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2014年2月公開 映画『17歳』フランソワ・オゾン監督インタビュー

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『まぼろし』『8人の女たち』『スイミング・プール』 などで知られるフランソワ・オゾン監督の最新作『17歳』が2014年2月に公開される。タイトル通り、17歳の女性の感覚、その時期特有の肉体が変わっていく経験、自我の芽生えを美しくもリアルに描かれた作品だ。フランソワ・オゾン監督は語る「僕にとっては、思春期は人間としての複雑な移行期だ。それは痛々しいものだし、僕は何ら郷愁を感じない」とーー。

ー『17歳』の制作のきっかけは何ですか?

オゾン「『危険なプロット』の監督として、エルンスト・ウンハウアーとバスティアン・ウゲットと仕事をし、充実した時を過ごせたから、若手俳優や女優ともう一度仕事をしたいと思った。僕の初期の短編や長編映画では、思春期のテーマを掘り下げたが、『まぼろし』以降、主に年齢層が上の俳優と働いてきた。だから、『17歳』は、現代の若者たちを取り上げた映画を撮りたいという希望から始まった。前作で少年たちとの撮影を終えたばかりだったから、若い女性が中心の映画を撮りたいと思ったんだ」

 ーイザベルはただの若い女性ではなく、売春をしています。

オゾン「この作品では、17歳の感覚がどういったものなのか、そして肉体が変わっていく経験をテーマとして取り上げた。映画では思春期がよく理想化されて描かれる。僕にとっては、思春期は人間としての複雑な移行期だ。それは痛々しいものだし、僕は何ら郷愁を感じない。僕は思春期を単に感情が揺れ動く時期としてだけ描くことから一歩踏み出し、思春期とホルモンの関係を掘り下げたかった。僕たちの体は強烈な生理学的変化を経験していくが、僕たち自身はそれを敏感に感じ取れていない。だから、何かを感じるために体をあえて傷つけたり、肉体的な限界を試したりする。売春というテーマにより、それをクローズアップして取り上げられるし、思春期に持ち上がる自我や性の問題を綿密に描くことができる。そこでは、性はまだ感情と密接な関係で結ばれていないんだ」

イザベルの家庭はお金に不自由していません。つまり、彼女はお金のために売春をしているわけではないのですね。

 

オゾン「イザベルは生きるためや学費を払うために客を取っているわけではない。彼女は何かに突き動かされて、そうしている。彼女は、秘密なことや禁じられたことをしたいから、薬に走っていたかもしれないし、拒食症になっていたかもしれない。思春期という時期は何でもできる年齢だし、実りも多い。だからこそ思春期は刺激的だし、それがランボーの詩『物語』で謳われている精神だ。世界に対して心を開き、道徳には縛られない。イザベルは人生という旅路に足を踏みだし、実体験を積み始めたわけで、性的に倒錯しているから売春に手を染めているわけではない」

ーイザベルは、特に彼女が処女を失う時に顕著にみられるように、快楽を追い求めているというよりも、自分の希薄な感情と向き合っている。

オゾン「マリナ・ドゥ・ヴァン(註1)と話し合っている時に、イザベルが大人になるその大事な局面で、キャラクターの二面性を見せるという着想を得た。少年も少女も、性というものを発見した時、超現実的な感覚を経験する。その場にいる感覚がすると同時に、いないような感覚もする。自分が主役であるが、客観的に見ている部分もある。そのシーンには、イザベルのその後の人生の二重性を観客に予感させる意味を持たせた」

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