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text by Nao Machida
photo edit by Ryoko Kuwahara
photo by Satomi Yamauchi

『ロスト・イン・パリ』 ドミニク・アベル監督&フィオナ・ゴードン監督インタビュー

lostinparis3_NeoL photography : Satomi Yamauchi


——リヴァさんは今年1月に亡くなられたそうですね。本作の撮影現場で印象的だった思い出はありますか?


アベル「共演のピエール・リシャールはヨーロッパではコメディの大スターなのですが、エマニュエルと面識はなかったそうです。2人はベンチに座って足でダンスするシーンをとても喜んでくれました。あのシーンの撮影が終わった後、ピエールがエマニュエルに『すごく嫌なヤツだって聞いていたんだけど、全然そんなことないね』と言ったんです。それを聞いたエマニュエルが、14歳の少女のような笑顔で大笑いしていたのが印象的でした」


ゴードン「実はエマニュエルはピエールとの共演をすごく喜んでくれたんです。彼女自身も身体が弱っていたのですが、劇中のマーサも2日間くらい街をさまよって疲れ切っているという設定だったので、メイクはなしと決めていました。それなのに、ピエールと一緒のシーンの撮影日は、ちょっと口紅をして、アイメイクまでして登場したのです。私が『メイクしてるでしょ!?』と聞いたら、『してない、してない!』とか言って(笑)。でも、こっそりメイクしていたのがかわいかったです」


——おふたりは今後、どのような作品を手がけていきたいですか?


ゴードン「それはどんなアイデアが出てくるかにもよります。役者を前にしてアイデアが生まれてくるし、リハーサルをしながらキャスティングも少しずつ固まってくるので、あらかじめどのような作品になるか予測するのは難しいんです」


アベル「実際に撮影をする街の建築様式や雰囲気も関係してきます。たとえば東京でロケハンをするとしたら、服や建物から色を探すと思うんです。作品のテーマは、人生において自分たちの心を打つものや笑わせてくれるもの、逆に傷つけられるもの…そういったものによって決まってくるので、今のところはまだわかりません。次回作としては、スリラーとか推理的な要素のある作品を考えています」


——ダンスの入ったスリラーですか?


ゴードン「多分ね(笑)」


アベル「それが僕らの好きなスタイルなんです(笑)」






『ロスト・イン・パリ』
8月5日(土)渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
監督・脚本・製作:ドミニク・アベル、フィオナ・ゴードン 出演: フィオナ・ゴードン、ドミニク・アベル、エマニュエル・リヴァ、ピエール・リシャール、フィリップ・マルツ 2016 年/フランス、ベルギー/フランス語、英語/83 分/カラー/1:1.85/5.1ch/原題:Paris Pieds Nus/英題:Lost in Paris/日本語字幕:横井和子 後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、ベルギー大使館 配給・宣伝:サンリス ©Courage mon amour-Moteur s’il vous plaît-CG Cinéma
http://senlis.co.jp/lost-in-paris/


ドミニク・アベル 1957 年ベルギー生まれ。

フィオナ・ゴードン 1957 年、オーストラリア生まれ、カナダ人。
フランス、パリの国際演劇学校にて出会い、1987年に結婚。ベルギーのブリュッセルや フランスのパリを拠点に道化師として活躍。80年代から創作演劇で世界各地を巡業。90 年代から、同じ道化師出身の監督ブルーノ・ロミと3人で短編映画の制作を開始。2005年、長編映画第1作『アイスバーグ!』を発表し、世界中の映画祭で数々の賞を獲得。
2008 年には長編第2作『ルンバ!』でカンヌ国際映画祭の批評家週間に参加。日本では、2010 年『アイスバーグ!』と『ルンバ!』が公開された。2011 年に発表した『La Fée』はカンヌ国際映画祭にて封切られ、世界40カ国以上で配給。道化師出身ならではの喜劇を身体表現で魅せる作風は、しばしばチャップリン、タチ、キートンらの名を挙げて評されると同時に、それらどれにも属さない独創的なスタイルとして世界の映画シーンで注目されている。

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