NeoL

開く

BOMI『BORN IN THE U.S.A.』インタビュー

bomi_112

——だって、ファッションで言えばこのアルバムからモードの服も着こなせる説得力があるわけで。

BOMI「そうかも。メイクも全然しなくなったし。妙に飾らないほうがいいと思っていて。だから、今までは周りの環境云々っていう以前に自分でがんばっちゃってたところがあったんだなって。環境にアジャストすることにも必死になってたし。ホントはがんばらなくていいところもがんばってたかもしれない」

——うん。もちろん、周囲の期待にも応えたいと思うのは当然ではあると思うけどね。

BOMI「そう、期待に応えたいという思いが強いんですよね。根本的な性格としてそうで。それは生い立ちの影響もあると思うんですけど、いつも周りの期待に応えなきゃってまず思うから。そういう自分も含めて、私は今回とにかく一度自分の活動や音楽性を更地にしたほうがいいと思って。更地にして誰にも一緒にやりたいってい言われないなら、私の才能はそこまでだったんだなっていう話なわけで」

——最悪の場合、表立った音楽活動はできなくなるとも思ってたと。

BOMI「思ってました。これでダメだったら、何年かかってもホントに自分がやりたい音楽をイチから一緒に作ってくれる人とやろうと思ってました。それでも前のアルバムからは時間がかかっちゃいましたけどね。もっと時間がかかっても仕方ないと思ってました」

——最終的にはBOMIちゃんの思いをプロデューサーのWTF!?氏も理解してくれたからこそ上がってきたトラック群もあったわけですよね。

BOMI「そうです。『BOMIの言ってることが理解できないと』って言われながらも(笑)、『こんな感じ?』って送ってくれたのが、2曲目の“Mayday”という曲で」

——この曲、素晴らしいですね。もちろん、津野米咲(赤い公園)が楽曲提供し、ハマくん(ハマ・オカモト/OKAMOTO’S)が見事なベースプレイを聴かせてくれるリード曲「月曜のメランコリー」も痛快なんだけど、今のBOMIちゃんの核はこの曲にあると思う。

BOMI「”Mayday“は完全にBOMI節であり、WTF!?節だから。デモを最初に聴いたときは今までと大きくイメージが変わる感じではないと思ったんだけど、聴き込んでいったらよくなりそうだなと思って。私は、最初から『1枚でワントーンのアルバムを作りたい』と言っていて。でも、曲を作り始めたときはまだメジャーの環境にいたんですけど、私の意見と周りの意見が明らかに対立してたから。それもあって、曲作りをしていくうえでレコーディングした曲の色はバラバラだったんですよ」

——最初は純然たるフルアルバムを制作しようと思ってたんですよね。

BOMI「そうですね。ホントは全12曲くらいのフルアルバムを作るつもりだったんだけど、曲を録ってから環境も変わってリリースするってなったときに、やっぱりワントーンでまとめた作品にしたいと思って。それでバラエティはありつつもワントーンでまとめられる6曲を選んで、残りはCDエクストラに収録するというパッケージにしたんです。CDでしか聴けない5曲が付いてるというのも、この時代にCDを買う理由にもなるかなと思ったし」

——本編に入ってる6曲で言えば、バンドの編成が変わったことが大きく影響してますよね。平たく言えば、生のバンドサウンドにとらわれないシンセポップとしての要素が強くなった。

BOMI「すべてデジタルになるのもつまらないと思ってるから、いかにデジと生を融合させられるかということはかなり意識してました。そのあたりを今のメンバーにすごく助けてもらったし。点じゃなくて、面の発想でサウンドを組み立てられるというか」

——そういうサウンドの方向性とワントーンで統一する作品性は、BOMIちゃんの歌のうまさがかつてないほど浮き彫りにしていて。今まではギミックがあなたの歌を殺していた部分もあったんだなって。そういう気づきがありました。

BOMI「小文字時代のbomiとして活動をスタートさせたときに私はまず歌をうまく歌っちゃダメだなって思ったんですよ。そうじゃないとサウンドにハマらないし、じゃあ私の歌は素材に徹したほうがいいんだと思って。気をつけることがあるならリズムだなと思ったし」

——でも、こんなに歌えるなら、やっぱり殺すのはもったいないよ。

BOMI「今作に入ってる曲を聴いて、いろんな人に『BOMIちゃんってめっちゃ歌うまいじゃん』って言われて(笑)。歌がうまい基準っていろいろあると思うし、私は技巧的にうまいという感じでもないと思うんですけど、やっと私なりの歌のうまさが伝わったんだなって思うとうれしいですよね」

1 2 3

RELATED

LATEST

Load more

TOPICS