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ロイクソップ『THE INEVITABLE END』インタビュー後編

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ーー曲順・構成にストーリーはありますか?

ロイクソップ「それは実にある。曲から曲の流れが、ストーリーや進展を暗示している。進展とは人生における進展や感情の進展。ワクワクした感情、元気いっぱいの感情、愛情深いこと、疑うこと、過剰なこと、喪失感、悲しみ、そういったものを経て最終的に何かしらの結論に至る。その道のりを、僕がリスナーに対して具体的に指摘するのは違和感がある。それはリスナーが決めることだ。だが、アルバムを最初から最後まで聴くと、リスナーはある種の旅に参加できるような構成になっている。アルバムとしてのまとまりがあって、意味を成しているものだと思う」

ーーアルバムには、ロビンはもちろん、先行EPにリミックスを提供したマン・ウィズアウト・カントリーのライアン・ジェイムス、「Something In My Heart」も歌ったJamie Irrepressible、そしてSusanne Sundførがヴォーカリストとして参加しています。彼らをヴォーカリストとして選んだ理由・ポイントは?

ロイクソップ「Susanneの声は以前から聴いたことがあり、素晴らしい声だと思っていたが、僕たちの間には個人的な面識はなかった。彼女は僕たちと同じノルウェーに住んでいるけれどね。ノルウェーは人口5百万の国だ。だから僕たちと似たような音楽をノルウェーでやっている人たちとはいずれ知り合うことになる。だがSusanneとは、まだ会ったことがなかったんだ。彼女と電話で話す機会があった時、彼女はとてもやさしい人で話しやすかった。そして僕たちと一緒にツアーがしたいと言ってくれた。そして、僕たちは「Running To the Sea」を書いた。彼女が曲を歌いにスタジオに来てくれたとき、彼女の才能に圧倒された。だからベルゲンに何度か来てくれて、それ以来彼女とは一緒に作曲を続けている。それに夏中もずっと一緒にツアーをして同じステージに立ってくれた。

ライアン・ジェイムスはリミックスを提供してくれた。珍しいことだが、リミックスに新しいヴォーカルを加える人たちがいる。クールなことだと思うよ。マン・ウィズアウト・カントリーはそれをやってくれた。彼らのヴォーカルでの貢献の仕方が気に入ったと伝えたら、ライアンは他にもヴォーカルを送ってくれた。それを聴いたとき、この声こそ僕たちが「Sordid Affair」で求めていた声だと思った。歌いにくいメロディーで、音程も高い。そしてベルゲンに来て彼が歌ってくれたとき彼は本領を発揮してくれた。素晴らしかったよ。彼と一緒に仕事をするのは最高だ。

The IrrepressiblesのJamieとは過去にたくさん一緒に仕事をしてきた。彼と一緒にスタジオに入ったり、作曲したりするのは、このアルバムで表現したいこととピッタリ合った。Jamieとコラボするきっかけになったのは、The Irrepressiblesの「In This Shirt」という曲を聴いたからだった。この曲を見つけて、自分達がDJセットでこの曲をかけられるように、ビートを加えてロイクソップ・バージョンを作ったんだ。その事が彼らの耳に入った。ロイクソップがThe Irrepressiblesのリミックスを無断で作っている、と(笑)。そしたら彼らは、僕たちがより良いリミックスを作れるように、曲のパーツを送ってくれた。僕たちのリミックスを気に入ってくれたみたいで、その後Jamieが僕たちと一緒に音楽を作りたいと言ってくれた。僕たちもJamieと一緒に仕事がしたかったから、このコラボが実現したんだ」

ーーアルバムのアートワークについて。今回は絵画のような質感が伝わってくるものになっていますが、ここに込めた思いは?

ロイクソップ「アートワークはエレガントで、あまり多くの要素を使っていないと思う。少ない要素を用いてやりたいことを達成するという、アルバムの美学を反映している。丁寧であると同時に、感情を呼び起こす作品だ」

ーーアルバムを通じて、リスナーに提示したい世界・メッセージはありますか?

ロイクソップ「僕たちの音楽から何を感じて、何を考えるのを、僕たちが決定付けるのはあまりしたくない、ということはを先ほども話した。僕がよく思い出すのは、ミニマル・ミュージックの作曲家フィリップ・グラスの言葉だ。『我々はコマーシャル(CM)をなぜ嫌うか?それは全てがシンクロしているから。音楽とイメージが完璧にシンクロしているから、視聴者が解釈する余地を一切与えない。』

コマーシャルの流れを見ても、何か発見があり、『これは自分独自の発見だ』と思える部分が存在しない。音楽では、そういった部分があって良いと思う。僕たちは、アルバムで世界を創り上げている。僕たちの音楽を聴けば、リスナーはその世界へ行くことができる。だが、その世界がどこで何であるかというのは、リスナー個人の解釈に任せておきたい。僕たちは飛行機を作るが、その飛行機の目的地は明確にしていない」

ーータイトルはもちろん、本編最後に収録の「Thank You」など、この作品でロイクソップの今後がどうなるのか?気になるのですが、実際今後のロイクソップの活動はどうなっていくのでしょうか?

ロイクソップ「ソフトメタルバンドになる。酷いタトゥーをいっぱい入れて、偽ギャングスターになる。(笑)」

ーー現在、さまざまなシーンでエレクトロ系のアーティストやDJが活躍していますが、親和性を感じる(もしくは注目している)アーティストはいますか? 

ロイクソップ「その質問に対して言いたいことは、とにかく良い音楽を探し続けることが大切だということ。現在は、今まで以上にたくさんの音楽がこの世に出ている。リリースされている全ての音楽を聴こうとするなら、3000倍速にして聴かないと全て聴くことは不可能だと思う。3000倍速にしたらピッチも高くなるし、犬しか聴くことができない超音波になる。だから僕が言いたいのは、探し続けること。良い音楽は、待っているだけじゃ見つからない。自分で探さないとダメだ」

ーー最後に。日本のファンに向けてメッセージをください。

ロイクソップ「2015年に日本に行く予定なので、日本のみんなに再び会えるのが楽しみだよ。日本のファンのみんなは、僕たちの音楽に理解を示してくれる人が多いから、そのことには本当に感謝しているよ」

 

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RÖYKSOPP
『The Inevitable End』
11月8日発売
2CD

 

国内盤特典: ボーナストラック追加収録 / 解説書付きbeatkart:
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Tower Records: http://bit.ly/1BtKzjw
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iTunes: http://bit.ly/1xtFoT0

ROYKSOPP
ノルウェー・ベルゲンを拠点に活動している、トルビョルン・ブラントンとスヴェイン・ベルゲからなるエレクトロ・デュオ。1999年結成、2001年にデビュー盤『メロディーA.M.』を発表。収録曲である、キングス・オブ・コンビニエンスのアーランド・オイエをヴォーカルに迎えた「Poor Leno」や「Eple」などがヒットし、アルバムはミリオン・セールスを記録する。03年にはフジロックフェスティバルで初来日を果たす。05年になると、2ndアルバム『ジ・アンダースタンディング』をリリース。翌年、初の来日単独公演を敢行。09年には3rd『ジュニア』を、翌年にはインスト曲ばかりを収録した4th『シニア』を発表し、どちらも好セールスを記録。これまでのアルバムセールスは世界で250万枚を突破。今年5月にリリースされたロビンとのコラボ作『Do It Again』は、全米チャートにおいてノルウェー出身アーティストの史上最高位にランクインするなど、北欧を代表する存在である。

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