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JOHN LAWRENCE SULLIVAN LADIES 2014SS 柳川荒士ロングインタビュー

ーなるほど。そもそもレディースにトライしようと思ったきっかけはなんだったんでしょう?

柳川「メンズの流れとして、カジュアルにシフトしていった時期だったから、そういうものに対して自分が何を出来るかと考えていて。メンズの表現方法の中で自分の特性をいかに出すかということも考えると同時に、とにかく思い切り自由にデザインをやりたいという想いもあった。それで、レディースならばもうちょっと振り切ったものができるんじゃないかと始めたけれど、自分の好きなものはそんなに変らなかったという(笑)」

ー(笑)。メンズの流れへのフラストレーションでこのレディースが生み出されたとしたら、女性にとっては大歓迎ですけどね。

柳川「(笑)。あとは、ショーという発表の仕方に一瞬疑問を持ったこともあって。ショーのための面白く刺激的な服の見せ方というのもあるけれど、いざ本質的なものは何なんだろうかと考え始めた時に、格好いいものはシンプルに見せた方がいいという風になってきたんです。その代わり一つ一つのアイテムのシルエットに世界観を表現することの方が面白いし、やりたいことになってきた。それでレディースでももっとテーラードを使ったり、メンズ的ディテールを足していったりすることができるんじゃないかなってアイデアも浮かんだんです」

ー実際、そうしたアイデアをすぐさま実践できるレディースを作るのは楽しかったんじゃないですか?

柳川「面白かったですね。自分たちは始めたばかりだからレディースの背景がないんです。工場背景とか、生地背景も含めて。それで従来のメンズの作り方をするとどうしても硬さが出てしまう。始める前はそれが自分の武器になるかなと思っていたんですが、逆に転んでしまう場合も多かった。でも経験を積む中で、いい意味で簡単にというか、自由に作っていい部分があるということも分かってきました。メンズは必ず方程式を組むように作っていきますが、レディースはもっと瞬間的な作り方もできるというのが決定的に違うと思います。一方でレディースでも、体の線を隠すような構築的なフォルムを作ることにもトライしているんですが、そういうときもテーラードのテクニックが活きてくるんですよ。それは面白いですね」

ー逆にレディースでの経験がメンズの方にフィードバックされることもありますか?

柳川「すごくあります。僕はメンズのコレクション後にレディースを作るんですが、そのシーズンのことをやりながら次の展開も考えているわけです。だからメンズが終わった直後に、こういう新しいシルエットを作りたいなと浮かんだアイデアをレディースで先に試すことができる。そして反応がいい場合はメンズの工場でやってみようということができるようになった。メンズでいきなりは難しいかなということも、レディースでは気持ち的にチャレンジしやすいというのはあります」

ーうん、メンズではユニフォーム的な考えが根底にあるけど、レディースは本当に自由で柔軟だから、最高の実験の場ですよね。

柳川「ちょっと変わったものになったとしても女性だと受け入れてくれる可能性があるんですよね。そこにちゃんとメッセージとコンセプトがあれば伝わりますし。どちらがいい悪いじゃなく、メンズは一回ちゃんと見てみて、形としてどういうものになるか試して、というちょっとプロダクト的な考えがありますから、レディースからのフィードバックもさらに男性向けに進化させる必要があるし、実際そうしています。そうした新しいことにチャレンジすると同時に、メンズでもレディースでも自分自身のスタイルを決めていかないといけないという想いはあって。レディースの方は定まってきています。けれどメンズの方は深く進化させる為に模索してる部分があるんですよ」

ー長年やっているメンズのほうが模索しているというのは意外ですね。

柳川「レディースはもうここしかないというポイントがあるんです。自由だから真正面が突けるというか。ドレスみたいなものも華やかなものも色々絵を描くけど、最終的には削ぎ落としてシャープな世界になっていくから、やっぱりやりたいのはここだとはっきりしてるんです。メンズは自分たちから発信するものを作りたいっていう気持ちが強いんだけど、様々な決まり事がある中でまだそれを探してるという感じです」

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