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text by Takayuki Otani
photo edit by Ryoko Kuwahara
photo by Masakazu Yoshiba

『彼らが本気で編むときは、』荻上直子 × 桐谷健太インタビュー

KARERAGA_


『かもめ食堂』『めがね』など、ていねいな生活描写とファンタジックな設定が交差する独特の世界観で知られる荻上直子監督。だが5年ぶりの新作『彼らが本気で編むときは、』では、その作風を一転。登場人物に注ぐ温かい視線はそのままに、セクシュアル・マイノリティなどといったリアルな問題と真正面から向き合っている。生田斗真が渾身の演技を見せたトランスジェンダーの主人公の恋人マキオを演じた桐谷健太と監督本人に、撮影の裏側を語ってもらった。


──本作で桐谷さんが演じたのは、男性の体で生まれ女性として生きるトランスジェンダーの主人公・リンコ(生田斗真)の恋人マキオ。ありのままの相手を受け容れる包容力を持った心優しい男性です。作品のテーマを体現する重要な役どころですが、荻上監督はなぜ桐谷さんに演じてもらいたいと?


荻上「桐谷さんって、一般的には“熱い男”のイメージが強いと思うんですね」


桐谷「ははは。そうですか?」


荻上「うん(笑)。私もある時期までは、そういう印象を持ってました。でも少し前に『天皇の料理番』(2015年、TBS)というドラマに出演されているのを拝見したとき、大人の色気みたいなものをすごく感じて……」


桐谷「嬉しいなぁ(笑)」


荻上「それ以来、私のなかでずっと気になる俳優さんだったんです。たしかにマキオはこの話の要となる存在だし、人として本質的な深みを持ったキャラクターだと思うので。これはもう桐谷さんにお願いするしかないと」


桐谷「僕も、実際にお会いする前から荻上監督の作品は拝見していて。作品の空気感を大切にされる方だなと感じていました。映画オリジナルの企画が減っていくなか、監督自身が脚本を書いて撮影すること自体、僕たち役者には嬉しいことだし。今回読ませていただいたシナリオもすばらしいと思った。こういう脚本に飢えてる役者はたくさんいますよ、きっと」

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