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text by Ryoko Kuwahara

TIFF : 『君は永遠にそいつらより若い』吉野竜平監督、佐久間由衣、奈緒

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芥川賞受賞作家、津村記久子のデビュー作で第21回太宰治賞を受賞した、津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』(2005年11月刊行、そ2009年5月文庫化)が実写映画化。
卒業間近の大学生である主人公が、なんとなく過ごす日常の中で、ふとした折に「暴力」「児童虐待」「ネグレクト」などの社会の闇と、それに伴うやり切れない「哀しみ」に直面する物語。大学やバイト先のぐだぐだした日常は軽快にユーモラスに描かれる一方、作者の確かな問題意識と倫理観で、それら社会の闇の部分ともきちんと対峙する作品として多くのファンを持つ。津村記久子作品では今回が初の映画化。監督・脚本は吉野竜平、主人公の大学生・堀貝佐世(ホリガイサヨ)役は佐久間由衣、痛ましい過去を持つ猪乃木楠子(イノギクスコ)役は奈緒。
真剣に生きていないと糾弾されながらも心中では様々なことを考え、向き合おうとしている堀貝。そんな堀貝のふとした言葉に、暗闇から光をのぞいたような感覚を覚える猪乃木。二人の出会いを中心に、意識的にみようとすれば見えてくる暴力的な世界との接点や、普通に生きているように見える人々それぞれが何かしらの悩みを抱えているということを気づく本作。正直に言えば、2005年の原作に基づいた言葉や表現は、今の時代には時に意味合いが変化していたり、不適切に思えることもある。しかしながら、この作品の根底にある、人間の持つ光やそこへの祈りにも似た強い信頼には救いを感じる人が多いように思う。
初の上映となった東京国際映画祭に、吉野竜平監督、佐久間由衣、奈緒が登壇。佐久間による堀貝というキャラクターの描写には、原作に惹かれた誰もが思い描く「堀貝さん」の真髄があった。


――まず皆様からひと言ずつご挨拶の言葉を頂戴できますでしょうか。吉野監督お願いいたします。


吉野監督「監督の吉野と申します。今日はご来場ありがとうございます。今回この『君は永遠にそいつらより若い』という映画を世界で初めて一般のお客さんに向けて公開することになりました。いろんな映画祭がオンラインという形になったりしたりしている中で、こうやってちゃんとスクリーンで上映してお客さんに足運んでいただいて観ていただくというのはすごく幸せなことだなと思っております。よろしくお願いします」


――続きまして佐久間由衣さんお願いいたします。


佐久間「皆さん、こんにちは。堀貝役を演じました佐久間由衣です。本日はお越しいただきありがとうございますさっき監督もおっしゃられていましたけど、公開はまだ先なんですけど今日が皆さんにお見せできる初めての場所になります。上映前ということでお話できることも限られるかと思うんですが、楽しんでもらえたらなと思います。よろしくお願いします」


――奈緒さんお願いいたします。


奈緒「今日は足をお運びいただきありがとうございます。猪乃木役の奈緒です。2020年はいろんなことがありましたが映画館に通いながらひと席空いた映画館で映画を観ながら1日でも早くまた満席の映画館にいたいなと思っていました。自分が出演したこの映画が、先ほど監督とも話してて本当に良い映画だなあというふうに私は思っています。なので皆さんにその映画をこうやって隣の人との距離が近い状態で観ていただけるということが、届くということが今日はとても幸せに感じています。今日1日楽しんで帰ってください。よろしくお願いします」


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――佐久間さんが演じられる女性が表面的には明るく振る舞っているんだけれどもとても複雑な内面も抱えているキャラクターです。もし佐久間さんが上映前のお客さんに自分の演じたキャラクターがこういう人なんですよと紹介するとしたらどのように紹介なさるでしょうか 。


佐久間「そうですね、すごく難しい(笑)。この映画の登場人物の皆さんに言えることだと思ったのは普段街を歩いていてすれ違っていてもおかしくない人たちと言うか、どこにでもいるような一見見た目的には普通に見えるような登場人物たちが、それぞれ自分には欠けていると思っているコンプレックスだったりとか、人に言うまでもないと思っているような自分の中で消化しきれてないような悶々とした思いがある。そのようなことって皆さんあると思うんですけど、そういったことを感じているような女の子というか。表面的にはちょっと調子がいい部分もあったりするんですけど、自分に対してすごく自信がないと言えば簡単なんですけど、何かがうまくいってないのは自分のせいなんじゃないかと常に自分に問いかけているような女の子だと思って演じました」


