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Sister×P・グスマン監督最新作にしてチリ弾圧の歴史を描いた3部作最終章『夢のアンデス』コラボレーショングッズ発売



南米ドキュメンタリーの巨匠パトリシオ・グスマン監督作品『光のノスタルジア』『真珠のボタン』に続く、チリ弾圧の歴史を描いた3部作最終章。『夢のアンデス』が公開。




絶望をこえ、過去と未来を見据え、どう生きるべきか、私たちの「今」を問う。世界最長の山脈、アンデス。チリの国境に沿って大きな壁のごとくそびえる不変の山々は、その足元で繰り広げられる生と死を、ただ静かに見つめ続けている。

1973年9月11日、チリ・軍事クーデター。

世界で初めて選挙によって選出されたサルバドール・アジェンデの社会主義政権を、米国CIAの支援のもと、アウグスト・ピノチェトの指揮する軍部が武力で覆した。ピノチェト政権は左派をねこそぎ投獄し、3000人を超える市民が虐殺された。

監督のパトリシオ・グスマンはアジェンデ政権とその崩壊に関するドキュメンタリー『チリの闘い』撮影後、政治犯として連行されるも、釈放。フィルムを守るため、パリに亡命した。

「2度と祖国で暮らすことはない」と話すグスマンにとってアンデス山脈とは、永遠に失われた輝かしいチリ=グスマンの夢の象徴である。
いまなお続く、ピノチェトの遺産―新自由主義の実験の場となったクーデター後のチリクーデターがもたらしたものはそれだけではない。ピノチェトは世界で初めて、新自由主義に基づく経済の自由化を推し進めた。

米経済学者のミルトン・フリードマンを中心に形成されたシカゴ学派の学者たち――いわゆる「シカゴボーイズ」が招かれ、経済政策の顧問団を形成した。新自由主義は、芸術、文化、健康、教育すべてにおいて利益を追求すべきという利益最優先の価値観を人々にもたらした。

結果、チリ社会は国民の間に激しい格差を生み、主要産業である銅の採掘は今やほとんどを多国籍企業が担っている。ピノチェト政権は国の財産を売り渡したのだ。



『光のノスタルジア』『真珠のボタン』に続き、チリの歴史的記憶、政治的トラウマ、地理の関係を探る三部作最終章。

インタビューに登場するのは、アンデスの原材料を使って作品を制作する彫刻家のビセンテ・ガハルドとフランシスコ・ガシトゥア。

歴史や小説の作家であるホルヘ・バラディッドは、現代のチリの社会・経済構造におけるピノチェトのプロジェクトの継続について語り、
音楽家のハビエラ・パラは、子供の頃に目撃した暴力を思い出す。
1980年代以降、政治的抵抗や国家による暴力行為を記録するために活動してきた映像作家であり、アーキビストでもあるパブロ・サラスはこう語る。
「記録し、どんな時代だったのか次の世代に伝えたい。二度と過ちを繰り返さないために」


パトリシオ・グスマン

パトリシオ・グスマンは1941年にチリのサンティアゴで生まれた。マドリードの国立映画学校で学び、ドキュメンタリー映画に自らの人生を捧げてきた。彼の映画は多くの映画祭で上映され、国際的にも高い評価を得ている。1972年から79年にかけては、サルバドール・アジェンデ政権とその崩壊に関する5時間の3部作『チリの闘い』を監督。この映画は彼の仕事の土台となり、北米の雑誌シネアストは“世界で最も優れた10本の政治映画の1本”にこの作品を挙げている。ピノチェトのクーデター後、グスマンは逮捕され、国立競技場に2週間監禁された。そこで彼は模擬処刑を受け、幾度となく脅迫された。1973年に彼はチリを離れ、キューバ、スペイン、フランスに移住したが、心は自分の祖国とその歴史を強く引きずったままだった。彼は1997年に発足したチリのドキュメンタリー国際映画祭(FIDOCS)の主催者でもある。『光のノスタルジア』(2010年カンヌ映画祭上映)、『真珠のボタン』(2015年ベルリン映画祭上映)からなる3部作の最終話となる。『The Cordillera of Dreams』は2019年カンヌ映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞(ルイユ・ドール賞)を受賞。


















Sister x 映画「夢のアンデス」 Tシャツ/Monochrome ¥4,950 (in tax)

悠然とチリの街並みを見下ろすアルプス山脈。映画冒頭の印象的なシーンをモノクロでプリント。

発売は映画公開に合わせて、10月9日(土)より神保町・岩波ホール、Sister店舗、オンラインショップにて。
https://sister-tokyo.com

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