2018年にアントワープ王立芸術アカデミー在学中にVFILES Runwayで優勝して以来、瞬く間に注目を集め、マドンナやリアーナ、BLACKPINKなど数多くのアーティストにも愛されるWINDOWSEN。そのWINDOWSENが、6月18日(水)、プライド月間を祝福し、東京エディション虎ノ門とコラボレーションしたパーティー「UNIQUE」を開催。ポールダンスワールドチャンピオンの小源寺亮太をはじめ、東京のアイコニックなDJやゲストがWINDOWSENのドレスを身に纏い、幻想的な一夜をつくりあげた。WINDOWSENのデザイナーであるSensen Liiに、この一夜に込めた想いからクリエイティブの核に至るまでを語ってもらった。
ーー「UNIQUE」について、今回のコラボレーションはどのようにして実現したのでしょうか。あなたがこのイベントを通して伝えたいことは?
Sensen「私は“UNIQUE”というテーマがとても好きなんです。個人的にも、ブランドとしても、ユニークであることは非常に重要ですし、特にファッションや自己表現の世界では、そうあることがすべての出発点。個人のスタイルやマインドを表すものであり、ブランドのアイデンティティそのものでもあります。このようなテーマを掲げたイベントに参加できて本当に光栄ですし、あらゆるユニークさを祝福する機会に関われることが嬉しいです。
“UNIQUE”を通じて伝えたいのは、より多くの方が自分自身の個性を表現することに勇気を持てるようになってほしいということ。誰もが特別な何かを内に秘めていますし、デザインやこうしたイベントは、そのユニークさを称え、エンパワメントする手段になりうると信じているんです」
――今回のイベントでは、東京のアイコニックな才能とあなたの作品とのコラボレーションが実現します。衣装のセレクトはどのように行いましたか。
Sensen「東京の持つクリエイティブなエネルギーと、私たちのビジョンが重なり合うことに、すごくワクワクしています。衣装を選ぶ際は、それぞれの個性が際立ち、強い表現力を持つようなアイテムを意識しました。どこかパーソナルでありながらも、見る人の心を掴むようなピースを選んでいます」
――あなたの作品は、たとえばジェンダーの境界を超えたり、未来的な要素と昆虫や植物のような原始的なモチーフを融合させたり、現実と仮想、色彩のコントラストなど、相反するものを自然に溶け合わせているように感じます。こうした感覚は、どこから生まれているのでしょう?
Sensen「私のデザインは、世界をどう見ているか、そのままの反映なんです。自分にとって自然だと感じるものを直感的に組み合わせていて、あまり境界を意識していません。インスピレーションの多くは、好きな映画から来ています。いつも『もしWINDOWSENというユニバースがあったら?』と想像していて、そこから多くのアイデアが生まれてきます」
――だからでしょうか、WINDOWSENはファッションにとどまらず、パフォーマンスやバーチャルメディアなどとも融合しています。あなたのデザイン哲学は?
Sensen「そうですね、私のクリエイティビティに境界はありません。一つの分野にとどまることに興味がなくて、ファッション、映画、パフォーマンス、バーチャル空間、ゲーム、音楽……すべてがつながっているんです。私のデザイン哲学は、『境界ができる前に壊すこと』です」
――コレクションにおいて、ストーリーテリングはどのくらい重要ですか。
Sensen「ストーリーテリングは、私のクリエイションの核と言ってもいいくらい大事なものです。やはり映画の影響もすごく大きいですね。
私のショーを見たことがある人ならわかると思いますが、あれはただのランウェイではなく、一つのシネマティックな世界を構築する感覚で作っているのです。チームやモデル、メディア、セレブ、KOL、観客、そして私自身も含めて、全員がその世界のキャラクターになる。衣装やルックを超えて、“感じて、夢見て、没入できる”世界を創ることが目的なんです」
――「着る人ごとにまったく違うフィードバックが返ってくるし、それがコントロールできないことを楽しんでいる」とインタビューでおっしゃっていました。あなたにとってファッションは対話でもあるようですが、人との関わりからどのようなインスピレーションを得ていますか。
Sensen「どんなフィードバックもありがたいと思っています。私は全員が好きだというものは作ることができないし、作るつもりもありません。それよりも、人とつながり、心に問いを投げかけるような、果敢な挑戦に満ちた作品をつくることの方が大切です。人との関わりを通じて得るインスピレーションとしては、自分の考えをより深く掘り下げるきっかけになることが多いですね」
――あなたはこれまで、マドンナ、レディー・ガガ、ドジャ・キャット、BLACKPINKなど、多くのアーティストとコラボレーションを行っています。そうした才能あるアーティストたちとの対話からはどのような刺激や学びがあったか教えてください。
Sensen「私はWINDOWSENを知って、身につけてくれる全ての人に感謝しています。よく聞かれる質問ですが、私はいつも『彼女たちがWINDOWSENを選んだのであって、私が彼女たちに着せたのではない』と答えています。彼女たちが私の作品を纏って自身の声やスタイルを表現すると選択してくれたことが何よりも大切。彼らの姿から学ぶのは、自分自身を大胆に貫く姿勢。私も、自分のビジョンに忠実に、境界を超えていくことを忘れずにいたいと改めて思わされます」
ーーWINDOWSENを身につける人にどんな気持ちになってほしいですか。
Sensen「大胆に、力強く、現実なんか飛び越えて、限界だって感じないような気分になってほしい。一番大切なのは、自分自身に正直であり、自由に自己表現してほしいということ」
――以前、パリに移る予定だと話していましたが、拠点を移すことで創作面で変化はありましたか。
Sensen「今はパリ、上海、時には東京を含めて行き来しています。文化的なコントラストはとても刺激的ですが、私はどこでも街の中心地からは離れて暮らしているので、その土地の雰囲気に左右されることはあまりないかもしれません。むしろ自分自身の世界の中に没入している感じですね」
――最後に、今後のWINDOWSENの展開について教えてください。
Sensen「今年の終わりに大きなプロジェクトがあり、2026年初めにはパリでクチュールショーを予定しているので、今からとてもワクワクしています。今のところ具体的な計画はありませんが、東京でもショーをやりたいですね。これからもWINDOWSENの活躍にご期待ください」
WINDOWSEN
2019年、Sensen Liiがアントワープ王立芸術アカデミー在学中に設立した、パリを拠点とする中国のインディペンデントファッションハウス。クチュールとスポーツウェアを自由にシンクロさせることで、ジェンダーの境界を越え、クラシックと近未来、既成と前衛との対立を探求。包括的なポスト・ヒューマン世界、規範を消し去り、伝統をねじ曲げた夢の国を構想している。
https://www.instagram.com/windowsen/