NeoL

開く
text by Meisa Fujishiro
photo by Meisa Fujishiro

藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#62

IMG_9091



 頭を空っぽにするというのは、思考を外すことである。眠ればできると思われるかもしれないが、眠っている間も人はいろいろ考えたり夢を見たりするので、起きている時にその時間を得るようにしている。具体的な方法としては、瞑想である。頭を空っぽにすることは、新しいアイデアを得るための空き地を作るだけでなく、心身を深い安らぎに導く。私は朝晩に瞑想をすることを課している。たとえ5分しかできなくても、必ずやるようにしている。

 この瞑想時に、深い呼吸を意識する。息が浅くなると酸素が不足するし、免疫力も低くなる。瞑想時だけでなく、仕事の合間や車の運転時の信号待ちなどでも、頻繁にやるようにしている。


 人間の身体は、座り続けるために設計されているわけではない。動き続けられるように作られている。なので、適度な運動を行うことを前提として、全体の調和が保たれる仕組みになっている。毎日ジョギングや散歩を欠かさないようにしている。また週一回は強負荷をキックボクシングジムで与えている。自分の限界値を下げないためだが、これは寿命を縮めているかもしれない。だが、現在の年齢やライフスタイルには、このくらいの負荷をかけた方が、身体の張りがいいのでしばらくは続けようと思う。

 肩の力を抜く、というのは、不要な力みを心身から除く目的である。力みは流動性を弱める。執着心や肩こりを生み、生き方を強張らせてしまう。もともと私は頑張ったり気を張ったりすると、肩に力が入りやすく、これを抜けるようになったのは、40代になってからである。力を入れるよりも、力を抜くことの方が遥かに難しい。考え方が硬い人は、たいてい肩が凝りやすい。深呼吸する時に肩を回したりするようにしている。

 腹八分目は、昔の言葉にもあるように、過度な労働を胃腸にさせて、体内のエネルギーを無駄に使わないためである。また、間食なども控え、時には一日一食にして小さな断食状態を意識的に作ることも時々している。

 食事に関しては、昨年は身体の声に従ってアルコールから去ることになった。意を決したわけではない。飲みたくなったら飲もうと思っていたが、身体が欲しいと声をあげなかったので、飲まずに過ごした。体調は劇的ではないにしろ、一年を通して好調を維持できた理由のひとつかもしれない。その声には続きがあって、今年はコーヒーをまだ一口も飲んでいない。そのうち飲みたくなるのだろうが、常飲しなくなるような気がしている。

もしかしたら、身体の声が聞こえる客観性と、それに気安く従う柔軟さが、この五年で得たものかもしれない。

あと、これもヒーリングかな?と思える習慣は、雲を眺めることである。

人は人を真似て成長する。私は、時々なら自分自身が人でなくてもいいと思っているので、雲を眺めて真似ている。

 


流れよう、光を浴びよう、地上に恵みの雨を降らせよう、いつの間にか消えてしまおう。

1 2 3 4

RELATED

LATEST

Load more

TOPICS