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text by Ryoko Kuwahara
photo edit by Takuya Nagata

NO MORE MUSIC Issue : Cold Summer feat. SHO OKAMOTO & REIJI OKAMOTO

NeoL_NO MORE MUSIC_COLD SUMMER_Photography : Takuya Nagata | Styling : Masako Ogura | Hair&Make Up : Katsuyoshi Kojima | Edit : Ryoko Kuwahara | Model : Leo


OKAMOTO’Sのニューアルバム『NO MORE MUSIC』発売を祝して、NeoLでは収録曲10タイトルにインスパイアされた10記事とイメージヴィジュアルを1ヶ月にわたって随時掲載していく。第5回目は“Cold Summer”をテーマに、オカモトショウとオカモトレイジが時代性について考察する。


——“Cold Summer”のトラックにはレイジくんが大きく関わっているのかなと思ったのですが、いかがですか。


レイジ「実はそんなこともなく、ショウのデモからほぼ変わっていません」


ショウ「今回のアルバム制作では、ハマもレイジもそれぞれのタイミングで『こういう曲がいいと思う』というアイデアやたくさんの参考音源を俺とコウキに送ってきてくれていました。その中でもヒップホップよりの曲を聴いて書いているので、レイジの初期アイデアは自ずと入っていて。曲にするにあたり、メロディや急にロックのようになるアレンジは俺が考えて、レイジがそれを組み替えていってアウトロも考えてくれました。レイジは曲の構成と全体のプロデュースした感じです」


レイジ「主に曲の構成と立ち位置を考えました。ただのイロモノにならないように、ライヴの最後や中盤で一度盛り上がれるアンセム感をもっと引き出そうと思って長いアウトロを付けたり。あと、きちんとヒップホップの曲として作りたかったので作り方にはこだわりました。バンドがヒップホップをやっているのではなく、ヒップホップとしてきちんと成立していて、途中でロックバンドのテイストになるという100対100の構成でやりたかったので、ドラムも一応叩いているけど、自分で叩いた音をサンプラーに入れて、自分の機材で打ったり。なので、実は家で作った音がたくさん入っています。ピアノも俺が家で弾いたやつだし」


——トラックも新しかったし、歌詞もショウくんの幼少期の話で、こんなに赤裸々に書いたのは初めてなんじゃないですか。


ショウ「NYで歌詞を書いていたのですが、セントラルパークでセントラルパークのことを書いたりしていました。小さい頃に本当に一番近くにあった公園で一番色々な思い出があるので、NYで書けてよかったと思います。その頃、父親に酒の問題があって、よくケンカをしていて。誰に聞かせたいわけでもないけど、その話をしてみようというのが“BROTHER”くらいからの自分のテーマになっています。できあがってみたら、レイジがNASだって(笑)」


レイジ「NASというか、イーストサイドのヒップホップになっていて。ジャパニーズ・ヒップホップじゃないなと」


ショウ「英語で考えて英語で歌ってるからね」


レイジ「歌詞の乗り方が完璧にNYのヒップホップだった。すげえいいなと思いました」


ショウ「音は結構めちゃくちゃなんですよ。口笛がメインリフになっているし、バンドの演奏はいままでで一番つまらないかもしれない」


レイジ「ハマくんもずっと『ブッブッブッ』しか弾いてないし」


ショウ「完成したら気に入ってくれたけど、最初の段階では、コウキとハマくんはあまりこの曲に乗り気じゃなかったんです。何と言っても、OKAMOTO’Sはプレイヤー集団でもあるので、その目線では気に入らないのもよくわかる。逆にプレイヤーではない俺や、サンプリングされて作られている音楽も好きなレイジの目線を加えることで、これまでやれていなかった領域へ広がっていきたいと思って。レイジは、この曲のように俺がバンドのフォーマットを半ば無視して作るような曲を面白がってくれるんです。俺はそこでモチベーションが上がって、レイジをもっと喜ばせられるだろうなと思って曲を作るときがある。バンドをぶっ壊してやりたいというか、既存のものをぶっ壊したい。そういう気持ちで書いた曲が“Cold Summer”でもある。
でも俺はデモを書いた後はあまり責任が持てなくて、OKAMOTO’Sは民主主義性でみんなが曲を採択していくので、その採択に任せてしまう。自分がよっぽど気に入っている曲はこれと言うけど、この曲に関してはレイジが『絶対にやったほうがいい』と言って俺の代わりに責任を引き受けて死守してくれた。歌詞も曲ができあがった後に書いたものですが、赤裸裸に書けたし、すごく思い入れのある大事な楽曲になりました」


