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2014年2月公開 映画『17歳』フランソワ・オゾン監督インタビュー

ジェラルディン・ペラスを母親役にキャスティングした理由は何ですか?

オゾン「マリーヌの出演が先に決まっていたから、肉体的に母親として通用する女優を探した。つまり、自然に母性のオーラが出ているような女性が理想だった。ジェラルディンは、『ふたりの5つの分かれ路』に脇役で出演してくれたので、面識はあった。今回の撮影前にいろいろ試してみて、とてもうまくいったよ。彼女はこの母親に感銘を受けていたし、自分自身の経験をストーリーに重ね合わせていた。この作品に深くかかわってくれたし、いろいろな面でマリーヌを保護してくれ、そういう姿は美しく見えたよ。2人は強い絆で結ばれ、ライバル関係などはまったくなかった」

ーイザベルとジョルジュの妻の間にもライバル関係はありませんね。

オゾン「そうだね。ジョルジュの妻はイザベルと意気投合する。シャーロット・ランプリングも、ジェラルディンも女優として、自分自身の姿を投影してマリーヌを見ているね。2人ともかなり若い時に女優としての道に進み、体を露出するシーンを多く経験してきた。作品の中のほかの女優たちには、マリーヌに対して善意ある気持ちを感じてほしかった。僕にとって、ほかの女優たちが、何らかの形でマリーヌと相通じるものを持っていることが重要だった。マリーヌをキャスティングしたあと、シャーロットを選んだのは自然なことだったよ。彼女は、不道徳で性的に特徴づけられた役を多く演じてきたからね。彼女は、映画の中で、よく性的ファンタジーを具現化された人物として受け止められているから、善悪の判断を押しつけることなくイザベルのことを理解する女性の役として、理想的な選択と言える。彼女がイザベルをホテルの一室に連れていく時、シャーロットにはまだ以前と同じような不道徳で危険なオーラが強く感じ取れる」

 ーそのシーンですが、現実のものですか? それともイザベルが想像している世界ですか?

オゾン「最後のショットは、イザベルが想像しているだけかもしれないが、現実か空想かは重要ではなく、そのどちらであってもそのシーンには癒しがある。イザベルが母親と交わすことのできなかった、真実味を帯びたコミュニケーションがそこにはある。それにより、イザベルは、自分の行動の責任に思いをはせることができるんだ」

 ー精神科医のセルジュ・ヘフェズについて教えてください。

オゾン「僕が脚本を書いている時に、リサーチの一環として彼に会った。彼に脚本を読んでもらい、ポイントになる箇所について意見を聞いた。特に、イザベルが、売春で稼いだお金で精神科医に支払いをしようとすることについて、どう思うか聞いてみた。配役については、数人の有名な俳優の名前が念頭にあったが、セルジュ自身が魅力的で知的なので、彼に出演を打診したら、受諾してくれたよ。彼の実際のオフィスから着想を得て、映画の中のオフィスを考えたし、彼は僕たちに彼のオフィスのイスを貸してくれたんだ! 彼は撮影前のスクリーンテストでとても見映えが良かったが、少し微笑み過ぎると感じた。だが彼は、現実にティーンエイジャーにカウンセリングをする場合、そういう風にして接すると言っていたよ。彼らはたいてい、自分の意思に反して、親の命令でカウンセリングを受けさせられるから、カウンセリングの始めに意気投合することが大事らしい。親は精神科医にそう望んでない場合でも、自分は彼らの味方ということを態度で示すんだ。僕はイザベルが母親と精神科医に会うシーンにその考えを取り入れ、精神科医がイザベルの味方であることを描写した」

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