――ありがとうございます。奈緒さんもとても重要な役を演じてらっしゃいます。自分はどのようなキャラクターなんだろうという風に解釈されて臨まれたのか。そして佐久間さんとの共演のご感想も合わせてお伺いできますでしょうか。


奈緒「私の演じた猪乃木さんという役は過去に少し傷を抱えていまして、その大きな傷によって自分のことを肯定できないまま生きている人だと思って演じていました。でもこの映画の中でいろんな出会いがあって、人と人との出会いで本人の中で変わっていくこともあるかもしれないどうなんだろうっていうことをその時々で感じながら、心が動かされるままに演じられたらいいなと思って現場に行きました。 佐久間さんとの共演は初めてで、同じ歳なんですけど、一番最初に本読みだと思って行った日がありまして。監督と佐久間さんと三人で本読みをすると思っていたら、監督から『じゃあ今から30分くらい二人でお茶してきてください』と言われたんですよ。二人でお茶をしに行って仲良くなってきてくださいって言われて、二人でお茶をしに行って、色々そこで自分たちのことを話したりとか映画のことについてお話をしている時にすごく感覚が合う方だなと思いましたし、一緒にいる時に肩を張らずに笑える方だなと思って。それはすごく役に入る前に二人の実際の距離感というものが掴めて、佐久間さんと一緒で良かったなと、そういう風に思わせていただけました」


――やはり同じ質問を佐久間さんにもお伺いしたいのですけれど、映画の中はお二人で素敵な瞬間をたくさん過ごされているんですけど、奈緒さんとの共演の印象をお伺いできますでしょうか。


佐久間「元々素敵な女優さんだなと思って拝見させて頂いてたのもあって、共演させてもらえることが決まって純粋に嬉しかったですし、その例の本読みと見せかけたお茶会、プチドッキリをしかけられたみたいな時間を過ごさせてもらった時に、奈緒ちゃんが役柄の猪乃木さんをイメージしてそういった雰囲気が近いようなものを想像されてお洋服を着ていらっしゃていて、それは後から知ったんですけど、そういうこともあって扉を開けて『こんにちは、佐久間由衣です。よろしくお願いします』っていう時に猪乃木さんが目の前にいる! 猪乃木さんだ! って。そこからもう二人の関係性が私的にはちょっと見えてきたと言うか、そういうところも含めて本当にかっこいいと言うか素敵な女優さんだなと思っていました」


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――そういったにくい仕掛けをされた芳野監督ですが、最後に作品に込められた想いについて語っていただけますでしょうか。


吉野「この作品を撮る前は、COVID-19とかがそんなに大変なことではなかったので、もちろん脚本を書いている時にそんなことは考えていなかったんですけど、今完成して、こういう状況になった時に、この映画の一つの大きなテーマとして、すごく大切な人が突然いなくなっちゃうとかいうようなことがあって、最近は本当にそういうことが多いので、このCOVID-19下の中で、期せずしてこのタイミングでこういう作品が作れて、観てくれた方の勇気というとまた違うんですけど、こういう考え方もあるんだなっていうような風な元気づけられたらいいなという気持ちでいます」


text Ryoko Kuwahara





撮影日:2020年11月1日
撮影場所:EXシアター六本木



映画『君は永遠にそいつらより若い』/ Title: Eternally Younger Than Those Idiots
2021年全国順次公開予定
https://www.kimiwaka.com
佐久間由衣 奈緒
小日向星一 笠松将 葵揚 森田想
監督・脚本:吉野竜平
原作:津村記久子「君は永遠にそいつらより若い」(ちくま文庫)
主題歌:小谷美紗子「眠れない」
配給:Atemo / Distribution: Atemo Inc.(Japan)
(C)「君は永遠にそいつらより若い」製作委員会
(C)Eternally Younger Than Those Idiots” Production Committee
2021年公開 Release date: 2021(Japan)

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