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jan and naomi『jan,naomi are』インタビュー

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——曲のアイデアは互いに持ち寄るんですか?

ヤン「“Heso”は1から10まで一緒に作った感じなんですけど、それ以外はわりと母体となる部分をそれぞれ作って。一緒に子どもを作っていくような感じですね」

ナオミ「俺はヤンの歌詞がすごく好きで。すごく美しい言葉を見つけるから。だから、歌詞は極力ヤンに書いてほしいと思っていて。ヤンの歌詞を受け取るのが楽曲制作のいちばんの楽しみでもあるんですよね。俺がこのメロディいいなと思ってヤンに投げるとどんな言葉が返ってくるんだろう?っていう」

——何かが起こったり、終わる直前の瞬間を捉えてるようなリリックだと思うんですよね。その刹那を美しくスケッチしているなって。

ヤン「それすごくうれしいです」

——ヤンくんがリリックを書くうえでいちばん大切にしていることはなんですか?

ヤン「それもやっぱりどこかに連れて行ってあげたいというところなんですけど。その次に歌詞が耳に入ってくる途中の高揚感を楽しんでもらいたいというのがあって。人間でも動物でも生まれて終わる直前がいちばん充実感があると思うんですよね。何かを成し遂げる直前だったり。セックスでも絶頂に達する直前に最大のドラマがあると思うし」

——思わず相手の名前を叫んだりね(笑)。

ヤン「そうそう。あと食べ物を口にするときもそうだし、音楽をやるのも、お酒を飲むのも直前の瞬間が好きなんですよね。そこを言葉にできないかなって思ってます」

——あと、自分自身を断罪するような視点もあるじゃない?

ヤン「そのスピリットはナオミさんからインスパイアされたもので。先にメロディを聴かせてもらうと、その旋律から引き出してもらうものもある。そのときに自分を咎めるニュアンスが出てきやすいんですよ」

ナオミ「僕は曲を作るときに鼻歌よりもうちょっと言葉が入ってるような感じで作るんですね。何か言いたいんだけど、それを言葉にできる能力はそこまでなくて。だけど、この歌はWの頭文字から始まるんじゃないかとか、Eから始まる言葉をもしかしたら言いたいのかもしれないみたいな状態でヤンに聴いてもらって。そこからヤンが歌詞をつけてくれると、“あ、俺はもしかしたらこれを言いたかったんじゃないか”って思うくらいしっくりくるんです。そこはいつもビックリしてますね」

——言い当てられるような感覚?

ナオミ「なんか占い師みたいだなって思う(笑)。俺の心はこういうふうに思ってたんじゃないかって。ヤンの歌詞が乗っかってから、自分のメロディを理解するような感覚もあって」

——たとえば2曲目「DAB ♭」の“茶色のケーキ…葉巻…心の痛み”というフレーズから始まって徐々に真理があぶり出されるような感じがたまらないなと。

ヤン「それもわりと静けさから生まれるイメージというか。茶色いケーキと葉巻がそこに取り残されていて。そこから意識の深いところまで潜っていくイメージで。ひとつのファンタジーというか、童話というか。ありえない世界のように聴こえるけど、リアリティがあふれていると自分では思っていて」

——リスナーの想像力を喚起する歌だとも思うしね。

ヤン「うん。実際はみんなそれぞれ頭のなかに描く思いや風景があって。そこに潜っていくというか」

——ヤンくんのお母さん(佐藤奈々子)はもともとシンガーであり写真家でもあって。そういうバックグラウンドが自分のリリックに及ぼしてる影響はあると思いますか?

ヤン「どちらかというと父親のほうがあるかも。父親はオランダ人なんですけど。小さいころからたまに会うと自分の手が届かない異世界にいる人みたいな感覚があったんです。そういう彼の存在感に憧れてるところがあるんですよね。自分にとっては父親というよりピーターパンみたいな存在で」

——音の面ではナオミくんが奏でるアルペジオがすごく印象的で。たとえばラスト「Belle J」のシンプルなアルペジオのループとバイオリンのピッツィカートが重なっていく感じはとても繊細な高揚感がある。

ナオミ「俺、アルペジオがすごく好きで。アルペジオがある曲だったら全部いいじゃんって思うくらい好きなんです。jan and naomiを始めた最初のころは俺もアコースティクギターを弾いていてストロークしながら歌ってたんですけど。でも、だんだんアルペジオの曲をどうしてもやりたいと思うようになって。ヤンの低いキーの歌がそこに乗っかったら誰もがシビれるのはわかってたから。そういう歌を歌ってほしいし、一緒に唄いたいと思って」

ヤン「3曲目“Cranberry pie”もそういう感じで」

——この曲のアルペジオとメロディも素晴らしいですね。

ヤン「こういうイギリスとのトラッドフォークな感じはいつかやってみたいなと思っていて。僕とナオミさんのルーツ的な部分が融合した曲だと思いますね」

——今回も2人が信頼しているミュージシャンが参加してますけど、今後も2人の音楽にいろんな人が参加する可能性はありますか?

