Interview with SILENT POETS about 『dawn』neol.jp | neol.jp

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text by Ryoko Kuwahara
photo by Masakazu Yoshiba

Interview with SILENT POETS about 『dawn』

NeoL_SP_1 | Phogorphy : Masakazu Yoshiba


メランコリックでエモーショナルなダブサウンドで世界各国にコアなファンを持つSILENT POETSが12年ぶりの新作『dawn』をリリースする。ラッパーの5lackをフィーチャーしたNTTドコモ「Style’20」のCMソング“東京”がiTunes Hip Hopsシングルチャート14日間連続第1位を記録し、確かな実力を改めて世に示した中でのアルバムリリースのアナウンスは待ち望んだファンを歓喜させている。フィーチャリングアーティストはSex PistolsのドラマーPaul Cookの娘であるHollie Cook、ルーツロックレゲエとダブのプロデューサであるAugustus Pabloの息子であるAddis Pabloを始めとする豪華海外勢に加え、NIPPS、こだま和文、さらに櫻木大悟(D.A.N.)らの日本勢を迎えた盤石の布陣。悠久の美しさと新しい冒険の息吹を兼ね備えたこの名作の誕生までを語ってもらった。


ーー——今作の呼び水となったのはやはり“東京 feat. 5lack”だったんでしょうか。


下田「そうですね。あれからの流れがあって、あと25周年といういいタイミングがあったので今やろうと。そうしないとついつい間が空いてしまうので(笑)」


——うっかり12年間焦らされますからね(笑)。でも今回は動き出してからはやかった気がします。


下田「自分でも思ったよりはやかったです。2016年に “東京”があり、その流れで2017年の2月くらいから具体的に作り出して。本当は年内に出したかったのですが、制作というよりはフィーチャリングアーティストやエンジニアのスケジュール調整があったので年が明けてしまいました」


——1年かかってないんですか。フィーチャリングのアーティストも、国もジャンルもまたいでいるのに想像以上に短期間の制作で驚きました。


下田「作り出してあまり長くなるとだんだんテンションが落ちてしまうところがあるので、やるときはパッとやりたいんです。完成形がぼやけるというのではなく、分かっているのに出せないという状況だと集中力が落ちていってしまうんですね。今回もスケジュールが合わなくてズレていってしまったときはテンションが危なかったのですが、なんとか保ちながら最後まで頑張ってやりました。スムースに、勢いでいったほうが自分の性格的には良いものができるかなと思います」



NeoL_SP_2 | Phography : Masakazu Yoshiba


——内容に関してなのですが、まず今回のアルバムには、レゲエやパンクなど、ご自身のルーツがかなりストレートに入っていますよね。音像の重なりなどが生み出す普遍的な美しさはもちろんありつつも、より自由に軽やかだなと。25周年というのもあってより明確にというのは意識されたんですか? それとも自然とそうなったのでしょうか。


下田「意識的にですね。レゲエなども前からあったのですが、今までの作品はそこまでストレートには出してなかった。でも今回は思ったものをストレートにやりましたし、そのぶん影響を受けたものも色濃く出ています。レゲエの曲をやるのであればHollie Cookとやりたいと思っていたのも実現できたし(“Shine feat.Hollie Cook”)、Addis Pabloとの曲(”Division of the world feat Addis Pablo”)もストレートなレゲエで。レゲエとパンクは切り離せない関係という歴史があるのですが、今回はそういう繋がりもあるので面白いですね。25周年というのでやってこなかったのをやろうという気持ちもありましたし、色々な思いが混じってこうなったんでしょうけど、今までになくなんでもありだという姿勢で臨んでいました。
自分として一番大きな変化は、これまでアルバムには収録してこなかった日本語の歌詞の曲が三曲も入っているということ。きっかけになった“東京”が自分的にも手応えがあり面白かったので、ああいうことを取り入れたいと思っての3曲なんですが、もっとあってもよかったくらいです」



NeoL_SP_3 | Photography : Masakazu Yoshiba


——日本語がのったトラックが全体の中で全く違和感がなかったのは感嘆しました。



下田「ああ、それは良かったです。自分の中では初めてだったので最初は馴染むまでに時間がかかって。最終的にとても馴染んだし、気に入ってますけど」


——ラップがのるはまだわかるんですけど、桜木さんとの曲(“Simple feat.櫻木大悟(D.A.N.))は歌う側にとってもすごく難しかったろうなと。メロディがある日本語とのこの出会い方はここでしか聴けない、新しい発見でした。


下田「そこが僕もどうなんだろうとずっと思っていたので嬉しいです。D.A.N.は最近のなかでは群を抜いて格好いいバンドだなと言う認識だったので、日本の人でラッパーではなく誰かいるかなという時に最初に浮かんできました。日本語でも格好いいと思えたバンドだったし、もちろんサウンドもいい。この曲では彼にも普段の世界観と違うものをやってもらって、それがいい具合に出会ったといった感じですかね。あれが一番今まででやってこなかったような曲ということもあって、反響が大きかったです。僕は洋楽で育ったので今回は別物として聴いている感じは未だにありますが、今後の方向性が見えた気がしますね」


——洋楽ベースのバンドですし、共鳴するところもあったのかもしれませんね。NIPPSさんは再会という感じですか。


下田「まさに(笑)。それもアニバーサリーということで面白いかなと。またやりたいねと言っていたんですけど実現できてなかったので」


NeoL_SP_5


——では引き金となった5lackさんはどういう経緯で?


