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text by Aisho Nakajima

BLACK LIVES MATTERについて知る:音楽編 – Aisho Nakajima




世界で巻き起こっている「BLACK LIVES MATTER」のムーヴメントに関して、日本語ではまだ適切な訳が見つかっていない。黒人の命は大切だ、黒人の命も大切だ、黒人の命の問題だーー様々な訳があり、自分の感覚に際した訳をそれぞれが適用しているのが現状(2020年6月9日段階)。それは日本語で定義できないからだという指摘もあるように、日本の特に地上波においてはBLMはどこか遠い他人事のような報じられ方をしているように感じる。一方、6月6日には東京、6月7日には大阪でBLMのデモも行われるなど、当事者はもちろんのこと、人種が違っていても自分のことのようにこの問題を捉え、心を痛め、アクションを起こす人々もいる。
その差はどこから生まれるのだろう。自分が知らないことに感情を抱くのは難しい。もしなにかの問題に声をあげることや人を他人事のように感じたり、うるさいと嫌悪感を抱く傾向があるのならば、まずは「知る」ことからはじめてはどうだろうか。世界が直面しているこの問題は、決して他人事ではない。日本で生活している中でも差別は根深く存在している。しかし、それらを「知って」いないと気づけない場合も、抵抗できない場合もある。知ること、学ぶことは力を身に付けることなのだ。
その第一章として、ブラックミュージックにルーツを持つシンガー、Aisho NakajimaがBLMについて触れることができる5曲をリコメンド。



BLACK LIVES MATTER(ブラック・ライヴズ・マター)
このハッシュタグが生まれたのは約7年前。2013年2月、フロリダ州でTrayvon Martin(トレイボン・マーティン)という丸腰の黒人の少年がヒスパニック系の自警団George Zimmerman(ジョージ・ジマーマン)に射殺されるというトレイボン・マーティン射殺事件が起こり(後の無罪判決に世論が激化)、翌2014年7月にはNYで黒人のEric Garner(エリック・ガーナー)が白人警察官Daniel Pantaleo(ダニエル・パンタレオ)による絞め技で窒息死(絞め技はNY市警の方針で禁じられている。Danielは刑事訴訟を免れたが、後に解雇。他にも市民への不当な暴行を働いていた)、8月にはミズーリ州ファーガソンで丸腰のMichel Brown(マイケル・ブラウン)が白人警察官Darren Wilson(ダレン・ウィルソン)に12発を撃ち込まれ射殺された(大陪審は不起訴とした)。その射殺事件の翌日にファーガソンで行われたデモ行進と関連した暴動でBLMは世界的に認知。2015年にはBLMは2016年アメリカ合衆国大統領選挙を巻き込んだ運動に発展。2014年から2016年にかけて、運動家であるアリシア・ガーザ、パトリッセ・カラーズ、オーパル・トメティの3名はハッシュタグのさらなる拡散などを求め、全米各地に30箇所以上のネットワークを設立し、全国的なムーブメントに拡大させた。
呼応するようにディアンジェロは2014年に発表した『BLACK MESSIA』のライヴにおいて、Trayvon Martinへの追悼を捧げるためフーディで顔を隠してのパフォーマンスを披露。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの伝記映画『Selma』の主題歌でもある、John Legend(ジョン・レジェンド)とCommonによる“Glory”は鮮烈だ。 “That’s why we walk through Ferguson with our hands up.”(だから私達はファーガソンで両手を挙げたのです)と歌い、共に戦おうと呼びかけている。2015年に起きたメリーランド州ボルティモアでのFreddie Gray(フレディ・グレイ)への警官による暴行死(関わった6名の警官は不起訴)に、プリンスは5月9日に新曲“Baltimore”を公開、Freddie Grayの追悼コンサートを行い、収益の一部をボルティモアの若者たちの支援のために寄付。第57回グラミー賞でも最優秀アルバム賞のプレゼンターとして「Albums still matter. Like Books and Black lives, albums still matter.(アルバムは今でも大切です。本や黒人の命のように)」と語った。同授賞式でPharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)は、パフォーマンス中に無抵抗を意味するHands Upのジェスチャーを行なった。2015年に発表したKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)のアルバム『To Pimp A Butterfly』に収録された“Alright”はBLMのテーマソングの一つとされている。 “we hate po-po wanna kill us dead in the street fo sho.”(私たちを殺したがってる警察が嫌いだ)というリリックはホワイトハウスの前で鳴り響いた。
上記以外にも多くの同様の事件があり、それらを土台に2020年5月25日ミネソタ州ミネアポリスの警察官Derek Chauvin(デレク・ショービン)による暴力行為により、黒人男性George Floyd(ジョージ・フロイド)が窒息死したこと、その場にいたほか3名の警察官もその行為を黙認、一連の残虐行為を収めた動画。また、同5月にジョージア州にてジョギング中のAhmaud Arbery(アマード・アーベリー)が白人親子Gregory McMichael(グレゴリー・マクマイケル)とTravis McMichael(トラヴィス・マクマイケル)によって射殺されたことなどが連なり、現在の世界を巻き込んでのBLMの波になっており、ブラックミュージックに限らず、テイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュら多くの著名人が声をあげている。トランプ大統領はデモへの武力での鎮圧を要請し、差別や暴力の助長としてその発言や姿勢への批判も大きくなっている。
17世紀にアフリカ大陸より奴隷として強制連行された人々に端を発し、約250年にわたって続いた奴隷制。1865年のアメリカ合衆国憲法修正第13条により廃止されたが、アメリカ南部の州では、有色人種が一般公共施設の利用を禁止・制限する法律、ジム・クロウ法が1964年まで施行されていた。黒人の人権を認めて差別を撤廃する公民権法が制定されたのは1964年とまだ月日が浅い。


