NeoL

開く
text by Yukiko Yamane
photo by Martha Cooper, Ninja K, Cpt Olf

14 Issue:1UP(Graffiti crew)

DCIM102MEDIADJI_0012.JPG




年齢は単なる数字であって、オトナになるという境界線は人ぞれぞれ。定義できないからこそ、誰もが答えを探している。多感で将来のことを考え始める14歳の頃、みんなは何を考えて過ごしたのか?そんなファイルを作りたいと始まった「14歳」特集。東京、NYに続くベルリン編には、年齢やバックグラウンド、仕事の異なる個性豊かな15名をピックアップ。
9本目はベルリンを拠点に活動するグラフィティ集団、1UP(ONE UNITED POWER)。正確なメンバー数や年齢、私生活について誰も知らないほど謎に包まれている一方で、ベルリンの至る所で彼らのタグを目にするほど身近な存在だ。近年ポリティカルなメッセージを込めた1UPのグラフィティはベルリンだけにとどまらず、世界規模でボムされ続けている。今回クルーより3名の匿名メンバーがインタビューを受けてくれることに。彼らの10代とグラフィティとは?(→ in English



ーー14歳のときはどんな子でしたか?


A「グラフィティ以外はそれぞれ異なる活動をしてるように、14歳のときも全く違うことをしてたんだ。クルーの何人かは学校で成績優秀だったけど、一部は学校に対してあまりモチベーションがなかったよ。僕らのほとんどは周辺に不法侵入する方法を発見してたね」


B「でもクルー全員が当時”クールキッズ”ってわけではなかったんだ。自分の場合はすでにグラフィティに少し興味があったけど、まだサッカーチームに所属してたし放課後は毎日宿題をしてた。まぁ後で役に立ったけどね…」


ーー14歳のときにどんな24時間を送っていたか、円グラフに書いてみてください。





ーーでは、14歳のときにどんなことを考えていましたか?





ーー当時の思い出でよく覚えていることがあれば教えてください。


C「ちょうどタギングを始めたくらいの話。ある日の午後、タグのあるビルの裏側で遊んでた。とても静かだったんだけど、突然2人の警官が茂みの中からやってきて僕らの目の前に立ちはだかったんだ。運よく彼らは僕らのタギングを見てなかったよ。誰かを探してたみたいだけど、どうやら僕らを見つけてしまったってわけ。何とかして気付かれずにこっそり逃げることに成功したんだ。それからはもっと慎重になったけど、一緒にいた友達の1人にとってはそれが最後のタギングになったんだ」


B「グラフィティはまだしてなかったけど…一番の思い出はファーストキス!楽しかったし刺激的だったよ!」


ーー14歳のときに抱いていた夢は何ですか?


A「僕らの夢は、できる限りクリエイティヴすること。グラフィティ、ラップ、デザイン、スケートボード、シャツにプリント、ラップコンサートのパーティをオーガナイズするとかね。放課後や卒業後は自由になって、親友たちと楽しく過ごしたいと思ってたんだ」





ーーまさに今やっていることですね。グラフィティを描き始めた経緯とは?


C「家からそう遠くないところに高速道路が通ってた。そこにはいつもグラフィティがあったから、友達と一緒に残された道具を拾って描き始めたんだ。親友のお母さんが先生で、いつもマーカーをたくさん持ってたんだけど、それって学校で初めてタギングしたときに使ったやつなんだよね :)」


A「僕の育ったクロイツベルグ地区は、街中至る所にグラフィティがあった。誰が全ての作品を作ったのか、どうやって描いたのか知りたいと思ってたんだ。友達のお兄ちゃんが書いてたから、彼からマーカーをもらってタグを書き始めたよ」


B「子どもの頃から他のメンバーたちを知ってたけど、行動に移るまでに数年かかったよ。実際のところ20歳になるまでね。それで僕の最初のミッションは地下鉄の全車両。クルーにクロム2本渡されて、それを書き込まなければいけなかったんだ」


