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photo edit by Yukiko Shiba

Can’t live without Books :KOMIYAMA TOKYO(Jinbocho)/書店特集:小宮山慶太・小宮山書店 (東京・神保町)インタビュー



デジタル化によって多くの産業が変化を遂げる中、既存のシステムを覆し、自由で革新的なやり方で人々のニーズに応え、支持を得るインディペンデント系の企業/ショップが多く生まれている。本特集ではその中でも、時代を見つつも飲み込まれない確かな審美眼を持ち、スピードやしなやかさでもって、“消える”と揶揄された書物を多くの人々に普及し続けている書店に注目。その第4弾は、ファッション、写真集、アート関係の書籍を中心に取り扱う小宮山書店の3代目小宮山慶太が登場。従来の古書店の概念を壊し、大胆な改革によって、本屋でもギャラリーでもない『KOMIYAMA TOKYO』という新たなジャンルのショップ確立を目指す小宮山。そんな彼に書店の成り立ちと改革の流れ、海外での活動から次世代への思いについてまでを尋ねた。

――小宮山さんは、現在三代目として書店を経営されているということですが、まず書店の成り立ちについて教えてください。

小宮山慶太「1939年から創業して、祖父や父の代では歴史や文学などの方面の書籍に強い本屋でした。私の代になって、自分の友達はそういう本を買う世代ではないから、何か変えたいなと思っていました。そこで、自分自身がアートを好きで、また高校、大学と美術を勉強していたこともあって、美術系に少しずつ移行することにしたんです。三島由紀夫の『薔薇刑』の写真のエネルギッシュさに衝撃を受けたことをきっかけに、最初は三島由紀夫さんの作品を仕入れようとしました。あの時代のものって、情熱が半端ないので見ていて面白いんです。でも、当時から古書の交換会の間でも三島さんの作品はすごく人気だったので、財力がない若手は良いものは買えなかったんですね。そこで、三島さんの映画ポスターや雑誌、原稿など、彼の周辺のものから集め始めました。すると、それが逆に斬新に見られて、よく売れたんですね。今ではその集め方を続けながらも、同時に三島さんの高価な作品も揃えるようにしています」

――その周辺のものを集めるというやり方は、他ジャンルの選書の仕方にも影響していますか?

小宮山慶太「そうですね。あと、選書の際はアーティスト間の繋がりや時代背景にも注目しています。時代感覚で一人一人のアーティストを点として考えて、それをたくさん増やすと、少しずつ時代がズレて自然に球体になり、一つのカルチャーになるんです。例えば、寺山修司ときたら天井桟敷、そのあとは宇野亜喜良という感じでどんどん広がって行くんですね」

――そのような選書の仕方によって、お客さんがアーティストやカルチャーの背景についてより興味を持てたり、また学べる機会を得られますね。この書店は4階までフロアがありますが、配置や並べ方などで意識していることはありますか?

小宮山慶太「いろんな世界観を作りたくて、ディスプレイの魅せ方を工夫するなどして、それぞれの階に濃い色を出すようにしています。また、階が上がるにつれての流れも意識していますね。一階は手に取りやすいファッション関連の書籍。二階は連動するように写真集。ファッションと写真ってすごく近いから、なるべく分けたくないと思ったんです。そして、3階は三島由紀夫関連のもの。4階はギャラリーとして販売を行なっています。このような配置にすることで、若い世代が健全にアートと関わることができるんじゃないかと思います。例えば、ファッションが大好きで昔の雑誌のバックナンバーを買っていた子が、次は有名な写真集を買って行って最終的に高価なアートを買うという感じで」








――取り扱うジャンルの一つに『エロティックアート』があるのが気になりました。

小宮山慶太「実は、今から10年ほど前から海外フェアに出るようになったんです。最初は近場の韓国から初めて、徐々にヨーロッパやニューヨーク、LAなどにも範囲を広げて行きました。そこで、海外ではエロティックアートが人気を得ていることを知り、面白いなと思ったんです。その時期ちょうどインターネットが普及し始めて書店により独自性を持たせなければならない状況になっていて、良い機会だと思い、ファッショナブルなエロティックフォトやアートをうちの書店でも取り扱うことにしました。実際すごくおしゃれで格好いいんですよ。特に海外のお客さんや若い女性に人気ですね」

――国によって、エロティックアートにも特色がありますよね。


小宮山慶太「そうですね。それこそ、Hajime Kinokoという緊縛のパフォーマンスをする日本人アーティストがいて、彼はうちのプライマリー・アーティストでもあるんですが、緊縛は日本が本場ということで海外からの人気がすごいです」


