NeoL

開く

東京国際映画祭 :『ある妊婦の秘密の日記』ジョディ・ロック監督 ダダ・チャン ケヴィン・チュー /TIFF : The Secret Diary of A Mom to Be[Baby復仇記]




東京国際映画祭のライナップからNeoLが注目した作品をピックアップ。監督や出演者らゲストのトークを紹介する。1作目は香港の妊婦事情を描いた『ある妊婦の秘密の日記』。『レイジー・ヘイジー・クレイジー』(TIFF15)のジョディ・ロック監督の2作目が再び「アジアの未来」に登場した。広告代理店に勤める仕事人間のカーメン(ダダ・チャン)は、バスケットボールプレイヤーの夫(ケヴィン・チュウ)と幸せな生活を送っていたが、妊娠3か月と知り、順風満帆だったキャリアの危機や夫婦関係の変化に憂鬱になる。どの国にも共通する女性たちの悩みを、現代的な目線で見事に描いた本作。妊婦を支えるアドバイザー/ヘルパーの存在や職場や社会の環境など、興味深いトピックが満載だ。監督、原案、脚本を担当したジョディ・ロック、主演女優ダダ・チャン、俳優のケヴィン・チューが登壇。

ーージョディ・ロック監督、今回は2作目となりますが、デビュー作の『レイジー・ヘイジー・クレイジー』は女子高校生3人組の話でしたが、今回主人公が大人になりましたね。


ジョディ・ロック「年齢を意識していたわけではありません。女性の成長期は色々とあると思っていて、まずひとつは学生から働きに出るまでの成長期。次に、結婚して子供を産むというのも成長期だと思っています。なので同じ女性の成長期を描いているという風に考えています」


ーー前作とはスタイルも全く違う作品となりました。


ジョディ・ロック「自分自身が年齢を重ねる中でいろんな経験をしてきていますよね。自分が脚本を書くときにはその経験を脚本に反映させるように書いているので、脚本のスタイルがどんどん変わってくるということは当然のことだと思います。また、今回の作品は全て大都市の中での男女・夫婦を描いていて、大きな都市になればその生活のリズムは早いものになります。だからどの都市であろうとも、描いたものが男女の感情というとことであれば、同じリズムになり、似通ってくる者だと思います」







ーーなるほど。俳優のおふたりは夫婦役ということで、どのようなところに気をつけて演技をしたか教えてください。


ケヴィン・チュー「今回ダダさんと一緒に演じましたが、ダダさんとは、撮影に入る前や撮影中でも常に脚本を読みながら、これをどういう風に芝居しよう、どう演技しようという話を色々現場で積み重ねました。ある意味、演技をするというより、お互いを信用する、相手を信用するというというのがとても大事なのですがそれがうまくできたと思います」


ダダ・チャン「今回の役柄は妊婦ということで、非常に難しい役でした。幸いなことにこの役には愛してくれる素敵な旦那さんがいてくれたのですが、そのことは自分にとっても大切なことだったと思います」

ーーダダ・チャンさんは今回妊婦の役ということでお腹が大きかったり、変顔が多い役柄でしたがそのことに関して研究しましたか?


ダダ・チャン「私は妊娠したことがないので、役作りとしてインターネットや本で妊婦について調べたり、身の回りで妊娠したことがある方に色々話を聞いて勉強しました。でも、妊婦さんそれぞれで環境も違えば、妊娠中の症状それぞれ違うということを調べている中で感じたんです。そこで自分なりにこのカーマンという役柄に入り込んで妊婦を演じたつもりです」


ーーケヴィン・チューさんは、バスケの選手ということでしたがトレーニングなどされましたか?


ケヴィン・チュー「バスケット選手という役だったので、この映画の撮影前に練習はしました。また、撮影中はプロのバスケットの選手を呼んできてもらってトレーニングをしてもらいました」



ーー作品のタイトルは原題ですと、『Baby復仇記』だったので、てっきりダダさんの子どもが悲惨な死に方をして復讐していく話なのかなとドキドキしてみていましたが、すごく笑えてすごくしんみりして、胸をぎゅっと掴まれる素晴らしい作品でした。どうして『Baby復仇記』というタイトルをつけられたのでしょうか。


ジョディ・ロック「仏教でいうところの輪廻転生がヒントになっています。女性が妊娠して子供を産んむ、そうすると母親は全ての精力、全ての時間を子供に注ぐことになります。つまり子供が生まれるというのはおそらく輪廻の前の前世の時に母親に対して色々あったから、それをその人の子供として生まれて復讐をするのだ、と(笑)。それで脚本を書く時にこのタイトルにしました」





ーールイス・チョンさんが演じているキャラクターがすごく面白かったんですけれども、そのようなスーパーヘルパーのような仕事をしている人は本当に香港に実在しているのでしょうか。


ジョディ・ロック「香港ではそういう子供を産む時に補助するという仕事は本当にあります。非常に給料も高い仕事になります。ただ現時点で男性でやっている方はいなくて、一般的には女性の仕事です」

ーー出産によって女性のキャリアがストップすることで主人公が悩んでいましたが、監督も香港の社会の中でもそういうことがあると思っていらっしゃるのでしょうか。


ジョディ・ロック「妊婦ということであれば仕事に影響が出ることもあって当然だと思います。例えば頻繁に海外へ飛ばなきゃいけない仕事をしていたとして、妊娠したらそうそう簡単に飛行機には乗れません。また工事現場で働いている人だったら、危険だからその現場で働くことはできません。妊娠をしたら仕事で影響が出ることは仕方ないことだと思います。ただ、香港の女性は非常に生命力が強いので一般的には出産の2週間前からしか休みをとりません。そして産んだ後は、約2ヶ月で仕事に復帰するんですよ!」


『ある妊婦の秘密の日記/The Secret Diary of A Mom to Be[Baby復仇記]』
監督:ジョディ・ロック[陸以心]

キャスト ダダ・チャン ケヴィン・チュー キャンディス・ユー
94分広東語、英語日本語字幕・英語字幕付き2019年香港
©One Cool Flm Production Limited

RELATED

LATEST

Load more

TOPICS