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ルイ・ヴィトン パブリッシングよりフォトブック「ファッション・アイ」マーティン・パーによるユナイテッド・キングダム発売




2024年、ルイ・ヴィトン パブリッシングによる次の旅先は、マーティン・パーによるユナイテッド·キングダム。
「ファッション・アイ」コレクションに加わった最新版は、海辺から村々まで、この島国やそこに住む人々を複雑な目線で描写している。


「ENGLISH AND PROUD」と、毛深い首に刻まれた愛国心溢れるタトゥー。予期せぬ感覚をもたらすこのクローズアップの写真は、マーティン・パーの自国に対する感情を簡潔に表現しており、1998年から現在までに、イギリスのいたる所での現実の暮らしや人々を撮影した未発表のものも含む約100点もの写真が労働者階級や、時として貴族たちの日常生活を映し出している。


ピクニックや結婚式、海水浴──フラッシュとノンフィルターで撮影され浮き彫りになる、イングランドやウェールズ、スコットランド、そして北アイルランドの人々のレクリエーションやマニアックな活動。フルスクリーン画像やランドスケープフォーマットで、ありふれたワンシーンから大きなイベントまでさまざまな日常が埋め尽くされているほか、この記録写真集では本書のために取材したグラストンベリー·フェスティバルと戴冠式の様子を対局的に掲載。疲れ果てた、あるいは喜びに湧く群衆が溢れ返る中、黒い羊や白い帽子、キャンディピンクのメレンゲが、ポップな配色の彩りにスパイスを添えている。


ページをめくるごとに繰り返し登場するのは2つのエンブレム。1つは、著名な写真家ロバート·フランクが憂鬱と星条旗を生々しく捉えた1958年刊の写真集『The Americans』を讃えたユニオンジャック。もう1つはイギリスでは季節を問わず必需品とされる傘。


また本作を通して漂うのは、サッチャー時代のX線写真とも言うべき初期のカルト·シリーズや映画『Bad Weather』(1982年)、『The Last Resort』(1982年-1985年)、『The Cost of Living』(1989年)、そして『Signs of the Times』(1992年)などでマーティン・パーが確立した皮肉っぽい雰囲気。そこから40年を経た現在の彼は、自身の父親が鳥を観察していたのと同じ辛抱強さで仲間たちを観察しています。世界中を駆け巡るこの写真家が、憎らしいほど愛してやまない「不実のアルビオン」の旅に永遠に駆り立てられていることは明らかだろう。












「ファッション・アイ」
編集主幹:パトリック・レミー
– フォトグラファーの経歴ならびにエッセイ、写真キャプションはフランス語、英語の2ヶ国語表示
– 118ページ、写真106点
– サイズ:23.5 × 30.5 cm

価格:6,820円(税込み)
Copyright ©Louis Vuitton Malletier


2024年4月5日よりルイ・ヴィトンストアおよび公式サイト https://www.louisvuitton.com にて販売

詳細は、https://www.louisvuitton.com をチェック。


マーティン・パー
1952年にロンドン郊外のサリー州エプソムで生まれたマーティン・パーは、祖父から写真の手ほどきを受けた後、1970年から1973年までマンチェスター・ポリテクニックで写真を学んだ。イギリス人写真家 トニー·レイ・ジョーンズに似通った彼の初期のスタイルは、ドキュメンタリーと嘲笑の融合。当初、ドメスティックなシーンではモノクロームで撮り、それ以外のすべてのシーンではすぐにカラーに移行して、現実とは不完全なものであるということを明るみにした。1994年に入会し、2013年から2017年まで会長を務めた写真家集団「マグナム·フォト」のメンバーであるパーは、あらゆるものが購入でき、もはや何事も意味をなさない、くびきを解かれて迷走する世界の兆候を捉え続けた。

ローマからベニドルム、ドバイからニューデリーにいたるまで、マスツーリズムの影響と超富裕層のデメリットは一目瞭然。スローガンのように鋭い彼の痛烈なシリーズは、被写体を疲弊させ、逸話的なうわべの下で良心の検証を求める。パーの著書は約100冊、全3巻のバイブル『The Photobook: A History』(Phaidon、2004年、2006年、2014年)を含め編集者として名を連ねたのは約30冊にもおよぶ。2004年のアルル国際写真フェスティバルのアーティスティック・ディレクターを務め、2010年のブライトン・フォト・ビエンナーレの監修にあたり、2016年にはロンドンのバービカン・センターで開催された《Strange and Familiar》展のキュレーターを務めた。パーの全作品の重要な一部である異質なオブジェの膨大なコレクションは、2009年にフランスのジュ·ド·ポームアートセンターで開催された《Planète Parr》展に登場。

2019年にはロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーで個展《Only Human》を開催。2006年のエーリッヒ・ザロモン賞や2017年4月の写真への顕著な貢献に贈られるソニーワールドフォトグラフィーアワード特別功労賞など、これまでに数々の賞を受賞。彼の写真は、テート美術館やポンピドゥー・センター、ニューヨークのMoMAのコレクションなど数多くの一流コレクションに所蔵されています。2017年秋には、マーティン・パー財団がブリストルに開設された。


ルイ・ヴィトン ファッション・アイ
1854年の創業以来、ルイ・ヴィトンは新天地への旅を最も大切な価値観としてきた。25年前と10年前に「シティ・ガイド」と「トラベルブック」がそれぞれ初めて発刊された後、2016年に誕生した「ファッション・アイ」は旅を異なる視点から捉えてきました。過去や現在のファッション・フォトグラファーたちが、ある都市や地方、国のポートレートを描写。

自由な裁量を与えられる気鋭の新人や写真界のレジェンドたち。モノクロやカラー、アーカイヴや新作であれ、そのイメージは1枚ごとに北と南のように互いに異なっているように見える。なぜなら写真家全員が、絶えず変化し続ける世界のパズルをそれぞれ独自のやり方で組み合せるため。カタログは今や40タイトル余りを数えるが、そのすべてが同じ丸みのある角を備え、Lords of Design のスタイリッシュなデザインに沿った淡い緑やサフラン、ザクロ色のキャンバスのカバーをまとっている。

内側や紙、装丁、レイアウトは、著者のスタイルや地理・風土のジャンルに合わせたもの。机上の旅へと誘う言葉が守るべきただ1つのルールは、決して型にはまることなく、いつか来るかもしれない旅立ちを予感させることだ。

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