず、世の中の全ては単純なのだと自分は思う。人間は複雑だ、思いは複雑だ、と思う気持ちが、それらを複雑に見せかけて、それを信じてしまっているだけだ。
さて、では具体的に、どう朝に会いに行くのか、について。
朝といっても、時間帯的に、どう捕らえるかは、まちまちだが、ここでは、「夜明け前」と限定させていただく。「夜明け前」と聞いて、もう数年そんな時間に起きたことが無い人は、自分とは無関係なものだと思うだろうが、休日とか月曜日とかに、ものは試しにやってみてほしい。夜遊びが好きな人にとっては、もしかしたら親しみのある時間帯かもしれない。朝帰りの時、いろいろ重たいはずなのに、夜明けの帰路には、なんとなしの潤いがないだろうか。

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