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text by Ryoko Kuwahara

KMK presents ジ・ドッジボール大会観戦記

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8man(高岩遼)、JB(熊田州吾)、Mr.T(谷本大河)から成るヒップホップグループ、KMKが主催する「ジ・ドッジボール大会」が、5月21日(日)18時からBumb 東京スポーツ文化会館 サブアリーナにて開催された。
KMKの呼びかけに集ったのは5チーム。その顔ぶれと身体を見て驚かされたのが、想像以上の「ガチ」であること。ずらりと並ぶ逆三角形のマッスルチーム(中にはふんどしでこれ見よがしに筋肉を見せつけてくるチームも)は、普段からしっかりとスポーツで鍛え上げていることは明白。その時点で、ミュージシャン主催とは到底思えない本気の試合が繰り広げられることは予想された。
今回の大会は、当たるとコートから出て行く通常のドッジボールとは異なるKMKオリジナルのポイント制を採用。また、トーナメントに関しても、5チームへの公平を期すために、勝ち抜いたチームとだけではなく、敗退した最下位のチームともKMKが戦い、真に決勝に挑む資格を証明するというものになった。
ホワイトボードを使ってそれらの説明をするKMKと黙々と闘争本能をあたためる5チーム。
試合のホイッスルが鳴り、第一試合がスタート。KMKのMVも手がけたBUDDHA.incの神崎峰人率いる「アウトロー」チームは、JBの兄を擁する「クセが強い引っ越し屋さん」に16対25で敗退。ジャンプは高すぎるし、球は速すぎるし(写真を見れば球のスピードがおわかりになるはず)、試合の詳細をレポートすることはこの段階で諦め、以下はほぼ写真とコメントで構成しようと密かに決めた。


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ちなみに、このボードの右端に書かれた数字に関してはご想像にお任せしよう。男たちの闘志は、トーナメントボードを見るたびに目にするその数字によって否応なく掻き立てられていく。スポーツによってもたらされるアドレナリンに、欲望というガソリンが注ぎ込まれているわけだ。そう、ガチである。


第二試合はMr.Tの弟が命名したという「サステイナブルフューチャーズ」チームが、岩間俊樹らミュージシャンが参加した「ピラニア De Kill」を22対14で破って勝利。そして「アウトロー」と「ピラニア De Kill」による敗者同士による復活戦へ。このとき、「まだ優勝できる見込みはあるから大丈夫!」と岩間俊樹は語っていた。ポジティブ・シンキングはいつだって大切だ。


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「アウトロー」に破れ最下位となった「ピラニア De Kill」と戦うため、ここでようやくKMKが試合に参加。「ギブマネー」から2名を拝借し、フォトグラファーの青山翔一を加えた6名ながら主催者らしい安定した試合運びでKMKが勝利した。


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一方勝利した「アウトロー」は、高校生チーム「ギブマネー」と対決し、準決勝への道を勝ち取った。「サステイナブルフューチャーズ」は「クセが強い引っ越し屋さん」に勝利し、準決勝へ。それにしてもみんなチーム名がユニークすぎる。


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結果から言うと、決勝へ進んだのは「アウトロー」。そして接戦の末にKMKを破り、優勝した。
もはや優勝はかなわないとなった瞬間、敗者たちから沸き上がる野太いKMKコール。しかし、その願いは儚く散った。肩を落とすKMK含む敗者たち。


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優勝した「アウトロー」に関して補足説明すると、このチームは元アメリカ兵と元フランス兵という2名の元軍人が参加していた。ちなみに元アメリカ兵さんはスーパーマンのTシャツを着用しており、誰よりも速い球を投げ、絶対に敵チームの球には当たらず、タフな精神力を持つ、いわゆる「本気」の人だった。このチームに2点差で負けたことは、恥ではない。KMKの本職はミュージシャンなのだからむしろよく健闘したと言えるだろう。


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試合直後のKMKのコメントは以下。負けながらも相手を讃え、大会を開催できたことを喜ぶ姿が印象的だった。
「いいな、に尽きます」(8man)
「勝ちにいくけど、3人だし、負けるだろうなという気持ちもあって。でもやってみたら戦えるじゃんと。だからこそ悔しいです」(JB)
「勝負は時の運ですからね。あそこまで競ったのだから大差はなかったんだろうけど、軍隊仕込みの折れない精神力に負けました」(Mr.T)


戦いを終えた各チームのコメントは以下。
ピラニア De Kill(岩間俊樹)
「サナバガンというバンドのメンバーから誘いを受けて参加しました。15年ぶりのドッジボールです。正直、もっとミュージシャン界隈がいるかなと思ったんですけど、みんなガチで優勝しにきてたので気力で負けた感じがあります。でもこうやって普段交わらない人たちが一緒に楽しめるというのはとてもいい大会ですね。僕もKMKと同じく常に鍛えているんですけど、昨日フェスでステージから落ちて尾骶骨にひびが入ってまして(笑)、なかなか思うように動けなかったので次回があったら万全にしてまた参加したいです」


サステイナブルフューチャーズ
「Mr.Tの弟に誘われて参加しました。ドッジボール、地獄ですね(笑)。学生と新人サラリーマンなんですが、アドレナリンが出て、子どもの頃みたいにすっごい楽しかったです!」


ギブマネー
「親父が8manさんにお世話になってる関係でこの大会を知りました。学生ですけど、イベントくらいでしかドッジボールはやらないので今日は4ヶ月ぶりです。すごく楽しくて、とにかくもう1回やりたいです。もう1試合できないかなあ!」


クセが強い引っ越し屋さん
「JBの兄に誘われました。高校生以来のドッジボールで10年ぶりですが、めちゃくちゃ楽しかったです。ポイント制だったので長く回せるのもよかった。第2回目があったらまた参加したいですね」
*このレポートのために写真を提供してくださったJBのお兄さん、ありがとうございます。とても助かりました!


アウトロー
「今日の大会はNeoLの記事で知りました。アメリカの軍隊でもドッジボールはやってて、それ以来ですね。この大会は、ネタ企画ではなく思った以上にガチだなあと。やっぱり男たちが数十人集って運動したらガチになるんだなあと思いました。こんな風にガチになってしまうのも含めてKMKらしい気がします(笑)。今回優勝できたのはふんどしのおかげです。ふんどしと筋肉さえあればなんだって勝てるんです!」
アウトロー*流血した選手が治療に向かう際のコメント
「人間の皮膚の稼働域を超えました!(笑)」


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Bumbサブアリーナでの筋肉マンたちが50人近く集った異様な空気を言葉で言い表すのは難しいが、常に「ガチ」という概念がその場を統制していたことをお伝えしたい。文化系の人間からしたら見慣れないがゆえに目を背けてしまいそうな空気なのだが、同時に「ちょっと身体鍛えたいかも。強くなりたいかも……」と微妙にストレッチなど始めてしまう感じ。なんの文明の利器も持たずとも世界を生きていけそうな強さに、本能が感化されてしまう濃厚な筋肉ワールドだった。どうだっていいような気もしつつ、この文明社会だからこそかえって、原始的な強さはまぶしく感じられるものだ。とりあえずこの大会で、KMKの音楽がかかったのはせいぜい5分程度だったことを最後に述べてレポートを締めくくりたい。もはやリリパでなんかない、ガチなバトルすぎた。さすがKMK。ありがとうKMK。


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