補足:広がりを見せるBLMへのカウンターとしてAllLives Matter(オール・ライヴズ・マター)という運動も勃興した。しかし、これはアメリカにおける黒人の現状から論点をずらすために使用されるとして批判の声もある。警官の人権を主張するBlue Lives Matter(ブルー・ライヴズ・マター)も。


*これらはNeoL編集部によるまとめであり、事実と異なる場合や加筆が必要な場合は随時変更します。


BLACK LIVES MATTERについて知る:音楽編 – Aisho Nakajima





Beyoncé – Freedom ft. Kendrick Lamar

一曲目は私達が大好きなアルバム『LEMONADE』の“Freedom”を選曲しました。
この曲は人種差別、人種平等、黒人女性であって起きる問題、自由のために戦うエンパワーメントな曲です。
thunder(雷)=正義 storm(嵐) =人種抑圧 painting white flags blue(白い旗を青に塗る)=青い旗というのは自由と平等を示す旗の色 など歌詞にもたくさんの意味がこもっています。

歌詞和訳 https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/sodaseki/entry-12446064569.html







Common, John Legend – Glory

二曲目は『Selma』という黒人差別、国民権、デモ、白人特権についての映画の主題歌でもある“Glory(栄光) ”という曲です。
僕は2年前、映画を知る前にEvvie McKinneyという女性がカバーをしている動画を初めて見て、物凄く感動して泣きました。
僕たち日本人には絶対に分からない黒人差別の痛み、苦しみ、悔しさ、そして力強さがものすごく伝ります。
オリジナルももちろんEvvieの動画もぜひ見てほしいです。




Evvie MicKinney – Glory


歌詞和訳 https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/ellie0427/entry-11995430505.html







Santan Dave – Black
三曲目はUKアーティストSantan Daveの“Black”という曲です。
今年のBRITs AwardsでDaveのライブの映像をYouTubeで初めて見てこの曲を知りました。歌詞がすごく深くて心が痛くなりました。
白人至上主義の中で黒人として生きる人生、経験、苦しみ、ブラックコミュニティーへの愛、そして黒人としてのプライドを全てラップにして表現しています。LIVE映像では苦しみ、プライドが深く伝わります。





和訳/ 解読 
https://note.com/nakam_24/n/n2eddf85cd900






Beyoncé – Formation

4曲目はまたアルバム『LEMONADE』から選曲しました。“Formation”です。
BLMとフェミニズム、黒人として自己愛をステートメントする曲です。
これを聴くと毎回体が勝手に踊っちゃいます。
MVでは、警察の残虐行為問題に向かってパトカーを池で沈めてるシーンもあり、最後は黒人の男の子が警察官達の前でダンスをし、途中で止まり両手を上げ警察官も皆両手を上げ、そこで平和を表しているシーンもあります。

和訳/ 解読
https://sublyrics.info/formation-beyonce/








Nina Simone – Mississippi Goddam

最後の曲はレジェンドNina Simoneが1964年に初めて公民権についての歌をリリースをした“Mississippi Goddam”という曲です。
レイシズム、平等への訴え、プロテストソングを出したNinaは黒人女性4人と1時間以内にこの曲の作詞をしたそうです。
これはMedgar Eversという公民権運動家がミシシッピ州で殺害され、アラバマで4人の黒人子供達が教会で爆撃され、それにレスポンスする曲。

和訳
https://www.songaah.com/ja/lyrics/mississippi-goddam.html






BLM支援のための寄付
Black Lives Matter
Black Visions Collective
The Okra Project


被害者遺族への寄付

Official George Floyd Memorial Fund
Justice For Breonna Taylor
In Memory Of Tony McDade
I Run With Maud [Ahmaud Marquez Arbery]
Justice For Regis [Korchinski-Paquet]
Justice For David McAtee
R.I.P Belly Mujinga

署名
Justice For Breonna Taylor
• #JusticeForFloyd
Justice For Belly Mujinga
Defund The Minneapolis Police Department
National Action Against Police Brutality


Aisho Nakajima
22歳、東京在住のシンガー。2020年4月に1stシングル”Over This”を、5月に2ndシングル“Giddy Up”をリリース。シドニーでの生活を経て、そこで培ったメイクアップ技術を駆使し、YouTubeでパフォーマンスやメイク動画なども配信。

https://www.instagram.com/aisho.nakajima/
https://www.youtube.com/channel/UCpDq1DDAO9vSf2vbD0aAVJA


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