ーー初めてグラフィティを描いたときの感想を教えてください。


C「一番古い思い出は、違法作品を描くという行為にかなり夢中になったこと。あの頃は学校からストレスを感じてて。でも高速道路へ行ってボムしてる間は、学校からのプレッシャーはすっかり消えてボムすることに没頭してるって気付いたんだ。なんとなくストレスが和らいだよ!」


A「慌ただしかった。タギングしに行ったんだけど上手くいかなくてね。近所を占領したいと思ってたなぁ…」


ーーグラフィティライターになるために行った努力はありますか?


C「最初は描くだけ、そのときはスケッチにもっと時間をかけてたかな。でも全体的なグラフィティは後年より優先されなかったんだ」


A「かなり早い段階でグラフィティに夢中になってた。どのようにいつからあるのか知りたくて、図書館で利用できる全てのグラフィティ本を借りたよ。授業を聞く代わりにスケッチばかりしてたんだ」





ーーグラフィティライターを始めてよかったこと、大変なことはありますか?


A「最悪だったのは、絶好調だった頃に近所の先輩ライターたちが自分のことをまともに見てくれなくて、最初の数年間嫌がらせをしてきたこと」


C「タギングを始めたばかりの頃、ワルシャワのポーランド人クラスと交流したことを覚えてる。僕らはコミューターを連れて、彼らは上から下までボムしたよ。僕にとって一生残る表現だった!あと初めてグラフィティのコミュニティ精神を経験したかな。クラスメイトがポーランド人生徒たちに興味を持ってなかった頃、どういうわけか他のクラスの1人が同じく書いてることを知ってそこからどんどん繋がっていったんだ…」


ーー14歳のときに影響を受けた、大好きだったものはありますか?


C「ジャック・ロンドンのような小説を読むのが楽しかった。グラフィティの本はまだ見てなかったよ」


A「さっき話したように、図書館へ行ってた。グラフィティアートと呼ばれるグラフィティ関係のシリーズ本(ドイツ語)があって。スケッチとインスピレーションを得るためにこれらの本を利用したよ。電車に書くことについて書かれた部分を読むためにもね。同じく地下鉄アートについても。それから数年後に初めてマーサ・クーパーに出会えたときは本当に嬉しかった。マーサの本を見てグラフィティを始めてから20年後、彼女が僕のグラフィティを撮影したんだ。信じられないくらい最高だよ」






1UP – ONE WEEK WITH 1UP – BOOK TRAILER


ーーいま14歳を生きている人たちに知ってもらいたい作品やアドバイスがあれば教えてください。


A「本を読んで。もしグラフィティに夢中になりたいなら、映画『ワイルド・スタイル(1982)』と『Dirty Handz』シリーズをチェックするんだ。特に『Dirty Handz 2 – Back On Tracks (2001)』と『Dirty Handz 3 – Search and Destroy (2006)』。若い頃はスウェディッシュ映画『Area 08 (2000)』も好きだったよ。あと、僕らのDVDを見ることも忘れないでね :)」



“Wild Style”



ーーいまを生きるユースたちに伝えたいメッセージはありますか?


B「自分のことをするんだ!何をやりたいのか感じとって、それを実行する。仲間からのプレッシャーに悩まされるな!そして、誰にもプレッシャーをかけないように!」


A「そうだね。違うことを試してみるんだ。新しい経験が待ってるよ!」


ーー最後に何かお知らせがあればどうぞ。


A「インスタグラムとユーチューブをチェックして! もうすぐ新作が更新されるから :)」














1UP
@1up_crew_official :https://www.instagram.com/1up_crew_official/
YouTube: https://www.youtube.com/playlist?list=PL2yt9TY3ZomOBjlwoN23H7bh329ub-he5


photography Martha Cooper, Ninja K, Cpt Olf
text Yukiko Yamane

This interview is available in English

1 2

RELATED

LATEST

Load more

TOPICS