――プライマリー・アーティストを設けていらっしゃることに驚きました。


小宮山慶太「ええ。うちの書店には7人のプライマリー・アーティストがいます。というのも、アートフェアにも出るようになって、最初はセカンダリーだけを取り扱っていたのですが、徐々に若い人たちと一緒にものを作りたいなという気持ちが湧いて来て、プライマリー・アーティストというスタイルを取ることにしたんです。彼らをサポートしたり、うちがされたりという相互関係を築いています」





――なるほど。そもそもなぜ海外フェアに参加しようと思われたのですか?

小宮山慶太「より多くの人にうちの書店を知ってもらうためですね。実際、海外フェアに参加してから、海外からのお客さんがかなり増えてきました。やはりAmazonとの価格競争に付き合うのではなくて、なんとかうちに直接足を運んでもらえるような独自の売り方を見つけなくてはならないと思うんです。そのためにも、うちの店自体を本屋さんでもなくギャラリーでもない、『KOMIYAMA TOKYO』っていうジャンルのショップにして行きたいという野望があります」

――『KOMIYAMA TOKYO』の確立を目指した取り組みのひとつとして“KOMIYAMA TOKYO ART SHOW” という個展も開催されているそうですね。

小宮山慶太「アーティストとコラボするタイプの個展と、『カリスマ』『かっこいい男たち』など毎回一つのテーマを掲げて書店から作品を集めて展示・販売するスタイルの個展を開いています。後者の方は、テーマで作品を集めると、ジャンルや作家を超えて普段交わらないような作品も一緒に並べて販売できるので面白いなと思ったんです。実は、このタイプの個展は若い世代もターゲットにしています。というのも、今って若くてもお金を持っている人はたくさんいるけど、うまく使えてない人も多い気がするんですよね。そういう人にとって、作家名は響かなくても、『カリスマ』だったら響くかもしれない。そういう可能性を広げる試みです」

――活動の幅を広げ、新しいことに次々と挑戦されている小宮山さんですが、神保町の同業者のみなさんからその改革に対して何かざわめきや反発はありましたか?

小宮山慶太「いや、特になかったですね。ただ『若くて元気がいいね』という感じでした。それこそ、うちの初代は一誠堂書店でお世話になっていたし、わりとこの業界は仲良いんですよ。結局、万人受けするものを作るのは不可能だし、何をしたって文句を言う人は言うし、分かってくれる人は分かってくれる。だから、人よりも自分がどうしたいかを常に考えるように努力していますね。あと、同じような考えを持っていて、波長が合う人とビジネスができればいいなと思っています」

――神保町のみなさんからも小宮山さんの精力的な活動はお聞きしていて、綿密にブランディングや戦略を練っていらっしゃるのか気になっていたのですが、お話をうかがっていると情熱で動かれているんだなと。

小宮山慶太「『好き』と『勢い』でやっている感じですね。いちいち細かいことは考えていられないし、ダメだったら現状に戻ればいいだけですから。ブランディングなんてやっても、全く違う要素が入ってきたら全部やり直しになっちゃうと思うんです。それよりも先に、大きな幹を考えておいてたほうが予想外のことが起きても対処できると思います」



――大きな幹、つまり小宮山さんの『好き』でこのお店の雰囲気は成り立っているんですね。

小宮山慶太「その部分は大きいでしょうね。やはり、小宮山カラーは残していきたいし、それを無くしてまで何かをつくる必要はないと思うんです。第一、楽しくないと伸びないと思いますし。うちっぽさを大切にしつつも、それをお客さんがまた楽しんでくれたら最高ですね」

――同時に時代の風も読まれているようにも感じます。

小宮山慶太「あまり、それは気にしたことはなかったんですけど、よく人から言われますね。多分、自分自身、好奇心旺盛なんだと思います。本屋だからといって、本だけでなく、いろんなものに興味を持たないと、何が今流行っているかなんてわからないですよね」

――最後に、これから何か仕掛けていることや計画はありますか?

小宮山慶太「もうある程度、仕掛けの種は蒔いたところで、これから熟成に走らせようと思っているところです。また何年か経てば、何か面白いやりたいことが出てくるだろうと思ってやっていますので楽しみにしておいてください」



小宮山書店

〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-7
月〜土 11:00-18:30 日曜・祝日 11:00-17:30
HP:https://www.book-komiyama.co.jp
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