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DAISY BALLOON「MOBILE 孤立した僕達はどうして失われた共同体を求めてしまうのか。」インタビュー

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——確かに、疑似体験だけでなく、ネットショッピングなど人と会わずとも生活していけるような時代ですよね。ただ、揺り戻しは必ずあるし、画面を通してだけでは満足できない体験があるとも思います。

細貝「温度や空気感、匂いは本物でないと感じられませんから、アナログは絶対なくならない。だからこそ私たちはアナログで表現できる限界までやりたいと思っているんです。バルーンは指先の加減ひとつで大きさや張り具合が変わるんですが、それはまだ機械ではできない。百年後には精密な編み込み機が出来ているかもしれませんが、人間ができるアナログな部分を表現していくことが大切なのかなと思います」

——微妙に形が違うことも味わいであったり、そうした誤作動は機械にはできない。

細貝「だから人間の手作業のものに魅力が感じられるなんじゃないかと」

河田「いつの時代もポストモダン的な、アナログに戻す力を共有しながら、バランスを取っていますよね。その話にも通じてますが、今回の展示には『Behave』という作品がありまして、これは人間の内面的な怒りや喜びを表現しています。人間と自然の関係性で、絡み合ったり、覆われたり、差し引きしたヴィジュアルを作りたかったんです。また、今回の展示会場である京都は、日本の中心軸でもあると同時に、展示テーマでもある『MOBILE(モビール)』の中心となる支点を意識して、力点と作用点など繋がりやバランスを考えるエキシビションにしました。京都という地を通じ、人々は個として分散せずに、コミュニティとして形成しているように思えますし、京都の古き文化を支え、都市も個に還元している非常に深い関係性が存在しているように思いました」

——最後に、今後の制作の方向性を聞かせて下さい。

河田「これからはもっとグラフィックの要素を打ち出していきたいと思います。今回の展示も、グラフィックの要素をいろんな所に散りばめていますが、以前に制作したレゴドレス然り、バルーン以外でも技術というもので表現していく幅を広げて行きたいです」

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取材・文 桑原亮子/interview & text  Ryoko Kuwahara

 

DAISY BALLOON「MOBILE 孤立した僕達はどうして失われた共同体を求めてしまうのか。」

2016年4月9日〜5月8日 12:00〜19:00 *展示終了

ホテルアンテルーム京都/GALLERY 9.5

京都市南区東九条明田町7番

075-661-5656

http://hotel-anteroom.com

 

DAISY BALLOON Book vol.1 “Daisy Balloon”

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DAISY BALLOON Book vol.2 「変態」”METAMORPHOSIS”

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https://daisyballoon.stores.jp

 

 

DAISY BALLOON

DAISY BALLOONは、世界を舞台に活躍するバルーンアーティスト、Rie Hosokai(細貝里枝/1976年)とアートディレクター、グラフィックデザイナーのTakashi Kawada(河田孝志/同年)から成るアーティストユニット。2008年の結成以来、「感覚と質」をテーマに掲げ、バルーンで構成された数々の作品を制作。なかでもバルーンドレスは、繊細さが細部まで行き渡った建築物を思わせ、多くの人々を魅了している。また、彼らは日々、哲学的テーマを探求して、物や人とディスカッションすることをフィールドワークとしているか、その眼差しは常に、他者との本質的な融合に向けられている。

http://www.daisyballoon.com

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