下田「NTTドコモのCM(「Style’ 20」)の企画で、そのトラックにラップをのせたいということがきっかけです。若い人の中でも良いと思っていたのですが、やるまで全然知り合いではなかったんです」


——へえ、福岡で親交ができていたのかと思っていました。あの曲は冒頭から格好よくて、これまでにあんなにギターが前に出た曲もないですよね。


下田「ないですね。それも新しい試みで。あの曲を作った時点ではアルバムの構想はなかったのですが、あれに引っ張られてそこから作っていったので制作をやるうえでわりと軸になったかもしれないです。今までのアルバム制作はゼロスタートだったのですが、先にガンとしたものを作ってというやり方も新しかった。あれがあったから日本語曲も作ったと思うし、無かったらどうなっていたかわからないくらいで。そこまでも、4年前に『Another Trip from the SUN』は出しましたけど作品のリリースは止まり気味だったので、その中で“東京”を出してからの流れは大きかったですね。オリンピックのアスリートに向けてのもので。元旦とか、駅伝のときも流れていて、ずっと後押しされている。何回も言いますが、あの曲のオファーをいただいたから今作があると思います」


——オリンピックに向けての曲をオファーされるというのはすごい。


下田「よく使っていただけたなと思います。やっぱりああいう大きなキャンペーンはメジャーな方を起用するじゃないですか。こんな舞台は滅多にあがれないし、気合いが入りました。自信を取り戻させてもらったし、良くできたなと達成感があります。久々だったのでどこまで納得できるかというのはやってみるまではわからなかったのですが、ここまで手応えが得られたのは本当に良かった」



——ではタイトルの『dawn』の意味通り、夜明けを迎えたと。


下田「これを機にもう一回頑張ろうと思いました。一回飽きかけたんですが(笑)、もう一回やろうということでこのタイトルです」

NeoL_SP_6 | phogoraphy : Masakazu Yoshib


——なるほど。良いものがきちんと評価される世の中でもないですが、CMの起用もずっとクオリティを保ち続けながら良質な音楽を作り続けてこられたからであり、やはり見ている人は見ているという。格好いい、良い話です。個人的には時代的にもぶれない良質な音楽に追い風のような気がしていて。あまりに流行り廃りが激しすぎて結局は本質的に良い音楽に戻るというか。音楽業界も形態が変化したりと色々と動きがありますが、改めて今のシーンをどうご覧になっていますか。


下田「今は気になる一曲をストリーミングして、ダウンロードもしなくていいという手軽さがある。それが良いのか悪いのかわからないんですけれど、自分は昔の世代なので、たとえ今がそうであってもアルバムはアルバムとしてトータルで、ジャケットも含めて総合で作品という概念で作っていきたいです。情報がなかったからそれこそ勘を頼ってジャケットだけ見て買ったりしていたし、買って来て見るのが楽しかったんですよね。今はもうそういう時代じゃないけれど、その頃の感覚は忘れたくないし、気持ちは込めて作っていきたいなと思います。流行を追求した作り方もありますが、そっちは出来ないので、こういうものも評価してもらえたらいいなと。でも何より、自分としてはこのアルバムを作れたこと自体が本当に良かった。こんなに自分で満足いく作品を作れたことが一番嬉しいですね」


NeL_SP_4 | photography : Masakazu Yoshiba


dawn_jkt_lo

SILENT POETS
『dawn』
2月7日発売
(ANOTHER TRIP)
01. Asylums for the feeling feat. Leila Adu 02. Distant Memory
03. Shine feat. Hollie Cook
04. 東京 feat. 5lack [Extended DUB]
05. Eternal Life feat. NIPPS
06. Non Stoppa feat. Miss Red
07. Division of the world feat. Addis Pablo 08. Rain feat. こだま和文
09. Simple Dub
10. Simple feat. 櫻木大悟 (D.A.N.)
11. Non Stoppa Dub
https://www.amazon.co.jp/dawn-SILENT-POETS/dp/B077SKQJMR
https://itunes.apple.com/jp/artist/silent-poets/710630



SILENT POETS
東京在住の DJ/プロデューサである下田法晴のソロユニット。 1992年のデビュー以来、長きに渡る活動を通じて、メランコリッ クでエモーショナルな DUBサウンドを育んできた。これまでにフランスの Yellow Productions、ドイツの99 Records、USの Atlanticといったレーベルからアルバムがリリースされ、イビサ・チルアウトの歴史的名作『Cafe del Mar』 をはじめ、世界各国の40作品を超えるコンピレーション・アルバムに楽曲が収録された。 2013年に自身のレーベル、ANOTHER TRIPを設立。再構築 DUBアルバム『Another Trip from the SUN』を発表し、エンジニアの渡辺省二郎と SILENT POETS LIVE DUB SETとして リキッドルームなどでライヴを行った。ラッパーの5lackをフィーチャーした NTTドコモ「Style’ 20」 CMソング「東京」が2016 56th ACC CM FESTIVAL (現 ACC TOKYO CREATIVE AWARDS) クラフト賞サウンドデザインを受賞。iTunes Hip-Hopシングルチャート14日間連続第一位 を記録。
2017年、FUJI ROCK FESTIVAL出演を果たし、7インチシングル「SHINE feat. Hollie Cook」のリリースを皮切りに、デビュー25周年プロジェクトを始動。2018年2月、12年ぶりとなるオリジナルアルバム「dawn」をリリース。
Official HP: http://silentpoets.net

Twitter: https://twitter.com/silentpoets_ms

Facebook: https://www.facebook.com/SilentPoetsofficial/
Official Instagram: https://www.instagram.com/silentpoets_official/



photography Masakazu Yoshiba
text Ryoko Kuwahara
special thanks kong tong
東京都世田谷区池尻3-30-10 三旺ビル 5F
tel 03-5431-7329

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