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韓国の「非婚」ムーブメントを代表する話題の2人組YouTuber、初エッセイ


 
2019年に活動をはじめたエスとエイの二人からなるYouTuberコンビ「ホンサムピギョル」。チャンネル名「ホンサムピギョル」(혼삶비결)には、「一人暮らしの秘訣」と「ひとりで歩む人生、どきやがれ、結婚主義者たち!」という二つの意味がかけられているという。「非婚」をテーマにさまざまな企画に挑戦する姿は、ロイター、ABC、ブルームバーグ他、海外メディアでも紹介されるなど、大きな注目を集めている。
 

 
そんな二人の初エッセイ『未婚じゃなくて、非婚です』が1月下旬、左右社より刊行。一筋縄ではいかないながらもパワーに溢れた、「非婚」実践の記録をご覧あれ。
 
・結婚したくて仕方なかった私はなぜ非婚主義者になったのか
・「二重の手術と矯正が必要」? ルッキズムと脱コルセット
・かつての恋人からの激しい束縛とガスライティング
・毎月10万円以上費やして「自己破壊的な推し活」をしていたアイドルオタク時代
・フェミニストになってから親友と疎遠になった
・職場にバレた非婚YouTuber活動
 
改めて、「非婚」という決心をより正確な言葉で定義することにした。私にとって非婚は、結婚をしないことだけを意味しているわけではない。「男性中心の社会に反旗を翻し、既存の結婚制度へ反対する」という意味での非婚宣言だった。
— p.8
 
私の将来には、「結婚した女」と「結婚しないまま年老いた寂しい女」の代わりに、第三の道が生まれた。手を差し伸べれば握り返してくれる、ひとり身の別の女性たちと一緒に、自由でありながら寂しくない人生を送っていくつもりだ。「結婚しないと言っていた人が、本当に結婚しないで誰よりも幸せに暮らしている」という言葉を、もっとたくさんの人に聞かせてやりたい。
— p.9
 
「非婚」は、10年前は聞き慣れない言葉だったが、韓国では、いまや多くの人たちに親しまれる言葉になった。だが、まだ正式に採用している国語辞典は少ない。この原稿を書いている今も、非婚と打つたびにスペルチェックで未婚に変更するように勧められている。(中略)「非婚主義者」という言葉はよく聞くが、「結婚主義者」という言葉は耳慣れないはずだ。言葉一つを変えるだけで、思考の転換が起きる。
— p.56
 
 私たちが夢見る未来。そこが、女性として生まれたという理由で、より多くのことを証明しなくてすむ場所であることを願っている。(中略)そこでは、これ以上女性が女性だという理由だけで、あらゆる暴力や不合理や搾取に苦しめられたり、不利な判決を受けたりしないことを願う。
 夜道に怯えなくてすみ、玄関に二重三重に鍵をかけたり、ドアロックの指紋を定期的にアルコール綿で拭いたりしながら、それをひとり暮らしの「コツ」だと共有しなくていい、国家という屋根の下、同等な市民として保護されていると感じられる、安全で当たり前の社会であってほしい。
 そんな未来を目指しながら、私はできるだけ自分の場所で、長く、持ちこたえるつもりだ。
— p.250
 
■特別試し読みURL
https://note.com/sayusha/n/n6d9668a3654b

 
『未婚じゃなくて、非婚です』
著者:ホンサムピギョル
訳者:すんみ、小山内園子
定価:1,800円+税
装画:MIKITAKAKO
装幀:田中久子
本文デザイン:鳴田小夜子(KOGUMA OFFICE)
発行・販売:株式会社左右社
HP:https://sayusha.com/books/-/isbn9784865284058
Amazon:https://amzn.asia/d/gFmYgZT
 

■著者プロフィール
ホンサムピギョル
「非婚」をテーマに発信する、2019年結成の女性YouTuberコンビ。ロイ ター、ABC、ブルームバーグなど、複数の海外メディアに韓国の「非婚」ムー ブメントを代表する人物として紹介された。YouTubeチャンネル名のホンサ ムピギョル(혼삶비결)には、「一人暮らしの秘訣」と「ひとりで歩む人生、どき やがれ、結婚主義者たち!」という二つの意味がかけられている。
◆ YouTube@solodarity5021
◆ Instagram@official_solodarity
 
エス……大邱出身。自由に生きたいと思い、小学生の頃から結婚はしないと決めていた。2016年の江南駅殺人事件をきっかけに、女性の人権について考えるようになった。三毛猫のショウガをかわいがっている。MBTIはINTP。
 
エイ……幼少期の女三人暮らしの苦労から「結婚主義者」に。しかし、2018年の「不便な勇気デモ」をきっかけにフェミニズムに関心を持つようになった。犬のピーナッツと暮らしている。MBTIはENFJで、エスとは正反対の性格である。
 
■訳者プロフィール
すんみ
翻訳家。早稲田大学文化構想学部卒業、同大学大学院文学研究科修士課程修了。訳書に『5番レーン』(鈴木出版)、『八重歯が見たい』(亜紀書房)、共訳書に『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』、『脱コルセット:到来した想像』(ともにタバブックス)などがある。
 
小山内園子
韓日翻訳者。東北大学教育学部卒業。訳書に『四隣人の食卓』(書肆侃侃房)、『女の答えはピッチにある 女子サッカーが私に教えてくれたこと』、『大仏ホテルの幽霊』(ともに白水社)、『破果』(岩波書店)、共訳書に『彼女の名前は』、『私たちが記したもの』(ともに筑摩書房)などがある。

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