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text by Atsunobu Ushizu

Fiction Issue : Movie Selections

SNSの台頭とともにリアルとフェイクの境界がおぼろげになった現代社会。どこまでがリアルで、どこからがフェイクなのか? はたまた、その“色分け”なんてものにもはや意味などないのだろうか? SNS、ネット社会、虚実の壁について描いた8本の映画をお届けする。

facebookで大逆転


リアル友人数を知りたくても、やっちゃダメな禁じ手とは?

日々の出来事をアップし「いいね!」を稼ぐ主人公。ある時、同僚に「お前、みんなから嫌われてるぞ」と言われ、「リアルな自分」について考え始めるが・・・。友人に「彼は死にました」と偽情報を書かせ、皆が悲しんでくれるのを楽しむ姿はあまりにイタいが、自分の葬儀によってリアルを推し量るこの趣向は「クリスマス・キャロル」でも見られた古典手法。純然たるコメディながら、訃報に「いいね!」がつく瞬間にはゾッとさせられる。
『Facebookで大逆転』(原題:Friends to Death)
監督:サラ・スミック、出演:ライアン・ハンセン、ジェームズ・インメカス、ザック・マッゴーワン
2015年/アメリカ



何者


自分って何者?——それは時代を超えた、普遍的な問い

朝井リョウによる同名小説を原作に、大学生が就職活動を通じて仲間と繋がり、そして何よりも自分自身の内面と向き合っていく群像劇。かつて『就職戦線異状なし』(91)なる映画があったのを懐かしく思い出すが、本作ではSNSの存在が各キャラに複層的な言葉と表情を与え、固い結束を誓い合ったその裏側で思わぬ本音や切実なドラマを発露させる。自分が「何者」なのかわかりにくいこの時代。ある意味、問い続けるその姿こそが「正体」なのかもしれない。
『何者』
監督:三浦大輔、出演:佐藤健、有村架純、菅田将暉
2016年/日本



ステイ


行き場を失った彼らが寄り添い合う場所とは?

『JUNO ジュノ』や『マイレージ、マイライフ』で知られるライトマン監督が、本作ではネット社会で繋がり、衝突し、慟哭する高校生やその親たちの姿を群像劇タッチで描き出す。女子高生が母親の監視のもとで恐る恐る繰り出す投稿も自分なら、裏アカウントで思い切り別人になりきる姿もまた自分。真実や偽りの境界線なんてない。すべてが自分自身を形づくる大切な要素。時折、カール・セーガンの著作を引用して、遠い宇宙からちっぽけな地球を俯瞰する映像が胸に突き刺さる。
『ステイ・コネクテッド つながりたい僕らの世界』(原題:Men, Women & Children)
監督:ジェイソン・ライトマン、出演:ローズマリー・デウィット、ジェニファー・ガーナー、ジュディ・グリア、アダム・サンドラー
2014年/アメリカ


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名優がいざなう“語り”のラビリンス

稀代の名優ウェルズが自ら「奇術師」を名乗り、観る者を語りのラビリンスへと誘い込む。「贋作画家」をめぐるドキュメンタリーであり、「本作は最初の一時間を超えると真実ではなくなります」という予告通り、我々はいつの間にか真実と虚構の狭間ですっかり方向感覚を喪失。その特殊構造と共に、ウェルズが語る自身の半生、とりわけ30年代に演じたラジオドラマ「宇宙戦争」がリアル過ぎて世間をパニックに陥れたという伝説的逸話に触れられるのも大きな魅力だ。
『オーソン・ウェルズのフェイク』(原題:F for Fake)
監督:オーソン・ウェルズ、出演:オーソン・ウェルズ、オヤ・コダール、エルミア・デ・ホーリー
1973年/イラン、フランス、西ドイツ


true


日常の虚構性から飛び出そうとする衝動

生まれた時から隠しカメラを通じて人生のすべてを生放送され続けてきた男、トゥルーマン。だが、何かがおかしいと気づいたその瞬間、世界の見え方は変わり、やがて外の世界へ飛び出したいという衝動が生まれていく・・・。誰もが一度は抱く「この世はすべて作り物なのではないか?」という想いを巧みにコメディへと昇華させた名作中の名作。翌年に『マトリックス』が公開されたことを考えても、この当時、現実/虚構をめぐる時代の過渡期だったことが伺える。
『トゥルーマン・ショー』(原題:The Truman Show)
監督:ピーター・ウィアー、出演:ジム・キャリー、ローラ・リニー、エド・ハリス
1998年/アメリカ


disconnect

遠くて近い世界で、人々は繋がっている。

SNSで同級生をからかう少年たち。騙されるナイーブな少年。かつて子供を失い大きな痛みを抱えた夫婦。取材で名を上げようとする女性ジャーナリスト。それぞれの日常で起こる出来事は、やがて緩やかに絡まり合い・・・。ボタンの掛け違い。分かり合えないもどかしさ。人々は分断されているのか、それとも繋がっているのか。ネット社会を題材にしながらも、そこにうごめく無数の人々の切なる感情や熱い体温を力強く描き出した秀作。
『ディス/コネクト』(原題:Disconnect)
監督:ヘンリー・アレックス・ルビン、出演:ジェイソン・ベイトマン、ホープ・デイビス、フランク・グリロ
2012年/アメリカ



名前

ブラジル人監督が描く、幻想的な三角関係

舞台はブラジルの小さな町。“ミスター・タンブリンマン”というハンドルネームの少年は、ある日、町で一人の青年と出会う。かつて恋人と共に自殺を図って一人だけ生き残ったという彼。ネット上には死んだ彼女が生前に投稿した動画が今なお残されており、それを観た少年は徐々に彼女の魅力に取りつかれていく・・・。薄く霧のかかったような淡い美しさに包まれながら、ネットとリアルの壁が緩やかに融解していく幻想的なストーリー。
『名前のない少年、脚のない少女』(原題:Os Famosos e os Duendes da Morte)
監督:エズミール・フィーリョ、出演:エンリケ・ラレー、イズマエル・カネッペレ、トゥアネ・エジェルス
2009年/ブラジル、フランス


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フェイクを突き詰めるとリアルが見えてくる?

それは08年のこと、絶頂期にあったホアキンが突如、俳優業を引退しミュージシャンに転向すると宣言。その裏側では一体何があったのか。本作は彼がラッパーとして歩み始める2年間を綴ったドキュメンタリー・・・と思いきや、実はこれ、フェイク。カメラが覗く彼の苦闘、異様な行動、どう考えても並みの実力しかないラップの才能、そのすべてが全くのフィクションだというのだから、これは果てしなく凄い。ちなみに監督は、撮影当時、彼の義弟だったケイシー・アフレック。
『容疑者、ホアキン・フェニックス』(原題:I’m Still Here)
監督:ケイシー・アフレック、出演:ホアキン・フェニックス
2010年/アメリカ


seleciton & text Atsunobu Ushizu

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