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text by Junnosuke Amai
photo by Akihito Igarashi(TRON)

Animal Collective『Painting With』Interview

――ところで、このあいだポートランドのラジオ局の企画で、「90年代」をテーマにしたミックステープを公開されてましたね。(※https://www.mixcloud.com/GalaxyMyDear/galaxy-my-dear-56-july-19-2016-w-animal-collective-guest-mix/)。あれを聴きながら、やっぱあの時代の音楽って特別だな、となんだか感慨深くなってしまったんですけど……。

―デイヴ「まさにドンピシャの世代だからね(笑)」

――あの時代の音楽にはあって、今の時代の音楽には失われてしまったものとは?ともしも聞かれたらとしたら、何と答えますか?

―デイヴ「まあ、全部の音楽にあてはまるわけじゃないけど、あのミックステープのテーマの一つとして、90年代特有の、いわゆるローファイで、アマチュアな感じの音楽を取り上げようというのがあって。自分達もまさにそういう音楽に影響を受けたクチだから。レコーダーさえあれば、それがどんなに粗末だろうが(笑)、音楽を作ってしまうっていう。自分達が音楽作りに目覚めたきっかけが、まさにそういうところにインスピレーションを受けてだったから」


―ノア「あと、多感な時期に聴いた音楽だからこそ思い入れが強いってこともあるんじゃないかな。たぶん、今新人と言われているバンドにとっては、2000年代の音楽が一番思い入れがあって輝いてるんだろうし。やっぱり、時代によって音楽のテイストが違うよね。90年代の音楽は、僕達にとっては一番甘くて馴染み深い味なんだ(笑)」

―ブライアン「まあ、ノアが今言った通りだよね。90年代の音楽が必ずしもベストとは限らないけど、ちょうどいま、ここ最近のインディ・バンドによる紹介とかもあって、90年代の音楽が再び注目されてたりとかしてて……ただ、自分達の聴いてた90年代の音楽とは若干違うかなって感じがしてて。自分達が聴いてたのは、90年代でももっと歪んだマイナーな感じの音楽をやっているインディ・バンドがむしろ中心で……この番組を企画したラジオのプロデューサーは友達でもあるんだけど、彼もどちらかと言うと同じ90年代でもわりと変な音楽のほうが好きで、そっちにもっとスポットライトをあてようと思ったんだよね。あまりにも変わりすぎてて、時代に置き去りにされてしまった音楽を、再び発掘しようというね」



photo Akihito Igarashi(TRON)
interview & text Junnosuke Amai
direction&edit Ryoko Kuwahara


Animal Collective / Painting With (jake-sya)(HSE-1052) resize

Animal Collective
『Painting With』
発売中
(Domino / Hostess)
https://www.amazon.co.jp/Painting-Animal-Collective/dp/B018RLBA8E
https://itunes.apple.com/us/album/painting-with/id1058904300


Animal Collective
1990年代半ば、ボルチモアの友人同士で自然発生的に結成。2000年、デビュー・アルバムとなる『スピリット・ゼイアー・ゴーン、スピリット・ゼイヴ・ヴァニッシュド』を自主レーベル<Animal>からリリース。アルバム毎に参加メンバーが異なる不定形コレクティヴとして数枚のアルバムを発表、アンダーグラウンド・シーンで注目を浴びる。2004年<FatCat>より『サング・トンズ』(04年)、続いて『フィールズ』(05年)を発表すると世界的な絶賛を浴びる。その後UK人気レーベル<Domino>と世界契約を結び、07年に『ストロベリー・ジャム』、09年に『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』、12年に『センティピード・ヘルツ』をリリース。どの作品もその年を代表する傑作として高い評価を受け、数々の年間ベストに選出される。16年、4年振りとなる最新作『ペインティング・ウィズ』を発表、8月にはHOSTESS CLUB ALL-NIGHTERにヘッドライナーとして出演を果たした。
http://myanimalhome.net/

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