——個人的にもそうだし、アルバムの中でも決定的にこれまでとバンドカラーを変えた曲になっていますよね。


ショウ「純粋に格好いいものを作る、やりたいことをやるというのは本当に難しい。そのためにはヴィジョンも技術も必要になってきますし。表面的にやって、『はい、できた。俺はやれている』という誇示が世の中にはたくさんあって。でもそうではなく、本当に狙ったところに自分の好きなものを落とし込みたい。それは自分のチャレンジとして常にあります」


レイジ「俺は逆ですね。世の中のやりたいことをやれている人は、ある意味やれているんだと思っていて。浅くてそれしか知らないから満足できてしまう。でもショウのように、やりたいことをやりたいけどやれないというのが個性で、本人が100%満足することなんてないんです。岡村(靖幸)ちゃんみたいな天才でも何十年もレコーディングし続けているわけで。満足しているというのは個性的ではないというか。まあ、アートかビジネスかというバランスはもちろんありますが」


ショウ「それをバンドでやるのはなおさら難しい」


レイジ「リーダーのいないバンドでやるのはね。好きなものがバラバラだから」


ショウ「でもそこがすごくいいところだし、俺らの独特の立ち位置を築いていると思う。自分で言うのもなんですが、年齢、経歴、いまいる場所も含めて全て独自の道を歩いている気がしています。前に誰も歩いていない。その道を歩けているのは4人でいるバランスのおかげだと思う」


レイジ「『レッチリだなあ!』ということをやれている人は意外といないから、4人の個性が均等に出てミックスされている感じは、いちレッチリファンとしてはイケてるなと思います。90’Sリバイバルのようなところもわかりつつ、Suchmosがジャミロクワイなら俺たちはレッチリでしょうという感じでやれたのは新しい一歩だし、時代にも沿えている感じがします。トレンドも汲み取りつつ、誰もやってないことをやれたというか。“90’S TOKYO BOYS”でバンドとしての新しい扉を開いて、世間からの反応も追いついてきている感じがします」


ショウ「まだ微風かもしれないませんが、いままでにない風を感じていて。あとは“WENDY”と”Cold Summer”次第だと思います。“BROTHER”“NEKO”で溜めていたエネルギーがあって、先行の“90’S TOKYO BOYS”で見たことがない景色にいけるかもしれないという風が吹き始めて、ここからアルバムの中の“WENDY”と”Cold Summer”という極端な曲たちがどう受け止められるか、ライヴでどう花開いていくかで決まるのかなと。でも、明らかにこれまでより受け入れられているという実感があります。それはいままでより頑張っているからというわけではなく、毎回狙って作っているけど、その狙い目と時代がようやくクロスしてきたという印象で。空気を読んで作っているわけではないけれど、アートであれ音楽であれなんであれ、いま生きている人の身体の中で生み出されて吐き出されているものだから、反発するにしろ乗っかるにしろ時代性は出る。それは大事だなことだと思うし、やるからには楽しんでやったほうがいい。そうじゃなかったら、やらないほうがいいと俺は思っています。そういう意味でも、いまの自分が格好いいと思う曲を誠実に作れたのは嬉しいし、すごく大切な楽曲です」




okamotos

OKAMOTO’S
『NO MORE MUSIC』
8月2日発売
(Ariora)
https://www.amazon.co.jp/NO-MORE-MUSIC-初回生産限定盤-DVD付/dp/B072VKB8QQ/ref=pd_lpo_sbs_15_img_1?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=8MR686V41KK8S9ZDA0PC
https://itunes.apple.com/jp/album/no-more-music/id1253780325

photography Takuya Nagata
styling Masako Ogura
hair & make-up Katsuyoshi Kojima(TRON)
model Leo(Be Natural)
interview & edit Ryoko Kuwahara


shirt ¥28,000 , pants ¥28,000/TOGA PULLA



TOGA Harajuku Store http://www.toga.jp
*price excluding tax

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