ナオミ「その可能性はあると思います。またいろんな人と一緒にやりたいです。2人でやるのも最高に楽しいんですけど、たまにメンバーが多い編成も無性にやりたくなるんですよ。それをいいバランスでできたらいいですね」

ヤン「俺もまったく同じ気持ちです」

——今後、ユニットとして実現させたいことは?

ナオミ「ペトロールズと対バンしたいですね」

——観たいです。

ナオミ「あとはうちらの美意識みたいなものが広く浸透して、ひとつのスタイルになったらいいですね。“今週末、飲みに行く?”みたいな感覚で“今週、jan and naomiのライブ行く?”みたいになったらうれしいですね(笑)」

ヤン「最初の話に戻るけど、うちらにとってのHesoみたいな場所になれたら。どこでライブをしてもjan and naomiの空気を作ることができたらと思います」

——たとえアーティストじゃなくても、どんな生業の人でも人は何らかの固有のクリエイティビティを持っていると思うから。それを触発する音楽世界だと思うし。引き続き楽しみにしてます。

ヤン「うれしい。上辺だけの美意識じゃなくて、自分の魂の奥底にある美意識を刺激する音楽をやれたなって思います」

 

撮影 中野修也/photo Shuya Nakano

文 三宅正一/text  Shoichi Miyake(ONBU)

編集 桑原亮子/edit  Ryoko Kuwahara

 

jan and naomi

GREAT3のベーシストとしても活躍するjan(ヤン)と天性の歌声をもつnaomi(ナオミ)によるミュージックデュオ。 渋谷百軒店でそれぞれソロで演奏していた時に出会い、2012年末よりjan and naomiとして音楽活動をはじめる。 類い稀なシンガーソングライティングセンスの二人はAcid Folk/AlternaXve Folkを独自に解釈で表現している。 彼らの音楽性は多方で様々な表現をされており、シド・バレットがイルカにのって、ヴィンセントギャロを訪れた際に生まれた音のよう。と、自身のオフィシャルサイトで評したのはDJ Peacok。また、ペルーのDigmag紙は“アーバン・エクゾティカ”とレビューで4ツ星を獲得している。

2014年2月、プロデューサーにDr.Strangelove 長田進、レコーディング・マスタリングに清水”Shimmy”ひろたかを迎えたファーストシングル「A Portrait of the ArXs as a Young Man/Xme」をHot BuLered Recordより7inchで500枚限定リリースし完売。 待望の5曲入りファーストEP「jan,naomi are」が10月29日に発売予定。サウンドプロデューサーにDr.Strangelove 長田進、レコーディング・マスタリングに清水”Shimmy”ひろたか、GREAT3の白根賢一、カメラ=万年筆の佐藤優介、nomadoのTekkoが参加している。 ライブ活動は、毎月第1金曜日・渋谷Bar Musicにて「Roarers On The Road」、第3or第4土曜日・富ヶ谷Callasにて「Up Stairs」というイベントをひらいている。

11月にツアーが決定!

http://hotbutteredrecord.jp/?p=122

http://hotbutteredrecord.jp/?p=92

11月4日広島クラブクアトにて「Stereo Records 9周年」青葉市子らとの出演も決定。
1月12日、恵比寿リキッドルーム10周年ライブ「The Sea and Cake/トクマルシューゴ」のオープニングアクトに出演する。 http://www.liquidroom.net/schedule/20141112/19493/

jan and naomi

http://twitter.com/janandnaomi

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http://janandnaomi.web.fc2.com

http://hotbutteredrecord.jp

 

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jan and naomi

『jan,naomi are』

 

10月29日発売

http://www.amazon.co.jp/jan-naomi-are-国内盤CD-HBRCD-0001/dp/B00NEIFFZK/ref=ntt_mus_ep_dpi_1

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